表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【モブ武将】松下嘉兵衛は、木下藤吉郎を手放さない!~おこぼれの小大名で終わりたくないので、三英傑を手玉に取ってビッグになろうと思います!  作者: 冬華
第1章 遠江・旅立ち編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/55

第26話 嘉兵衛は、騒動の後始末に取り掛かる

天文23年(1554年)11月下旬 遠江国井伊谷城 松下嘉兵衛


おとわの断罪シーンには関わる事ができなかったが、何があったのかは亀之丞様から伺った。何でも和尚がお怒りで、おとわにこの不始末の責任を取らせて尼にすると言ったとかで。


「まさか、このような事になるとは。もしかして、俺……しくじったのかな?」


だから、こうして亀之丞様は落ち込まれているが、俺としたら何も問題はなかったりする。まだまだ想定の範囲内に留まっているし、それに尼になったとしても、永久脱毛薬でも開発されない限り、髪は伸びるのだ。


むしろ、尼になってくれた方が監視の目も緩やかになるし、駆け落ちしようと思うのならば、こちらの方が実は好都合だったりする。


「……とはいえ、本当にこのまま尼になるのを待つつもりではないよな?」


「但馬守殿、当たり前じゃないですか。それでは、本当に駆け落ちの選択肢しかなくなりますからね。父君や母君にも会えなくなるわけで、それはあくまでも最終手段ですよ」


そして、俺は藤吉郎に「予定通り始めるように」と命じる。即ち、これからおとわの御乱行は、その実、小野和泉守から二人を守るための『苦肉の策』であったという噂を広めてもらうのだ。


「上手く行くかな?」


「大丈夫ですよ。藤吉郎の能力からすれば、その程度の事は容易き事ですからね。何も心配は要りません」


「いつも思うのだが……物凄くあやつのことを信じておるのだな……」


「はい」


但馬守殿は恐らく呆れているのだろう。そのような事では、いつか痛い目に遭うぞとでも言いたそうでもある。


だけど、俺は一度死んだ身だ。おまけの人生だと思えば、例えこの先藤吉郎に裏切られて命を落としたとしても、後悔はないと思って生きている。だからこそ、俺はブレない。この人生はどこまでも藤吉郎と運命共同体だ。


「しかし、嘉兵衛。噂を流して皆が信じれば、おとわの名誉はある程度回復するだろうが……流石に和尚の態度からすると、無罪放免というわけにはならぬのではないか?」


「そうですね……尼になれとまで言い出すとは、正直なところ某としても驚きました……」


とはいえ、想定の範囲内だ。少しハードになるとは思うけど、これに対する解決策を二人に披露した。それは、俺がこれからご厄介になる関口家の養女におとわを推すことだ。


「関口家の御当主・刑部少輔(氏純)様のご内儀様は、殿の叔母上にあたるとか。但馬守殿、お願いする事はできませぬかな?」


実現できれば、和尚が懸念している俺とおとわの子が他日、井伊家の家督を亀之丞様の息子と争う事態は避けられる。これならば、和尚も考え直してくれるかもしれない。


「なるほど……それは確かに妙案だ。但馬守、頼めるか?」


「承知しました。内々に承諾を頂けるように手を打ちましょう」


「よろしく頼む」


まあ、そうなると婚礼は少し先になるなと思った。まずは来春、俺と共に駿府に行き、おとわは関口家に一先ず入らなければならないのだ。婚約くらいはできると思うが、祝言となれば家の体裁とかあるから、半年ないし1年は先になるだろう。仕方ないけど、残念だ。


「それと、嘉兵衛。この件は一度おとわに言っておいた方が良いと思うが……」


「そうですね。その様子だと、すでに暴走寸前なのですね?」


「ああ……並の兵士では抑えきれないからな。今は傑山ら屈強の僧兵が逃げ出さないように見張っている。ただ、それもいつまで持つかはわからないとも……」


あれほど俺を信じて待っていてくれと言ったのに……一体何をやっているんだと思うが、こうなったら仕方がない。


「会う段取りは付けて頂けるのでしょうな?」


「もちろん。その辺りは、和尚を抜きにして傑山と話を付けてあるから心配しないでくれ」


もっとも、昼間は人目があるから、夜に忍び込む形式をとって欲しいと亀之丞様は言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ