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岩木と話して、一層恋愛の難しさを実感する事になった。

勉強のように己の努力が報われる訳でも、答がある訳でも無い。

恋愛は1人では出来ないから・・・。


私は派手な見た目とは違って、真面目に生きてきた。

長い海外生活の間も派手に遊ぶ事も無く、お酒もタバコも嗜まない。

自分で言うのは何だけど、女の子達にも其れなりに慕われる程度に男前な性格だ(一部の看護師は除く)。

大概、いい加減で勢いで突き進む!でもその反面、物事を悪い方へばかり考えてしまうネガティブな面を持つ私。



夕べは結局、鈴本に電話を返せなかった。

朝、『昨日はゴメンね。連絡貰ってたのに・・・』とLineで連絡だけは入れておく。

電話すれば簡単なのに何故か気まずい気がして、出来ない。


鈴本に惹かれていたのか・・・?好きなのか・・・?

急にどうして良いか解らなくなって、私は岩木に電話することにした。

「おはよう。今、平気?」

「おう!さっき起きた。昨日は聞き忘れてたケド、夕べは紘也の友達と一緒だったンだろ?!

俺も昔、会った事あるンだよな。

彼女に呼ばれてたから行けなかったケド、そっちに行きゃ良かった」

「ウン、岩木さんが居てくれたら良かったのに・・」

「何だよ、一体。

何がかあったのか、昨日?」


大方の経緯を岩木に教える。

そして、自分のイマイチ訳の分からない感情も話して聞かせる。

岩木は珍しく、黙って何も言わずに聞いていた。

「みはちゃんは紘也に“友達”って言われたのがショックだったンだろ?!

まぁ、やっぱ、好きなンじゃねぇの。

みはちゃんは難しく考え過ぎなんたよ。そう構えずに素直に感じてれば良いンだよ」

素直に感じる・・・かぁ。其れが出来てれば1人では居ないなず。

「自分から誘ってみれば?

紘也も好きだとしか思え無いし、いい年して何をチマチマと!」

「いい年だから恐いの!それにまだ自分の気持ちに確信が持てないし・・・。

でも何より今はこの関係を無くしたく無いの!心地良いし、1人の寂しさも無いもん!」

私達の間に有るのは即席の友情関係。

まだ知り合って数ヶ月の友情は、恋愛との狭間で揺れ動いてる。


若い勢いのあった学生の頃でさえ、恋愛事で自分から動けた事は無かった。

そして、年と共にダメになった時の保険を求めるようになった。

周囲の目、自分のプライドと自尊心が余計に私を怖がりにする。

ゴチャゴチャと考えても答は出ない。

その日、鈴本からの連絡は無かった。




次の日は大学病院へ行く予定になっていた。

1時間程の ドライブで行ける予定が、私の運転技術に疑問を持つ父が送って行ってくれる事になった。

久々に父と2人でたわいも無い話をして、楽しい時間を過ごした。

帰りも迎えに来てくれるという父の申し出を時間がハッキリしないからと断って、

病院の正面玄関で車を降りた。


お世話になっている教授に挨拶に行く前に呼ばれていた人事労務課に向かう。

恐らく春からの勤務先の事だと思っていたので、ある程度心構えをして来たつもりだ。

希望としては大学病院では無くて、系列病院。

病院の付属大学出身では無いし、派閥争いとは無縁に仕事が出来れば・・・と思う。

不規則な仕事、可能であれば実家から通いたいと思っているが、1人暮らしの覚悟もしている。

コレも新しい出会いの切っ掛けになってくれるだろうか・・・。








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