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英雄亡き世界  作者: 飯塚ヒロアキ
第三章 魔王の手下
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狙われた命

ライヤはバルグ首長に会う為に帝国軍兵士四人に連れられて歩いていた。

しかし、何か妙だ。

段々、街から離れて行っているような気がするが…。

「なぜ?バルグ首長の屋敷に行かないんだ」

「はい。今回は極秘密会ですので。人目につかない場所が用意されております」

「なるほど。だが、この先は森に続く道だぞ」

「ちっ。勘付かれる前にここで殺すぞ」と一番後ろの帝国兵がつぶやく。

ライヤの背後から、鞘を抜く音が聞こえた。

「ん?何かあったのか」

ライヤが振り返った時、いきなり帝国兵が襲いかかった。

私は左に避けた。

昔から勘だけは良いんだ。

今回もその勘に助けられたな。

「貴様ら!?」

「不意打ちを紙一重で避けるとは驚いた」

「酒を飲んだ後が良いと思ったんだが、意味なかったな」

「まぁいいさ。ここならバレない」と斧を持った帝国兵が口笛を吹く。

すると、至る所から帝国兵が現れた。

頭数で三十人。いや。暗くてわからない。

もっといるだろうな。

これは罠か…。

「へー噂をすれば何とやらだな。あれ?」

ライヤは剣を手に取ろうとするが、忘れていた事がある。

しまった!剣が無いんだった。

「ライヤ殿はお強い。しかし、剣がなければただの女」

「くっ」

帝国兵がジリジリと距離を詰めた。

朝まで逃げ続けるしかないか。

そうすれば、カシダとかが勘ずいてくれるはず。

しかし、カシダは宿屋で爆睡中。

「 やれ」

リーダー的な男が合図した。

一人の帝国兵がライヤに剣を向けて走り寄る。

あの形は、突き刺す構えだ。

私は騎士。

剣が無かった時を考えて体術を修得している。

今回は、ギリギリまで引きつけて右に避ける。

身体の左脇きに剣が通り抜けるから、それを挟む。

「くっ!?は、離せ」

「そして、顔面をえぐるように殴るべし!」

「がは」

歯が何本か折れた帝国兵が宙を舞う。

「サルベート家体術兵法第三十五ページ。突き刺す構えには、ギリギリで避ける。ってね。フフフ。こうも簡単に出来るとは」

「おのれ。くそあまが!」

ライヤの背後から、二人の帝国兵が向かって来る。

直ぐに振り返り、上から振り下ろす剣を避けると、二人丸ごと右足で横へ蹴り飛ばした。

「うぇぇぇ」

どれだけの脚力だよ。とツッコミたくなるほどだ。

「化け物か!?」

「サルベート家は恨まれてるからね。剣が無くても闘えるようにしているんだよ」

だが、剣が無ければ不安になる。

体術は結構体力使うし…。

「きぇぃぃぃ!」とライヤの正面から走っていた。

さて、私から行くか。

ライヤは地面を踏み込み、相手に向かって走り込む。

首を切り払うつもりか。ならば。

相手の手首を掴んで右腕を折る。

ポキっと良い音がした。

「お疲れさん」

私は背後から嫌な予感がした。

奴が来た。私でも敵わない…。

少し離れた場所で悲鳴が複数上がった。

「ぎゃあああ」

「うぐっ」

「な、何だ!?」とその場にいた帝国兵が悲鳴の方へ振り向く。

振り向くと月明かりに照らされる一人の老兵が立っていた。

怪しい微笑みを見せる。

「新手か!老いぼれなんかさっさと殺せ」

「へい」

その老人がいきなり走り出す。

見た目こそは老人だが、かなり速い動きをする。

帝国兵を縫うように走る。

「なっなんだ!」

軽快な動きで敵の首・足・手をはやぶさの如く斬り刻む。

「ぐわあああ」

「このやろー」

老人のレイピアが首に刺さった。

「おっと。失礼しました」と刺さった相手を足で押して無理矢理引き抜く。

帝国兵は次々と切り捨てられていく。

その老人に槍を突き出すが、当たらない。

まるで、見えない相手と闘っているような錯覚に陥るようだ。

時には三人を同時に倒したりもした。

ライヤがそんな姿を見ていた時、リーダー的な男が背後より近づかれて捕まる。

しまった!隙を作ってしまった。

ライヤの首には短剣を突きつけられる。

「お、おい!そこのクソジジィ。剣を捨てろ。さもないとライヤを殺す」

その老人はゆっくりと振り向く。

近くに落ちていた槍を手に取る。


果たしてライヤの運命は……









ライヤらの雑談。


ライヤ:私って小さい頃、父上に嫌でも体術をさせられたんだ。つらかったなぁ。


アルミカ:姉さんっていつも、張り切り過ぎて何かを破壊しまくったよね。例えば壁とか柱とか。


ライヤ:な、何を昔の話を…恥ずかしい…。


カシダ:そうそう。俺が遊びに行った時、顔面に飛び蹴りされた。


ライヤ:つっ……。

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