狙われた命 その2
ライヤはリーダー的な男に捕まってしまった。
老人が槍を構えてゆっくりと歩みよって来る。
「聞こえねぇのかよ!ジジィ来るな」
ライヤの首元に短剣が強く当てられた。
「やめろ……投げるな。槍を……」
「黙れ!クソ女。お前は後でゆっくりとバラしてやるよ」
ライヤの首から少し血が垂れ落ちた。
赤い血が出たのを見た老人は肩を震わせて怒り出し、槍を思いっきり投げつける。
槍がしなりながら音をたて真っ直ぐ飛んで来る。
「え?」
「いゃああああ!」
ライヤは半泣き状態であった。
槍はリーダー的な男の頭部に命中した。
「う…そ…だろ……」と後ろに倒れ込んだ。
ライヤは驚き過ぎて崩れ落ちた。
死ぬかと思った…。
「大丈夫ですかな」とその老人が駆け寄ってきて手を差し出した。
「クエンハイム殿……私ごと突き刺さったらどうするつもりだったんですか……」
助けに来た老人はクエンハイムだった。
ライヤをずっと捜していたのであった。
「だって、ライヤちゃんに傷付けた奴が許せなかったんだもん。ぬ?もしや、泣いているのでわ」
ライヤは急いで、涙を拭う素振りをした。
「違う!こ、これはだな。そのー」
「そうか。怖かったんだね。よしよし。私めが抱きしめてあげよう」とライヤ抱きついた。
その瞬間、ライヤのアッパーがクエンハイムの顎に入った。
「やめんか!このエロジジィ」
「ぐはぁぁ。……見事な……アッパーですのう……。我……ライヤ居てこそ……我があり……」
辞世の句である。
それから、朝になってライヤとクエンハイムが帰って来た。
宿屋の前にはアルミカとカシダがライヤの帰りを待っていたのだろう。
ライヤの姿を見たアルミカが駆け寄って来た。
「姉さん。心配したよ?えっ。どうさしたのその傷!?」
包帯で巻かれたライヤの首を優しく触る。
アルミカの顔が不安になっていた。
「ライヤ殿の怪我は対した事はない」
「そうですか。良かった……。カシダさん?って……何で崩れ落ちてんの?」
カシダは宿屋の前で方針状態。
「ライヤとクエンハイム殿が……朝帰り……。嘘だ……嘘だ……。うわああああ!」と頭を抱え出す。
ライヤがー奪われた!!!!!
※カシダの勝手な妄想です。
「アルミカ。カシダは悪魔に取り憑かれたのか?」
「さぁ最近おかしいけど。大丈夫だと思うよう」
「ほっほっほっ。何か変な事を考えたのでしょうな。」とクエンハイムが笑い出した。
変な事とはご想像上にお任せします。
ちなみにあの夜はライヤを手当てしてから、真っ直ぐにカシダとアルミカの居る宿屋へ向かっていた。
遅くなったのは理由があった。
クエンハイムが帝国兵の装備が気になり、懐を漁り始める。
そんな時、何かを懐から見つけた。
「ん?何かある」
取り出してみると、黒檀のペンダントだった。
その黒檀のペンダントに刻まれた文字を月明かりを利用して読んだ。
「暗黒の大地に栄華あり。黒の書を崇め、魔王を崇めよ」
「なるほど。やはり魔王教団だったか」
「奴らには……魔導師がおりますぞ」
魔導師………母上を殺した…あいつではないだろうな。
もしもあいつだったら、私が…ぶっ殺す。
ライヤのつぶやき。
ライヤ:はぁ…。
アルミカ:どうしたの。姉さん?
ライヤ:聞いてくれ。新しい剣を買うお金が無いんだよ。ほら。財布の中身は1ライトしかない…。
カシダ:ブハハハ。剣を買うには最低でも10000ライトいるぞ。ライヤ?見てみろ俺の財布の中身。
ライヤ:なっ!?何でそんなに大金があるんだ。
カシダ:賭けで儲けたんだぜぇ。
アルミカ:じゃあそれで買おうよ。
ライヤ:そうだな!さすがは弟。
カシダ:えっ?そんな、あっ。なんて泥棒猫だ…。