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英雄亡き世界  作者: 飯塚ヒロアキ
第四章 思はぬ増援
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クライン・アスラ

ライヤは読んでいた書を閉じた。

そして長机から立ち上がり言った。

「カシダ、アルミカ?昨日来たあれは、とんでもない奴かも知れないぞ」

「どういう意味だそれ?」とカシダが疑問な顔をした。

「リベッタ村は確かに存在していた……」

「良かった。それでどこにあるんです?そのリベッタ村は」

ライヤが深刻な顔をする。

「リベッタ村は100年前にフェレン聖騎士団によって排除されている」

「まさか!それではー」

カシダは勢い良く立ち上がる。

座っていた椅子が倒れるぐらいだ。

「知り得ない。ましてや、まだ幼い少年には……」

「じゃあ、あの少年は一体何者なんだ!?」

「本人に直接聞くべきだろうな」

私は少し冷や汗をかいた。

今回も嫌な予感がする……。

クライン・アスラは何をしたんだ?

人間はそう簡単に魔族化などは聞いた事がない。

とすると、黒魔術・錬金術の類いの可能性か。

アスラは魔導師?

ライヤ本人は気が付いていなかったが真実に

迫りつつあった。




数分後、ライヤ、カシダ、アルミカは看護所に居た。

少年はマクシリンの回復魔法により一命を取り留めた。

ライヤは鞘から剣を抜いて少年に向けると怖い顔で話し掛け始めた。

だが、少年は少しも驚かなかった。

「私の質問だけに答えろ」

「はい」

「名前は?」

「分からない」

「年齢は?」

「分からない」

「家族は?」

「分からない」

私は気になる点を聞いていた。

しかし、分からないしか答えない。

嘘をついているのか、それとも本当に分からないのかだ。

ここまでは良くある事だ。

何度か経験もある。

それは、奴隷商人に売られている少年・少女を助けた時だ。

彼らも同じように分からないとしか答えないのだ。

周りからは尋問しているように見えたのだろうか。

しかし次の質問で私は驚く。

「出身地は?」

「ベレッタ村」と初めて質問に答えた。

「ベレッタ村……。それは分かるんだな?」

少年はライヤを見つめて深くうなずいた。

すると、ライヤが行動に出た。

剣を鞘に納めると大声を出した。

「衛兵!この少年を地下牢に捉えよ」

アルミカもカシダも止めなかった。

二人共、ライヤの行動を理解ていたからである。

看護所の扉が開くと衛兵が複数入って来た。

少年を取り押さえ縄で拘束した。

そんな事、マクシリンとクエンハイムが来た。

マクシリンが手に持っていた薬草の束を地面に落とした。

「ち、ちょっと何してんのよ!?この子は病人なんだから」

止めに行こうとしたマクシリンをクエンハイムが邪魔した。

「マクシリン殿!止めてはなりません」

「その子は女なんだよ!そんなに酷い事しないで」

ライヤが反応しマクシリンに振り返る。

「女と言ったな?」

「そうよ。だから縄なんて解いてあげてよ」

「ダメだ。こいつを連れて行け」

「はっ!」

複数の衛兵が少年を立たせて地下牢に連れて行く。

「あんた。最低」とマクシリンがライヤを睨みつけてる。

「マクシリン……今は耐えて欲しい」

アルミカがマクシリンに近づいて言った。

「………」

マクシリンは黙り込む。

そして、クエンハイムの手を払いのけるとどこかに走って行った。

「まさか。あの少年が女の子だったとは。私めも気が付きませんでした。しかし、何故拘束し、地下牢行になったのですか?」

「クエンハイム殿。ご説明致します」とライヤが書庫にあった日記の事やリベッタ村の事件を全て話した。

クエンハイムはその話しを真剣に聞いたのであった。


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