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英雄亡き世界  作者: 飯塚ヒロアキ
第二章 足踏みを始めた戦争
9/31

挿入編 黒の書

これは100年前の話です。

物語が進んで行くと、重要になります。

ここを読めば、なるほどってなると思います。

あまり言ったらネタバレしますのでここまでにします。


ーあれは遥遠い昔の出来事である…。

魔王は100年前、英雄王が率いる連合国軍(エルフ・ドワーフを含む)に十万の兵士で猛攻撃され、没落した。

魔王が死んでから数年後の事、平和を取り戻したとある村で奇怪な事件が起きた。

見習い魔導師であるクライン・アスラは賢者の石を作り出す為に、日々実験を重ねていた。

しかし、トール魔法大学院では賢者の石の研究・実験は全面禁止していた。

賢者の石…永遠の命を与えるとして古来より求められてきた。

アスラの母親は病で苦しんでいた。

医者に見放された為、藁にもすがる思いで賢者の石を生み出す錬金術を探していた。

そんなある日、アスラが薬草を探しに森の中わ、歩いていた時、廃墟になった古城を見つけた。

アスラは錬金術が記された書があるかと思い書庫を探し始める。

狙い通り、数多くの古文書や魔術本があった。

薄暗く、埃っぽい書庫は怪しい空気を漂わせていた。

そして、導かれるようにアスラは黒の書を見つけた…。

「246ページ…錬金術…目次…賢者の石と魔王…これだ」

黒の書に記されているその呪文を口にした。

「我が肉体…我の者にあらず。この器と紅の血を差し出さん」

書かれていた通り、手首を切り血を三滴地面に落す。

しかし、アスラはページを間違えていた。

それは魔王の召喚魔法だった。

突然、書庫が揺れ始めるが地震ではない。

「えっ?私は、何をしたの…。どうして、三滴の血で賢者の石が形成されるんじゃあないの」

「フハハハ。アッハハハ。愉快愉快。これは傑作だ。まさか、やられてから直ぐに生き返れるとは」

若い少年の声がした。

書庫に不気味な声が響き渡る。

「いや。誰…?誰なの…。どこにいるの」

「ここだよ」と背後から声がした。

アスラは声がした方へ振り返った。

そこには、美しく優しい顔をした少年が立っていた。

その少年がゆっくりとアスラに歩み寄る。

「僕を呼んでくれたのは君だね。フフフ」

「きゃっ!つ、角が生えてる……」

「当たり前だろ。魔王なんだから」

「えっ?」

アスラは固まってしまう。

目の前にいるのが、あの冷血で数十万の魔王軍を率いれるようには見えなかった。

どちらかと言うと人間に近い。

「どうやら困っているようだね……。そうだ。君の名前を教えてくれたら、母親を助けてあげよう」

「ほ、本当!?名前だけでいいの」

少年が微笑む。

「そうだよ。名前だけでいいんだ」

「私の名前はクライン・アスラ」と目を輝かして言った。

母親の病を治せると聞いたアスラは我を忘れる。

これは愚かな行為……。

自ら名を明かす事は魔族との契約とみなされる。

その後、アスラは数日の間、村に帰らなかった。

村人が心配し始めた頃、アスラ帰ってきた。

「助けて……」とアスラは泣いて言った。

アスラは魔王に取り憑かれたのである。

村人にはアスラとは気が付かず、魔族と思い逃げ出す。

そしてある場所に助けを求めた。

それはフェレン聖騎士団だった。

聖騎士とは魔族を討伐する為だけに結成された組織であった。

フェレン騎士団は直ちに聖騎士を集めその魔族を討伐をする為、動き出す。

アスラの居た村に火が放たれ、アスラの母親も家ごと焼かれた。

「いゃああああ!」と無人になったはずの家から声がし、あまりにも悍ましい声が響き渡る。

「やはり、住み着いていたか。悪魔め!」

「いたぞ!邪悪な魔族に裁きの鉄槌を」

フェレン聖騎士団がアスラを追い回す。

アスラは走った。生きる為に…。

そして、辿り着いた。

魔王の居城、ダーク・ソードへ。

フェレン聖騎士団はさすがに追撃を断念する。

「許さない。母さんを…。僕は許さない。フェレン聖騎士団を皆殺しにしてやる。人間も皆殺しに」

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