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英雄亡き世界  作者: 飯塚ヒロアキ
第四章 思はぬ増援
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ライヤの逆鱗?

クエンハイムは今の状況を直ぐに理解した。

長年の経験があっても、こんな事は初耳だったはずであったが、そのライヤの仮説を受け入れた。

「まさか。そうは見えなかったが……しかし、可能性はありますのう」と癖である眉毛を触り始める。

「姉さん?これからどうしますか」

「そうだな。このまま解放してしまうと厄介かもしれん……」

全員が深くため息をついた。

カシダは腕組みをし考える。

少しでも、ライヤの役に立ちたいみたいだ。

どうしたものかな。

そう言えば、湖の離れ島にシメス教会があったはずだ。

しかもセイルシュアの近い。

「ライヤ?司祭にでも確かめてもらったらどうだ」

「おー。それ名案だな」

「司祭なら、感じ取る事が出来るかもしれんの。どれ、子猫ちゃんの為に僕ちんが早馬で連れて来よう」

子猫ちゃんって……結構恥ずかしいんだけど。

でも今回は仕方ない。

「でも、一つだけ条件があるのう」とライヤを見つめた。

「じ、条件とは……?」

「ライヤちゃんの裸を見せてほしいのぉ」

「え!?」とアルミカが反応した。

それを聞いたライヤが凍り付く。

こんな時でもエロジジィなのかよ。

今日は普段着だ。

鎧というガードが無い。

どうする私!

ライヤは一歩一歩ゆっくりと下がっていく。

クエンハイムは怪しい顔で詰め寄って来る。

カシダは何かチラ見するし、アルミカは背中を見せる。

私は生贄なのか?頼む!誰か助けて……。

「いいのかのう。拒んだら聖騎士団の軍資金援助とか打ち切ってもいいんだよぉ」

「くっ。手が出せない……」

背中には壁で、逃げ場を失う。

クエンハイムが飛びつこうとした瞬間、背後から親衛隊のリンが走り込んで飛び蹴りする。

「お嬢様に触るなぁー!クソ野郎」

見事に背中命中。

「何と!?またしても……邪悪が……」

クエンハイムは倒れ込んだ。

カシダは愕然。

畜生!見られなかった。

リンがクエンハイムを引きず始めると、ギロドルドが来た。

「お嬢様。ご無事でしたか?」と礼儀正しく聞いた。

「ふぅー助かったよ。全く……」

「あの愚か者は今後、わしが見張りまする」

「すまん。頼んだ……さてと。やるべき仕事が一つ増えた。なぁカシダちゃん?私が困っていた時、顔がニヤついていたぞぉ」

ライヤの背中からダークオーラ発生。

危険度大。

拳からパキパキと音がする。

「おっと。いかん!アルミカワシと来い。血の海は見たくないだろ」とギロドルドがアルミカを連れて看護所を出て行った。

カシダも逃げようとするが、閉められたとびらからカチッという音がした。

「鍵を閉めたーーー!?」

真っ青な顔で必死に扉を開けようとした。

カシダの背中に殺気がする……。

ギロドルドとアルミカは扉に耳を立てて中の様子を聴いていた。

「ぎぃよぉえええーー!ぎゃあ。ぐふぅ。いでぇい」

ドカドカと殴る蹴るの音がしカシダの悲鳴が響き渡る。

扉の下の隙間から、血が……溢れ出てきた。

「おぉ。怖い」

「まさに血の海だね……これ……」

バタンと倒れる音がした瞬間、ギロドルドが鍵を開ける。

扉がゆっくりと開くと、すっきりとした表情で現れたライヤが通り過ぎて行った。

ギロドルドはライヤの後を追うようについていった。

アルミカはカシダが気になり、息を飲み勇気を出して、そっと覗き込んだ。

「うわっ!?カシダさん……生きてますか」

「ま…だ…い…き…てる……」

血まみれになったカシダがそう言った。

「と、とりあえずマクシリンを呼んで来るね」とアルミカが急いでマクシリンを捜しに行ったのであった。


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