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英雄亡き世界  作者: 飯塚ヒロアキ
第三章 魔王の手下
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団長の強さ

峡谷の国では戦争の準備を始めていた。

続々と集まる各国の軍隊。

峡谷の街には城に入りきれなかったエルフとドワーフの野営地が複数見る事ができた。

物騒な世の中になったものだ。

帝都が陥落した瞬間、平和という形が崩壊したのだから。

ライヤも戦いに備えて、フェレン聖騎士団と帝国軍残存部隊を演習場に呼びつけていた。

舞台の上にライヤとカシダの姿がある。

帝国軍残存部隊の隊列に並んだアルミカの姿も見えた。

マクシリンは大学院で研究中。

「諸君!我々は魔王の首都まで攻め込んだ。しかし、結果はこれだ。我々の不在中に帝都を奪われ、名誉も誇りも全てを失った。諸君らを責めるつもりはない。だが、今度逃げたら許さん。私が許さないという意味ではない。英雄王様に示しがつかないからである。それだけは肝に銘ずるように」

演習場に集まった兵士達は息を飲んだ。

彼らの指揮官はかなり、怒っている。

「貴様ら!返事は」

「はっ!」

兵士と騎士はおどおどしながら一斉に敬礼した。

全く情けない。

私は指揮官としてまとめられていない……。

カシダは呆れてしまった。

「ライヤ……びびらせてどうするんだ」

「何を言うカシダ。あいつらは逃げ出した腰抜けだぞ!」

うわっ。やっぱり怒ってる!

「まぁとりあえず、訓練を始めないか」

「そうだな。では今回、諸君らに新兵器である石弓を扱えるように訓練する」

「石弓?」と兵士と騎士が顔を見合わせてひそひそと話し出した。

ライヤが帝国軍将校に合図すると木箱を列をなして持って来た。

それを順番に開け、兵士に配給係りが石弓を配る。

「おぉこれが新型の石弓?」

「これは、また凄い」と驚きの声が上がる。

ライヤも石弓を手にしてた。

「この石弓は矢に細工があるらしいが……」

大丈夫かな。

実は私はまだ石弓自体を射った事がまだ無い…。

ましてや魔導師の武器となると不安になる。

てか、どうやるんだ?これ…。

悩んでいた時、カシダが助けた。

「ライヤ。先ずは弦を引くんだ」

「ん。これか?うぬぉぁああ。あれ……動かない……」

「バカだな。これはハンドル式だよ」

「お前?やり方わかるのか」

「あぁ昔使った事があるんだ。貸してくれ」とライヤの石弓を手に取り右側に付いていたハンドルを回した。

キリキリと音を出して弦が引かれた。

「これでよし。あとは矢を装填してと」

カシダは矢を装填し、近くにあった的に向け構える。

「なるほど!それで引き金とやらを引くんだな」

「その通り」と言うと引き金を引く。

勢いよく飛んだ矢が的の中央にあった。

「何だよ。普通の弓とー」

的が爆散!

ドーンと響く。

ライヤとカシダは目が点になった。

ぬあああ!声には出さなかったが心の中でライヤは叫んだ。

演習場に設置された的の一つが消失……。

カシダは矢の先を見つめる。

「な、なぁライヤ?もしかして、この矢じりはダイセン石とか……かな……」

カシダがそう言った為、ライヤも矢じりを見つめた。

その矢じりは少しだけ赤く光っている。

間違えない。

これはダイセン石だな……。

一本の矢であれだからなぁ……演習場が……。

「こ、これは野戦演習で使う事にする。今回は通常の矢に。カシダは帝国兵士に石弓を訓練してくれ」

ライヤは身軽に舞台から飛び降りた。

「ライヤは?」

前髪をかきあげてカシダを見上げる。

「私は石弓など使わない。聖騎士と剣の稽古だ」と微笑む。

可愛い…。

戦場の女神とはライヤの事を言うのだろうか。

「わかった。怪我はするなよ」

「はぁ?私を誰だと思っている」

「すまん。忘れてたよ。ライヤ聖騎士団長殿」

久々に言われたな……。

聖騎士団長か。

英雄王様がフェレン聖騎士団団長に私を任命して下さった。

その期待に応えなければならない。

例え、この身の一部が無くなろうとも、戦場に散ろうとも……。

私は戦い抜く。








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