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「初めは派手な子って印象と、自信無さげなギャップに興味を引かれた。

正直、面白い!って思ったし、友達にしたら楽しそうだなって思ってた。でも、初めから何か気になってた・・・」


驚きから言葉を発せない、何も言わない私を真っ直ぐに見つめたままで、ゆっくりと語りかけるように鈴本が話す。


「美晴の事が好きなんだ・・・。

大切にするから、俺を美晴の彼にしてくれないか・・・?」


「鈴本くん・・・」


「俺の事、嫌いじゃないだろ?!今までの付き合いとそんなに大きく変わる事は無いよ。

只、美晴が困った時や心配事がある時には、斉藤さんや岩木じゃなくて、俺を一番に頼って欲しいって事。美晴を支える権利を俺にくれよ・・・、な?」


鈴本の事が好きだ。でもそれを友人以上の感情か?と、問われたら即答は難しい。

次の恋愛こそは流されない!と決めていたつもりだったのに・・・。


でも『好きだ』と言われて嬉しくて、その瞬間は心臓がドクッと音を立てたような気がした。


居心地の良い、鈴本の隣がずっと私の為だけにあってくれたら・・・。

でも付き合ってしまって、もし、この恋がダメになった時は・・・?

思わずネガティブな考えも浮かぶ。

それでも・・・。


私達の未来がどうなるかは分からないケド、鈴本となら納得のいく付き合いが出来る気がする。

後悔ばかりが残った前の恋愛。

すれ違いと言えば聞えは良いが、忙しいといっては会う為の努力もせず、好きだと相手に言った事も無かった。

変なプライドばかりが先行して、素直になれないまま、『あの時こうしていれば・・!』と思っては、終わった事を後悔していた。

あんな思いだけはしたくない。


私は決意を込めて、うなずいた。


「声にだして言って」


「エッ・・」


「だから、声にして返事を聞かせて」


何で・・・?恥ずかしいのに、わざわざ!と思いつつも仕方なく


「ハイ・・・。これから宜しくお願いします」


そういって頭を下げた。これで良いのか?と鈴本のほうを伺うと、満面の笑みを浮かべていた。


「ハイ、宜しく」


そう言って、徐に私の手を取った。

何をするのかと思えば、只、手をつないで私を見つめる。

2人の指を絡ませて、俗にいう‘恋人つなぎ’をして・・・。


「流石に器用そうな手だな。指も長くて綺麗だし。外科医だもんな・・・」

握った私の手を指の腹で撫でながら、独り言のように言っている。

これまでとは明らかに違う鈴本の態度に戸惑う。


コレまで鈴本にこんな風に意図的に、下心満載に触れられた覚えは無い。

鈴本は見掛け、どちらかと云えば草食系男子。

人や物の匂いに敏感な私が今まで気にせずに付き合いを持てた人。


それが!ど、どうしよう・・・。

いきなりこんな・・・。


「エッ、ヤッ、チョット!」


鈴本が握った私の手の甲にキスをして、指を口に含んだのだ。

急いで手を引き抜こうとしたが、ガッチリと腕ごととられていて、引き抜く事が出来ない。


私に視線を逸らす事を許さない!と言わんばかりに、真顔のままで私の指を美味しそうに舐めている。


「美晴に関する権利は全て俺の物だよね・・!?本当に嬉しいよ。」


「鈴本くん「アッ!それそれ!鈴本君はもう止めて。紘也でいいから!」


「エッ、でも、私のほうが年も下だし・・・」


「年は関係ないよ。俺が‘紘也’って呼んで貰いたいだけ。鈴本君なんて美晴が遠くに感じるしね」


「じゃ、あの、‘紘也くん’で・・?」


「エー、まぁ、暫くはそれで仕方無いかな。追々ね」


チュッと最後に私の手の甲にキスをして、やっと手を離してくれた。


「じゃあ、明日も仕事だし、そろそろ帰るとするか」


駐車場から鈴本の家まではほんの10mだったが、帰宅するにはその前を通る私は送る事にした。


「ありがとう、家に着いたら連絡して!」


「分かった。こちらこそ今日はありがとうね」


そんな会話を交わして、鈴本が車を降りかけて、急に振り返った。

黙って私をみつめたまま顔を近づけてくる。


こ、これは・・・まさかよね!?とは思ったが、私もアラサー。

大騒ぎはせずにキスを受入れた。

ほんの一瞬の接触で終わったが、一旦は離れた鈴本だったが、ニッコリと微笑みながら再度近づいてくる。

今度はさっきよりほんの少し長めのキスで、下唇に何か触れたような気がした。


鈴本は今度こそ車を降りて、私を見送ってくれた。

平気な顔を装って、車を走らせた私だったが、鈴本が見えなくなると思わず叫んでいた。


「うそー!ヤバイーーー!!どうしよう!!!」


突然の展開に頭が着いていかない私。

鈴本とやっちゃった!

マジかな、これ?

エー!!ホンマにどうしよう!!

お母さん!恭ちゃん!! エー!!!


その夜、私が眠りにつけたのは朝方になってからだった・・・。




読んで頂いてありがとうございます。

完結できるように頑張ります。




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