プロローグ
今日俺、伊達光輝は死んだ。航空自衛隊で戦闘機の給油をしていただけだが。
死因?笑うなよ、業務中に事故死ってところだ。クソッタレのARMR(武器搭載員)が点検中に20mm機関砲を暴発させて乗っていた給油車のキャビンを粉砕、可燃物満載の愛車を最後の力を振り絞って誘導路に持っていきそこで爆発。哀れな俺はそこで火葬まで済ましてしまったってところだ。
「でここは何処なんだ?」青空が眩しい草原に立ち尽くし目の前の神々しい光を纏った白のワンピースを着た女性に問い掛ける。
「ここは天国に行く中継地点ですよ。伊達光輝空士長。」金髪の髪を指で弄りながら微笑む。 彼は着ていたデジタル迷彩のポケットを探っていた。
「あったぜ!!」質問をしていた事を忘れてポケットからくしゃくしゃの煙草を取り出して火を着けて、旨そうに煙を吐く。
「あの……お話しを聞いてますか?」 女神は涙目になりながら彼を見つめる。
「聞いているよ、女神様。であんたが三途の川の案内人か?俺としては惚れた女を幸せにしてから死にたかったんだけどな」ふと彼女の顔が浮かぶ。元気で明るい彼女は俺の変わり果てた姿をみてどう思ったのだろうか?紫煙を燻らせながらふと目に涙が流れる。行き場を無くした拳を地面に叩き付ける。
「貴方には選択肢が有ります。一つはこのまま天国に行き安らかにくらすか、もう一つは全く違う異世界に行き生き延びるか?貴方には選ぶ権利が有ります」 彼の行き場を無くした怒りを収まるのを待って彼に選択を迫る。
「異世界か?剣と魔法の世界で魔王を倒せというならお断りだ、誰もいない山奥でひっそり暮らすなら良いがな」燻らせた煙草を地面に揉み消し、吸殻をポケットに入れる。
「あら、普通の人は喜んで魔王を倒しに行くのに。変わっていますね♪分かりました、貴方の望みを叶えます♪」光輝の身体が光を纏う。
「チャンスをありがとう。女神様、じゃあ行って来るよ」みず知らない世界に行くというのに彼は笑いながら手を上げそして消えた。
女神は彼を見送ると祈りを捧げる。
「勇敢な兵士に幸あらんことを」こうして1人の男の転生を完了させる。転生先は大陸アルカディア。山々に囲まれた温暖で平和の地で彼は自給自足の生活を営むだろう。