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#01 愛19歳の反省

刑務所に入れられて数ヵ月が経った。


悪いことだとわかっていながら罪を犯してしまったのだ。


人を殺してはいない。


でもそれに近いことをした。


怒りが抑えられなかったのだ。


本当に反省している。



「愛。久し振りだな」


誠一さんが面会に来てくれた。


誠一さんは私が捕まるまで一緒に住んでいたおじさんである。


「久し振りですね。来てくれてありがとうございます」


「何で敬語なんだよ。愛らしくないぞ」


刑務所の中では敬語で喋ることが多いので誠一さんにも敬語で喋っていた。


「今日は愛に報告があるんだ」


「報告って何?」


私は良い報告であるようにと願っていた。


「実は彼女とは別れることになったんだ」


ある事件のせいで2人は別れることになった。


その事件を起こしたのは私である。


反省しているが私を怒らした女にも責任がある。


「別れて良かったね」


「……そうだな」


私は誠一さんと女が別れて嬉しかった。


もう私と女が会うことはないだろう。


少しの沈黙の後、誠一さんが小さな声で聞いてきた。


「あれは僕のためなのか?」


私は誠一さんのことが好きではないのでそんなわけがなかった。


「誰かのためとかではないから」


「そうか」


誠さんのためだと答えていたらどんな反応をしたのだろうか。


許されることではないが自分のためだったら嬉しいのだろうか。


「愛が生きていて嬉しいよ」


「何言ってるの?」


私はその言葉に戸惑ったが少しだけ嬉しかった。



私に手紙が届いた。


差出人は高校の時のクラスメートだった。


仲がいいと思ったことがなかったので少し驚いた。


手紙には下手な字でこう書かれていた。


『どうも愛の親友の恋だよ。


刑務所の居心地はどうかな?


たぶん居心地は最悪だよね。


私は愛とは違ってとても楽しく過ごしてるよ。


愛が事件を起こしたと聞いた時は驚かなかったよ。


いつかは悪いことをして捕まると思っていたからね。


ニュースの説明だとわかりづらいから出所したら事件のことを詳しく教えてね。


高校の時によく犯人扱いされていたから取り調べは慣れていてスムーズにいったよね。


そんな犯人顔の愛に伝えたいことがあるんだ。


私をいじめから助けてくれたことがあったでしょ。


その時はありがとう。


愛は知らないと思うけど私がいじめられた理由はイタズラばかりしていたからなの。


私ってバカだよね。


そうだ、同級生の心くんから伝言があるよ。


「まだ諦めてないですから」だって。


付き合ってあげればいいのに。


そういえば愛は学校では浮いていたよね。


良く言えばクール。悪く言えば暗すぎ。


それに愛は空気が全然読めなかったもんね。


刑務所では空気読めてますか?


またね。さようなら』


空気が読めないのはお前だよと思いながら手紙をグチャグチャに丸めて投げ捨てた。


いつもイライラしてばかりなところは反省しないといけない。

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