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英雄亡き世界  作者: 飯塚ヒロアキ
第二章 足踏みを始めた戦争
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議会の開廷 その4

作者自身が一瞬だけ小説に登場します。

最後まで読んだら多分わかるかな。


ライヤが酒敵と争いをしていた頃、カシダ達は宴に参加していた。

ライヤが言っていた通り、シェール国の特産品が食事として出されていた。

エルフの奏でる音楽。

少し離れた場所ではドワーフの詩声がする。

そして、舞台では美人な踊り子達が妖艶に踊っていた。

ドワーフは酒の入った樽ごと飲む奴がいた。

「酒を飲み干せ!ガハハハ」

「我らの帰る場所〜戦士達の楽園〜ガリンデ」

「名誉ある死を!魔族には永遠の罰を!」

そんなドワーフの歌の中、カシダ達は長机に並んで座って食べていた。

「いやぁ〜まさか本当に白豚があるとは……あーん。うむ、うむ、うめぇ。もう思い残す事は無い。何てな。アハハハ」

「それにしても、姉さんはまだ来ないのかな?」とアルミカはライヤを心配していた。

カシダが気になって目でアルミカを見た。

手にはラム酒を一杯キープしていたのだった。

そしてアルミカはあまり食に手をつけていない。

こいつはなんて、姉思いな奴なんだ?

「議会って長い時もあれば、短い時もあるからね。でも大丈夫だよ。この宴は三日三晩は続くらしいから。それよりアル?もっと楽しもうよ」とアルミカの腕を掴み急接近した。

「ち、ちょっと。マクシリン!?恥ずかしいよ。そんなにひっつかないで」

「いいじゃん。ヒック、今日ぐらい。明日も明後日もだけどね。フフフ」

マクシリンはライヤの事を全然心配していない。

まぁ……仕方ないけど。

それより、この白豚をってあれ?

カシダは驚いた。

さっきまで目の前に盛りつけられた白豚の丸焼きが消えたのだから。

そしてカシダは隣に違和感を感じた。

そこに目を送ると……

「うわっライヤ!」

カシダは大きなリアクションをした。

それはかなり至近距離だったからだ。

ライヤがこんなに近くに居るなんて……

ある意味で嬉しい……

そんな事を思っていたらライヤが白豚を食べながら言う。

「白豚……う、美味い。ん、何だ?その目は。あげんぞ。これは私の物だ!」と白豚の丸焼きを略奪した。

「あっ姉さん。帰って来たんだね。ほら。姉さんの為にラム酒を一杯キープしてたんだよ」

アルミカは嬉しそうな顔をしてライヤに差し出した。

「おぉ流石は私の弟」

満面の笑みをし、アルミカのラム酒を一気飲みした。

「ふんだ。私のアルミカを奪いやがって……」とマクシリンが小さくつぶやき、やきもちをやいていた。

そんなライヤをカシダは見つめた。

「あれ?その服装どうしたんだ。ライヤがいつもより綺麗に見えると思ったら、ぐぎゃあ」

カシダの顔面にライヤのパンチが入り、後ろに倒れた。

「どういう意味だ。まるで前までは不細工だったみたいな言い方ではないか!」

カシダは起き上がり、何もなかったかのように再び座る。

「違う。俺が言いたかったのは、だな……その……普段着ている服とは違って……可愛くなった……」

「あっそう」と流した。

そしてライヤはオーダーしていた二杯めのラム酒を口にした時、思い出したかのように驚き、カシダに振り向くと顔面にラム酒を吹きつけた。

「あっすまん。いきなり変な事を言ったから驚いたんだ。バカ……」

カシダの奴、いきなり可愛い…なんて言うなよ。

私は恥ずかしくなるではないか。

「……」

カシダは放心状態。

アルミカが急いでカシダの顔を手拭いで拭く。

「姉さん?カシダさんがショックを受けてますよ。もお。可哀想に……」

「残酷ねぇ。ヒック、あっカシダさんが泣いてるよ。」

「すまん。泣かなくてもいいだろ」

カシダは悲しくて泣いていたのではない。

嬉しくて泣いたのだ!

この19年間の人生で思い人にラム酒を吹きかけられるとは、何と良い人生だったんだろうか……

侮辱と、とらえる奴がいるかもしれない。

だが俺はその逆なんだ。

もう一度ライヤに!

カシダは泣きながらライヤに勢いよく振り向く。

「な、何だよ。悪かったって。謝るから」

カシダが願いを言おうとした時、背後から一人の青年が近づいて来た。

アルミカとマクシリンがそれに気が付き、目でその青年の動きを追った。

「ライヤ!もう一度俺に、ぐはっ」

青年が鬼の形相でカシダの頭を思いっきり殴る。

カシダは長机に沈没。

「あっカシダ!大丈夫か。てか、お前誰だよ」

ライヤが驚き、その青年に話しかける。

しかし何も言わず、Vサインしてどこかに行ってしまった

「姉さん?あれは飯塚さんだね」

アルミカはわかったのだろう。

「だねぇ」とマクシリンも合わせて言った。

「飯塚って誰だよ……」

ライヤは疑問の顔をした。

※飯塚とはこの小説の作者なのだ!

あまりにもカシダが暴走したので制裁しておきました。

それから三日三晩宴を続けたのであった。

カシダについては一日目の事を根に持っていた。

「畜生……結局、残り二日間は何もなかった…。誰が俺の邪魔をしたんだ。絶好のチャンスだったのに……」

部屋で一人、不貞腐れるカシダだった。

そんな姿を部屋の扉から覗いていた三人がひそひそと話す。

「犯人教えてあげる?」とアルミカが言った。

「いいじゃん。教えなくとも」

「それより、絶好のチャンスとはどういう意味だ?」

「さぁ」

アルミカとマクシリンが同時に首を横に振るのであった。




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