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#07 愛13歳の反抗

スーパーに誠一さんと一緒によく行っていた。


それは昔の話。


昔といっても半年くらい前までのこと。


今は誠一さんと一緒に出掛けることが少なくなった。


一番の理由は一緒にいるのを同じ学校の人に見られるのが嫌だからだ。


誠一さんのことは嫌いではない。


でも前より嫌いに近くなってきている。


一緒に出掛けることだけでなく一緒に喋ることも最近は少なくなった。


「宿題はやったのか?」


「うるさいよ。黙ってて」


いつもこんな態度をとってしまう。


「ごめん、黙ってるよ」


「もう話しかけて来るなよ」


最近は前より反抗してばかりだ。


反抗期だからなのだろうか。


「買い物に行くんだけど一緒にどうだ?」


「行かない」


私は迷わずに即答した。


誠一さんは寂しそうにひとりで出掛けていった。


これからはもう少し優しくしようと思った。



今日は誠一さんの誕生日である。


「プレゼント募集中だぞ」


「あげるわけないじゃん」


好きではないのでプレゼントをあげようと思わなかった。


優しくしようと思ったが優しい言葉が口から出なかった。


優しい言葉を言うのは恥ずかしいからだ。


「今日の夜、ファミレスに行こうと思うんだけどどうかな?愛は行きたくないよな?」


いつもなら「行かない」と言うだろう。


でも今日は誠一さんの誕生日なので違う。


「行くよ」


「本当か?愛とファミレスなんて何ヵ月ぶりだろう」


誠一さんがこんなに喜んでいるのは珍しい。


こっちまで嬉しくなってきた。



「愛。結構混んでるよ」


「待つしかないね」


名前を書き、座って順番が来るのを待っていた。


すると同じクラスの心くんを見かけた。


私は誠一さんといるところを同じ学校の人に会いたくなかったので隠れようとした。


でも見つかってしまい私に話しかけてきた。


「お父さんと2人ですか?」


私は嘘はつかずに本当のことを言うことにした。


「父ではなくて親戚のおじさんだよ。父は昔、どこかに消えてしまったからね」


本当のことを言ったせいで気まずい空気になってしまった。


空気を変えるために心くんは話題を変えようとした。


「お母さんはどうしたんですか?」


私はこの状況でその質問をしてくる勇気がすごいと思った。


答えにくかったが正直に言った。


「母は病気で亡くなったの」


心くんは聞いてはいけないことを聞いてしまったという顔をしていた。


再び気まずい空気になった。


心くんはかなりのバカだが嫌いにはなれないバカである。



注文していたハンバーグが運ばれてきて誠一さんのテンションは上がっていた。


食事をしてる時も誠一さんは笑顔だった。


「ハンバーグ食べるか」


「いらないし」


誠一さんに反抗したり冷たい態度をとったりした。


でも育ててくれた誠一さんに感謝している。

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