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英雄亡き世界  作者: 飯塚ヒロアキ
第二章 足踏みを始めた戦争
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議会の開廷 その3

魔王軍の先頭には謎の少年がいた。

双剣を使い、時には魔法も使うとか。

議会ではその報告ばかりだった。

「その少年は魔王の手下と考えるのがよいかと」

ライヤの言葉に3人の首長もうなずいた。

「魔王の手下か……。厄介かもしれんな」とバズム首長が目をしかめた。

確かに厄介だ。

魔王が出陣していないのはその少年が魔王と同じくらい強いという事だ。

「我らはこの少年には注意すべきという事ですな」

ワルツェン首長が手を腰に置いた。

「だが、急がねばならん。魔王軍の進撃は勢いを増すばかり」

その言葉にドワーフ幹部が立ち上がる。

「バルグ首長!魔王軍は南山脈にも進撃を始め、既に3つの鉱山が奪われた」

「鉱山はわしらにとってダイセン石と鉄鉱石を採掘する重要拠点。何としても取り返さないとならない」

「おのれ!許せん。魔王め。しかも、我らの先祖の墓まで荒らした」

バズム首長の顔には怒りが現れていた。

ドワーフは怒りっぽいと聞いた事があるが、私は初めて見た。

エルフ幹部も喉に詰まっていた言葉を言い始める。

「それは我らとて同じ。魔王軍は聖地であり、母なる北森林を伐採している。許し難き行為なり」

「そうである。バルグ首長。もうこれは種族を超えた戦争です」

「そうか……。議長として、決断の時が来たか」

私に絶好の機会が来る。

汚名返上に名誉挽回。

私は帝都を奪還したい……。

この連合軍であれば、騎士として再び、戦列に入り魔王軍を蹴散らす事出来る。

「バルグ議長!今こそ開戦の時。フェレン聖騎士団は既に集結を完了しております。帝都を奪還し、魔王を打ち払うのです」

「帝国軍も全軍動かせます!」と帝国軍将校が叫んだ。

「うむ。では議会の方針に従い、戦争賛成の者は挙手を願う」

「賛成だ!奴らなど真っ二つにしてやるわい」

バズム首長が手を挙げる。

「我も賛成!この剣に誓って、帝都を奪還致しましょぞ」

ワルツェン首長も手を高々に挙げる。

「闘いに賛成!」

議会は満場一致で開戦をする方針へ固まった。

「私達トール魔法大学院も協力させてもらいますよ」

議会室の全員が声がした方へ振り向く。

そこには黒装束の一人の老女がいた。

「おぉという事は、対ゴリアテの武器が完成したのですな?」

バルグ首長が喜ぶ。

「魔法が使えなくとも、ゴリアテを倒せる武器を開発致しましたわ」

「バルグ首長?あの方は?」とライヤが聞く。

「トール魔法大学院理事長ブラウス殿だ」

魔導師……こんな奴らに力を借りないとダメなのか。

「新型の石弓です。明日にでもお配りしましょう」

「そうか。これなら勝てるな。よし決議により戦争を始める。作戦日はまた後に決めるとしょう。これにて閉廷。諸君!今日は宴が開かれている。存分に楽しんで行って下され。」

「………」

議会室は静寂に包まれる。

皆、相手の顔をうかがっているようだった。

誰も立ち上がらない。

誰が先に動くのかを待っていたからである。

ライヤはそんな心理戦が行われていた事には気が付かない。

ん……新型の石弓は気になるが……明日にしよう。

今は宴だ!急げ、私。

誰も外に出ようとしない。

どうしてだ?まぁいいか。

ドワーフより先に行かないと……。

ライヤは議会の一つしか無い扉に走り込む。

それを見た議会室の一団が一斉に動き出した。

「どけぇい!邪魔だ畜生」

ライヤは議会室から出られないでいた。

なぜなら、300人が雪崩のようになった為、扉で詰まっているからである。

「ラム酒は、私の物だ!このっ」

ライヤはここで、火事場の力を発動!

目の前の酒敵を投げ倒し前に無理やり進む。

「うりゃあああ!」

そして抜け出したライヤは宴の方に向かった。

私の後ろから酒敵が追いかける。

渡さん!絶対に渡さんぞ。

追い抜こうとしたドワーフに思いっきり肘で溝うちした。

「ぐふっ」

「ドワーフなんかにラム酒は渡さない。」

「な、なんという執念……」と言って顔面から崩れるように倒れた。





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