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【モブ武将】松下嘉兵衛は、木下藤吉郎を手放さない!~おこぼれの小大名で終わりたくないので、三英傑を手玉に取ってビッグになろうと思います!  作者: 冬華
第4章 桶狭間・決戦編

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第173話 久作は、兄と共に清洲城を乗っ取る

永禄3年(1560年)5月中旬 尾張国清洲城 竹中久作


今朝未明、信長が小姓たち数名を連れて出陣した。籠城策を取るものだと思い込んでいた織田の重臣たちは慌てて、次々と軍勢を率いてこの清洲城を出立していく。


そして、その様子を城門近くの櫓から確認して……俺は兄上の元へと向かった。


「それで、この城に残るのは?」


「村井吉兵衛以下、およそ2百」


ちなみに、これから行うのは、この城の乗っ取りだ。ただし、我らは兄上や俺を含めても17名しかいないから、成し遂げるためには策が必要だ。なので……


「命じられた通り、寧々殿の巾着袋からキノコをこの通り……」


「ふふふ、久作。よくぞやってくれましたね」


その手始めとして、この色鮮やかなキノコたちはこの後、残った者らの朝飯に出される味噌汁に入れられることになる。どういう効果が出るかは寧々殿が酔いつぶれて、目を覚ましていないからわからないけど、きっと碌な事にはならないだろう。


腹痛ならまだマシで、最悪命を落とすことも……。


「あと、帰蝶様は?」


「本丸御殿にて」


「改めて皆に申しておきますが、決して帰蝶様には危害を加える事はないように」


「もし、抵抗したら……?」


「無理に捕らえようとする必要はありません。自害ができないように監視はつけますが、それ以上の事は。あと、何処かへ落ち延びようとなされたら、止める必要もありませんから、その事も忘れずに」


兄上が言うには、稲葉山の殿におかれては帰蝶様に対して情がおありだということで、もし危害を加えようものなら、お咎めを受けかねないらしい。


「甘く考えない事ですよ?殿の妹君への愛情はちょっとどころではなく、異質なものですから。でも、片想いなので、そこはかなり気の毒ではありますがね」


……言うなぁ、兄上は。まあ、稲葉山の殿の妹愛は、改めてここで言われなくても皆も知っている事だ。織田家が滅びた後に、帰蝶様がお戻りになった時に住んでいただく御殿も城内に用意済みだという事だし……。


「では、半刻後(1時間後)に始めるとします。皆さん、抜かりなきよう……」


「「「「はっ!」」」」


こうして、俺たちはこの清洲城を乗っ取るために動き出した。


「グホ……お、おのれ……」


「ひ、ひきょうなぁ……」


お腹を抱えながら恨み言を口にする織田の兵たち。卑怯な事をしたのは自覚しているので、そのついでに後腐れなく命を刈り取っていく。明確に敵となったからには、縄で縛ってその辺りに転がしておくという手段は取らなかった。


「ちょっと!あんたたち、なにをやっているのよ!!」


だけど、そこに現れたのは、酔いつぶれて眠っているはずの寧々殿であった。


「どうして……どうして、織田の皆を殺しているの!?斎藤は……味方になったんじゃ……」


この娘には、我らも些かなりとも情があった。短い間であったけど……共に仕事をして、酒を飲んで楽しかったし、出来たら殺したくないと思って、俺は兄上を見た。


「寧々、選びなさい」


「選ぶって、何を……?」


「織田はもうこれでおしまいです。だから、我らの味方になってください」


しかし……寧々殿の答えは「否」。兄上は再び説得を試みたりはせず、「仕方ありません」と言って、寧々殿を斬るように命じられた。大事の前の小事だと、冷たく言い放って。


「久作殿……」


「やむを得ません。兄上の命令は絶対です。従いましょう……」


皆の顔には明らかに不本意だという気持ちが表れていたが、ここで寧々殿に足止めされて作戦が失敗に終われば、何にもならないのだ。それゆえに、躊躇う皆を制して……俺の手でその命を刈り取ろうと前に出た。しかし……


「おい、貴様ら。腐れ外道の盗人斎藤の者共よ!幼き女を手に掛けようとするとは、そこまで堕ちたか!!」


真っ青な顔で厠から飛び出したその男は、俺が呆気に取られている間に寧々殿を庇うようにして前に立ち塞がった。ただ、やはりお腹が痛いのか……次の瞬間、苦しそうにしながら膝をついた。


「……何者です?」


「前田……慶次郎利益、只今参上……!」


「大人しく厠に隠れていれば、命は助かったのですよ?死にたいのですか?」


「ふん!臆病者になるくらいなら、死んだ方がマシだ。もっとも、俺は死ぬつもりなんてないがな!!」


前田慶次郎は、懐から何かを取り出して、地面にたたきつけた。その瞬間、白い煙があたりに充満して我らの視界を遮り……収まったころには、寧々殿共々、何処かに姿をくらませていた。


「兄上……」


「ふふふ、してやられましたね」


だけど、その顔には悔しさとかは滲み出ておらず、寧ろどこかホッとしたような……そんなお顔をされていた。もしかしたら、寧々殿が逃げてくれて良かったと思っているのかもしれない。


「さて、時間はあまりありません。二手に分けて、わたしの方は帰蝶様の元へ向かうので、久作たちは引き続き織田兵の始末を」


「承知しました」


しかし、清洲城の占領は成し遂げたものの、兄たちが本丸御殿に駆け付けた時にはもぬけの空で……帰蝶様は城から落ち延びられた後であった。


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