第1話 別れ
桜がつぼみをつけ始めた3月。
今日は終業式。高校の1年が終わろうとしているとき、もうひとつ終わることがあった。
「私たち、もう別れよう・・・」
付き合って1ヶ月と少ししか経っていない。
由香の予想だにしなかった言葉に、僕は状況が読み込めない。
「えっ、何言ってんだよ。春休みにディズニー行くんでしょ?チケットも・・・」
自分が何言ってるんだ。今はネズミとか関係ないだろ。
「本当にごめんなさい。恋ちゃんのせいじゃないの。」
ネズミのことは、全く触れないで話は進んでいく。
「私の勝手なの・・・付き合ってみたら想像と違ってて。」
どんな想像してたんだよ。
雑誌に載ってた恋愛カタログか?それとも少女漫画のような甘い恋か?
自慢じゃないが、僕はそれほど恋愛の経験が多いわけじゃない。
「愛してるよ」みたいな言葉は恥ずかしくて言えないし、
キスするときも、「キスしていい?」って聞いてしまうようなやつだ。
そんな僕に、どんな期待をしてたんだよっ・・・
「本当にごめんね、恋ちゃん。ばいばい。」
「あっ!ちょっと待って!」
振り向きもしなかった由香に、少し怒りを感じた・・・
「あら、おかえり。今日は早いのね。」
昼食の片づけもしないまま、昼ドラを見ている母。
「終業式だから。」ボソッと小声で答える。
「えっ?何?」
「終業式だっての!!」
と、怒鳴って、そのまま2階の部屋へ向かった。
「反抗期ねぇ・・・気にしない、気にしない♪」と、ポリポリ煎餅をかじりながら、また昼ドラに夢中になった。
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