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【モブ武将】松下嘉兵衛は、木下藤吉郎を手放さない!~おこぼれの小大名で終わりたくないので、三英傑を手玉に取ってビッグになろうと思います!  作者: 冬華
第3章 駿河・出世編

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第148話 嘉兵衛は、弾正の正体を知って……

永禄元年(1558年)8月上旬 京・二条法華堂 松下嘉兵衛


松永弾正様は、俺と違う未来から来たけど、転生者であった——。


「はぁ……どうしたらいいのか」


あの日、平嶋城の茶室で「共に手を携えて、この国の未来を良くしよう」と誘われたが……俺は知っている。三好家はこの先、不幸が続いて没落していくことを。そして、残された松永様も信長に逆らって爆死する事も。


もちろん、その話は松永様にはしていない。俺のいた未来では、徳川家康なる者が天下を獲り、260年に渡って世に平和をもたらしたとだけ伝えている。


「徳川家康って誰?」


もっとも、開口一番でそんな事も言われていたが……最終的な天下人が三好様でないという時点で、この先に待っている不幸な未来に松永様は勘付いたのだろう。俺と手を組むことで、この辺りの運命を変えておきたいという思惑が透けて見える。


「でもまあ、今川が信長に勝てば、その未来も変わるわけで、必ずしも松永様の未来がそうなるとは限らないしなぁ……」


松永様も言っていたけど、転生者のアドバンテージはこの先の出来事を知っている事だ。しかし、大きな流れをひとつでも変えてしまえば、その先は全く知らない未来へと進んでいく。それゆえに、桶狭間がなくて、今川家が信長に勝った先に……何があるのかは未知数だ。


場合によっては、全くもって想像のつかない人物が天下人になっていることだってあり得るのだ。


「しかしなぁ……」


だから、別にここは手を組んでも……と思わないでもないが、相手は義理ワンと言われた戦国時代一の極悪人だ。この辺りの性格が俺の知る未来と代わるかと言えばそうではないため、果たして呑気に手を結んでも良いものだろうかと悩んでしまう。


その事が脳裏をよぎっては中々に思い切りがつかない。それゆえに、この場に藤吉郎が居たらなと思った。あ……でも、前世の事だけはあいつにも言えぬか。またため息がひとつ零れた。


「殿……少しよろしいでしょうか?」


「源太郎?それに、小平太も源五郎もどうしたのだ。そのような顔をして」


そういえば、松永様の一件もあって、この所この連中を放置していた事に気がついた。ゆえに、もしかしたら何か大きな失敗でもしたのかと思ったが……


「これを……」


「なんだ、これは……?」


手渡された冊子を開くと、そこには男と男が裸で絡み合っている絵が描かれていた。そして、説明書きに片方が無人斎様で、もう片方が……俺だと記されていた。


そして、源太郎はこの冊子の出処が京に滞在している寿桂尼様であると俺に告げた。


「寿桂尼様が?しかし、なぜこれを……」


「殿への仕返しではないでしょうか?」


「仕返し?」


まあ、藤吉郎が仕掛けた一件で、確かに恨まれても仕方がないとは思っているが、源太郎が言うには、寿桂尼様は裏家業を生業としている連中に依頼して、この冊子を全国にばら撒こうとしているとか。


「これが出回れば、のちの世まで殿の御名に傷がつきますぞ。何とかしなければ……」


「だが、そうはいうが源太郎。何とかするにしても何をどうすればよいのだ?駿府ならいざ知らず、ここは京。俺のできる事は……」


そう言いかけて俺の脳裏に松永様の顔が浮かんだ。松永様のお力をお借りすれば、この本を発禁にして、関係者を潰す事などそう難しい事ではないと……そう思った。


「殿!この上は、松永様にお願いしては……」


「わかっている。わかっているが、少し考えさせてくれ……」


もちろん、この本を発禁にする事だけを考えたならば、それでいいとは思うが……手を組むか決めかねている状況下で借りを作るのは得策ではないような気がする。しかし……


「おい、大蔵!これ、どうするのだ。うちの家臣が手に入れたものだが、この京の市中に出回り始めているぞ!」


「え……!?」


無人斎様が血相を変えて駆け込んできて、一刻も早く手を打つようにと催促されてはもうどうしようもない。俺は仕方なく松永様の下へと向かうことにした。


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