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眠れない

作者: 湯吊

「眠れない」

 何度目か分からない言葉をベッドの中で一人呟く。温かい布団。膨れた腹。程よい倦怠感。隣で眠る貴方。寝るのに必要なものは全て揃っているのに。

「何故」

 呼びかけは眠っている貴方に届かない。つまりこれは独り言だ。何故。問わずとも本当は分かっている。これは罰なのだと。

「起きて」

 無駄だと理解しつつも貴方の肩をつかんで揺らす。蒼白の顔は美しい。それは薔薇色の頬よりもずっと。

 永遠に目覚めない貴方の隣で私は永遠に眠れない。

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