004 女神に○われ異世界へ ~エイプリルフール企画~
本編とは全く関係ありません。エイプリルフール企画です。
なお、本編のイメージを非常に損なう可能性がありますので、閲覧の際は充分ご注意ください。
ギャグやコメディが苦手な方はご覧にならないほうが良いかもしれません。
~その1~
天野忍の目の前には光り輝く女性が立っていた。いや、立っていた、というのは正確ではない。その女性は地面からわずか上に浮かんでいたのだ。
「あの……貴女は……」
忍は何と言っていいかわからず、漠然とした問いかけをした。
「私は女神アムテリアと申します……が、説明は省略いたします」
「……は?」
忍は自称女神の意味不明な言葉に、思わず唖然としてしまった。
「詳しく知りたい場合は『ほんぺん』の『ぷろろーぐ』なるものを参照してください。
たぶん、それでご理解いただけます。ともかく、カクカクシカジカなのです」
「もう戻れないのですか……」
女神の神力なのだろうか、忍は何の説明も受けていないのに事態を理解した。つまり、彼はこの世界に戻れないのである。そして、異世界に行くしかないのである。
「はい。ですから、どうか私のいる世界に来ていただけませんか?」
「嫌です!」
アムテリアの輝くような微笑みと共に示された提案を、忍は即座に断った。
「あの……このままだと死んでしまいますよ?」
「死ぬより酷いことがあるんです! どうか、この洞窟から出してください!」
忍はアムテリアの光り輝く長衣に縋り、泣きついた。そして彼は、誰にも言わずに隠していた秘密を女神に告白した。
「……そうですか。つまり、貴方は趣味で小説を書いていたと?」
「はい。『小説家になれたらいいな』というサイトに投稿していて……それも、成人向けなんです……」
忍の涙ながらの告白を、女神は不思議そうな顔をして聞いている。
「大人向けの小説くらい、良いではありませんか。それに、パスワードとかいうものがわからなければ、貴方のパソコンの中を調べることは出来ないのでは?」
「それが、男と男の話でして……。しかも、パソコンの画面の脇にアカウントとパスワードを貼っているんですよね……一人暮らしだから……」
「そ、それは! で、でも……残念ながら、ど、どうしようも……」
アムテリアは何とか笑いを堪えながら忍に言葉を返す。だが彼の話がツボに入ったのか、真っ赤な顔で瞳には涙まで滲んでいる。
「わ、わかりました。では、こうしましょう……」
「え、そんな事が出来るんですか! なら、異世界に行きます! 絶対行きます!」
女神の囁きに、忍は勢い込んで返事する。先ほどまで嫌がっていたはずなのに、どこをどうしたのか大賛成である。
そして、彼は喜びの表情のまま異世界へと旅立った。
ところ変わって、とある異世界。
「アニィのお陰でボクは生きていけるんだ。感謝しているよ!」
どこか忍に似た金髪碧眼の青年が、嬉しそうに微笑んでいる。
「まったく、シノブは甘えん坊だな! ほら、スクワット千回だ!」
「はい! アニィ!」
やたら体格の良い軍人風の男に、シノブと呼ばれた青年は嬉しそうに頷いて、スクワットを始めていた。夕日が沈みかける森の中、二人はいつまでも楽しそうに体を鍛えていた。
~女神に笑われ異世界へ 完~
◆ ◆ ◆ ◆
~その2~
前略
「もう戻れないのですか……」
女神の神力なのだろうか、忍は何の説明も受けていないのに事態を理解した。つまり、彼はこの世界に戻れないのである。そして、異世界に行くしかないのである。
「はい。ですから、どうか私のいる世界に来ていただけませんか?」
「嫌です!」
アムテリアの輝くような微笑みと共に示された提案を、忍は即座に断った。
「あの……このままだと死んでしまいますよ?」
「私は仏教徒なんです! 貴女は神様、しかも日本由来の神様だっていうじゃないですか! どうせなら仏様の世界に行きたいです!」
忍はアムテリアの光り輝く長衣に縋り、泣きついた。
「あの……貴方は歴史好きだったのでは?」
「ええ、古代インドやシルクロードが大好きなんです! 西遊記って知ってます? あれ、昔から好きだったんですよ!」
「ああ、あの人気男性アイドルが出ているという?」
アムテリアは、首を傾げながら忍に問いかけた。
「いえ、そっちじゃなくて、あの多芸な大物タレントのほうです! あと、あの有名な歌、ご存知じゃありませんか?」
そう言うと忍は、少し物悲しい調子の歌を歌いだした。なにやら仏教美術や古代王国で有名な地名を連呼する歌である。
「知りませんよ! まったく貴方は本当に大学生ですか!
……わかりました、貴方は私の世界には合わないようです。では、仏の世界へと送ってあげましょう」
「え、そんな事が出来るんですか! 行きます!
……阿弥陀様の世界かなぁ、それともお釈迦様の世界かなぁ!」
頭を押さえて顔を顰めている女神に、忍は勢い込んで返事する。
そして、彼は喜びの表情のまま異世界へと旅立った。
ところ変わって、とある異世界。
「えっと……あ、貴方は?」
どこか忍に似た金髪碧眼の青年が、表情を引き攣らせながら目の前の男性に問いかけている。
相手は、やたら体格の良い軍人風の男だが、なぜかパンチパーマ風の髪型である。
「俺はアミィダという。この世界の創造主だ!」
「えっ、阿弥陀様!? もしかしてその髪型は螺髪なのですか!?」
男の名乗りに、忍に似た青年は嬉しいとも悲しいともつかない複雑な表情になる。
「シノブ、修行を開始するぞ! 仏の道は厳しいんだ! ほら、スクワット千回だ!」
「ええっ、こんな仏様、嫌だぁ~!」
夕日が沈みかける森の中、シノブと呼ばれた青年の悲しげな声がいつまでも響いていた。
~女神に嫌われ異世界へ 完~
◆ ◆ ◆ ◆
~その3~
前略
「もう戻れないのですか……」
女神の神力なのだろうか、忍は何の説明も受けていないのに事態を理解した。つまり、彼はこの世界に戻れないのである。そして、異世界に行くしかないのである。
「はい。ですから、どうか私のいる世界に来ていただけませんか?」
「それではお願いします」
アムテリアの輝くような微笑みと共に示された提案に、忍は覚悟を決めて了承をした。
「では、行きますね。私の神界へ!
今日から貴方はシノブです! そして、私と一緒に暮らすのです!」
「ええっ!? 異世界って女神様の世界ですか!?」
忍……いや、シノブが想像していた異世界は剣と魔法の世界であった。だが、どうやらそれとは行き先が違うようである。
ところ変わって、とある異世界。
「アムテリア様! その方は、どなたですか?」
10歳ぐらいの狐耳と狐尻尾の少女が、小首を傾げながらアムテリアに問いかけている。
「今日から一緒に暮らすシノブです。シノブ、彼女はアミィです。さあ、三人で仲良く暮らしましょうね」
「は、はい……まあ、こういうのなら良いか……」
色々言いたいこともあったシノブだったが、満面の笑顔を見せるアムテリアと、可愛らしく微笑むアミィに、そんなことも忘れてしまい、苦笑混じりの笑みを返した。
~女神に攫われ異世界へ 完~
たまにはこういう息抜きも大切だと思うのです(^^;
とはいえ、お目汚し失礼しました。