鈴本視点
主人公意外の視点を実験的に入れてみました。
鈴本視点
彼女、立石 美晴と出会った時の事は鮮明に覚えている。
あの日は商工会青年部と市が主催する『お見合いBBQ』の打ち合わせの場だった。
既に会合は何度か行われていたが、俺が参加したのはその日が初めてだった。
普段から仕事が立て込んでいて、正直いうと積極的に加わるつもりは無かったが、同級生達がそのイベントを主導していた為に断りきれずに参加する事になった。
打ち合わせが始まっても、中々具体的な詳細を話し合うまでいかずに世間話に花が咲いていた。
その時、小学校の頃から知っている斎藤 恭子が1人の女性を連れて入って来た。
手伝ってくれる新たなスタッフ、それも若くて美人!
俺は男達が彼女を囲んで盛り上がっているのを遠巻きにして彼女を観察していた。
派手だなぁと思ったのが最初の印象。
赤いブランドTシャツにブルージーンズという極々、一般的な服装をしていた彼女。
それでもパッと浮かんだ彼女の印象は『派手』だった。
ジーンズ姿はシンプルだが彼女のスタイルの良さを際立たせ、何処か品の良さまで感じさせる。そして何より彼女から溢れ出ているのは華やかさだった。
そこにいるだけで人目を惹く、その場を明るくする様な華やかさが彼女にはあった。
背の高い俺は何故か“小動物系”の女の子を好むと思わる事が多い。
確かにそんな女性を好む奴が多いのは事実だ。
だが俺に関してはソレは大きな間違いだ。
ガリガリなぐらいに細い、小さな女の子は小学生にしか思えないし、興味は無い。
見た目だけでは彼女は俺の好みドンピシャだっだが、彼女は高校の後輩で、妹、順子の友達だった。
その事実は俺に二の足を踏ませるには十分だった。
年子の妹は、昔から俺には反抗的で、『私の知人とは付き合いしないで!』と言われていた事も理由の1つだ。
挨拶を交わして、真正面で彼女を見る。
周りの男共が彼女に対して、質問を矢継ぎ早に飛ばしているが、次々と恭子に弾かれていく。
恭子が答えた“医療系”だという彼女の仕事。
会社の経営者として様々な人と接する機会がある俺にとって、人間観察は癖のようになっている。
元々は初対面の人とも滞り無く会話をして、話題を引き出す為の手段だった。
その点、確かに化粧にしても行き届いたお洒落をしている印象の彼女。
しかし爪は短く切り揃えられて、今や大多数がしているジェルネイルやマニキュア等は見られ無い。
耳にはダイヤモンドと 思しき1石が付いたピアス。腕にはシャネルのJ12、ブラックセラミック。
医療系の仕事には真実味がある。その上、羽振りも良さそうだなぁというのが観察して思った印象。
話をしなければ何処か冷たい、近寄り難い雰囲気の彼女は、話をするぶんには極普通の女性、イヤどちらかと言えば、自信無さげな女性と思えた。
そのアンバランスさから、もう少し話してみたかったが、恭子がガッチリとガードしている今日は難しいだろうと諦めた。
まだ機会は幾らでもあるだろう・・・。




