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今日は朝から散々だった。

急患は引っ切り無しに運ばれて来て、患者の家族への状態説明すらままならない。

「立石医師!

急患です!処置室にお願いします!」

交通事故で運ばれて来ていた学生は、幸い骨折に打撲だけで心配していた内臓損傷は無かった。

心配しているご家族に説明を・・・!!

仕方無く新人医師に任せて救急処置室に戻る。


「センセ、CPA患者です。男性、40代、既往症無し。

会社で急に倒れて、意識不明です。」

そこまで聞いて患者の切迫具合が分かる。

薬剤の投与を支持して、救急担当医と共に電気ショックで心肺蘇生を試みる。

心停止から既に20分以上経過している。

救急担当の医師からこれ以上は無駄だと打切りを告げられる。

一気に脱力感に襲われ、座り込みそうになる。言葉も出ない。

いつ迄経っても慣れる事は無い。医療の限界と自分の無力さを実感させられる。

この仕事についてから常に死は身近にある。

以前よりは上手に自分の感情とも向き合っていると云う自負もあるが、救えなかった命の存在が重くのしかかる。

幸か不幸か、ご家族との話は担当医が行ってくれるというので、私はご家族を避ける様に控え室へと向かう。



やっと一息ついたところで、ブブッとプライベート用の携帯がメール受信をしらせてくる。

あぁ、例の飲み会、今日だったなぁ。

鈴本からお店と時間の再確認の連絡が入っていた。

「行きたく無いなぁ。行かなきゃマズイかなぁ。ハァ~」

一日中、バタバタして急患対応に追われて、とても合コンもどきに出て食事する気にはなれない。

でもミッちゃん達を誘った手前、行かないわけには行かない!

早々に諦めて、鈴本に了解の連絡をして、ミッちゃん達にも連絡を入れておく。

明日はオフ!明日はオフ!

それを何度も口に出して、何とか落ちた意識を浮上させる。

いつ迄経っても身体だけが大人で、精神は小学生の私は本当に医師には向いて無いのだと思う。

本が大好きで、ハッピーエンドを信じるお子ちゃまだから・・・。

永遠の別れである死が受け入れられ無いのだ。

正真正銘の医師がこんなで、患者はどう思うだろうか・・・。


イカン!!又落ちそうだった気分を一生懸命上げる。

明日はお休み!!良し!


その後はカルテ等の溜まっていた書類仕事をひたすらこなした。

今日の業務を終える前に交通事故の高校生の病室に顔を出して行く事にした。

沢山の友達に囲まれた彼のギプスは既に落書きまみれだった。

マンガの中でよく見た光景の実物を見れた事に少しテンションは上昇!

そして明るい高校生達の元気をお裾分けして貰って、機嫌も上々!

私は急いで化粧を直して、合コン会場の居酒屋へ向かった。




~ 居酒屋 ~


鈴本の大学時代の友人、町田さんは明るい自動車ディーラー営業だった。

他のメンバーは男性達も皆知った顔で、私はある程度リラックス出来ていた。

「で、このゴージャスなお姉さんが紘也のナニ?

某姉妹みたいだね、それホンモノ?」

明らかにソレって胸ですよね?!あまりに直接的に聞かれたので、ある意味清々しいです。

周りが固まったのを尻目に

「いじってませんよ、天然物ですよ」

「何かスッゴイね。座ってるからか、余計にさ。

顔きて胸!って感じだね。張りって言うかさ、セクハラ発言で申し訳無いけどさ、

俺こんな近くでここまで胸の大きい人を見た事無くてさ」

「ここ迄ストレートに言われるとある意味気持ちイイです!

でも今は結構胸の大きい人は多いですよ。そんな珍しいモンでも無いと思いますよ」

ここで恭子が参戦してきた。


「美晴と美晴の妹が揃うとマサに某姉妹!って感じよ!

もうね、張りが違うからね。鎖骨ハイ胸!って感じで、生で見たらエッグいから!」

「恭チャン、貴方の言い方が1番エロいからね!止めようね」

「コレで看護婦ってマジ、エロすぎでしょ!

患者さん、堪んね~だろうね」


「美晴は看護師じゃね~よ。女医だ!女医!お医者さんだ」

「エッ、お医者さんなの?マジで?!有り得なくね。

新地のママって方がピッタリなのに・・・」

ハイハイ、良いですよ、もう。

正直なご意見を謹んで拝聴させていただきました。


私は楽しんでいた。

町田のストレートな意見は何故か私を楽にしてくれた。

見た目は変えようがないし、私が好む服装も1番、私を惹きたててれる物だ。

何をどうしても仕方無い。

見た目と職業とのギャッブ?! 何が関係ある?

コレが私だし、私が受け入れるしか無い。

病院での鬱積も消えて行く。この見た目で女医が売りでしょ、やっぱり!


そんな事を考えている私の横で、鈴本と恭子が町田に “いい加減しろ! ”と怒りのパンチを繰り出していた。





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