表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄亡き世界  作者: 飯塚ヒロアキ
第四章 思はぬ増援
23/31

リベッタ村の住民

ライヤとリンは謎の少年が運ばれた看護所にいた。

看護所にマクシリンがアルミカと一緒に入っと来た。

夜が遅かったので、マクシリンは就寝用の服のままだった。

「何よ!もぉ。寝てたのに」

「遅いてか、何だその派手な就寝服は?」とライヤが言った。

「魔導師はいろいろと派手なんだよ」と男の子を覗き込む。

男の子は何かに取り憑かれたようにうなされて、もがいていた。

呼吸は荒く、熱が高い。

年齢は恐らく、12才前後だろう。

「酷い熱なんだけど!」とマクシリンはライヤを見た。

「だから、お前を呼んだんだ。魔法で、治療してやれ」

「簡単に言うよね。これは見たことない病気だよ……私には……」とうつむいた。

アルミカがマクシリンに言った。

「マクシリン!お願い。助けてあげて」

「よっしゃあ!任せて。アルの為に頑張ってみる」

ライヤとリンは呆れる。

何なんだよ!この態度の変わりよう……。

待てよ。弟をエサにマクシリンを使うという方法があるな。

マクシリンは手を男の子の胸に当て、何かを唱え始めた。

「今日は一時的対処だけするわ」

ライヤがアルミカの両肩を二回叩く。

「あとは、頼んだ」

「姉さんは?」

「寝る」とニッコリと微笑む。

なんて奴なんだ。とアルミカは心で訴えた。

「リン。行くぞ」

ライヤが看護所のドアを開けて出て行く。

「えっ?あっ。はい。お嬢様」と少し戸惑った。

少し歩いてからライヤは、リンに話し掛けた。

「あれ。どう思う?リベッタ村なんて存在しないはずだよな。」

「はい。調べる必要があるかと」

「あーあ。仕事を増やすなよ。全くもぉ。」と歩きながら背伸びした。

「お嬢様。夜の警護は私が就きます。他、3名が護衛兵として配置しました」

「全員、女だよね?」

「もちろんです」




数分、ライヤの寝室。

ライヤはベッドに横になって天井を見つめていた。

何か不安があるような顔をしていた。

まだ寝ていなかった。

「おい」

「何でしょうか。お嬢様」

「剣闘士……とかいつ雇った?」

ライヤのベッドを囲んで護る屈強な女男達。

正直に言って、女なのか、男なのか、判別不可能。

「ライヤ様が帰られてから直ぐにです」

ライヤは布団を顔が隠れるくらいに覆った。

「あぁそうか。護衛兵は女だけと聞いたけど」

私のプライベートとは何なんだ?

これは、なんか違う。

目を閉じても近くにいる気配が、もぁ怖くて耐えられない。

五感を私は鍛えた。

特に暗闇の中でも戦闘が続けられるようにしている。

小さな物音・空気が動く感覚・嗅覚……。

今回はそれが、邪魔をして寝れん。

ミシっと床が軋む音で目が覚めてしまう。

「動くな。息するな」

「お嬢様。それは無理です」

「リン?とりあえず、ドアに寄せろ。これでは寝れん」

「仕方ないですねぇ。剣闘士さん。ドアにいて下さい」

「あいよ」

あいよって何だよ。

剣闘士らが歩くたびに床が軋む。

リンがライヤのベッドに入ってきた。

「おい。何でお前が、私のベッドに入って来る?」

「寒いんです」

「……」ライヤは唖然。

あれ?私はこの国の領主の娘だったよね。

ライヤが呆れ返りリンに背中を見せる。

「お嬢様に」

「ん?」

「お嬢様にもう二度と寂しい思いをさせたくないのです」

背中越しに聞こえるリンの声。

「馬鹿野郎……」とライヤは少し笑って言ったのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ