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【モブ武将】松下嘉兵衛は、木下藤吉郎を手放さない!~おこぼれの小大名で終わりたくないので、三英傑を手玉に取ってビッグになろうと思います!  作者: 冬華
第3章 駿河・出世編

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第134話 嘉兵衛は、将軍様に拝謁する(3)

永禄元年(1558年)7月上旬 京・将軍山城 松下嘉兵衛


義輝公に剣を指南した夜、俺はその義輝公から酒を飲みたいと誘われた。もちろん、断るという選択肢はない。


「それにしても、まさか差しで飲みたいと申されるとは思っておりませんでしたが……」


「仕方あるまい。余の近臣たちは皆、そなたにやられて酒など飲める状況ではないし、無人斎は別用があったのだろう?」


「ええ……無人斎様は六角様のお誘いがあったようでして……」


ちなみに、俺への六角様からのお誘いはなかった。甲斐の前守護だった無人斎様なら兎も角、今川家の一家臣に過ぎないと侮られたのだろう。まあ、これは仕方がない話だ。悔しいけど。


「それにしても、大蔵は強いな。誰に学んだのだ?」


「伊東一刀斎様に師事しております」


「なに?一刀斎だと!なるほど……道理で余が勝てぬはずだな」


別に俺が一刀斎様の指南を受けたから、義輝公が勝てなかったなどという単純な話ではないのだが……それをここでいうのも酒がマズくなるというものだ。とにかく、日々精進を怠らなければ、今よりももっと強くなると伝えておくに留めた。


「そういえば……この後、松永弾正に会いに行くと言っておったな?」


「ええ、これは今川家の事情とは関係なく、あくまでも某の都合でですが……」


「大蔵の都合とな?」


「はい。我が家臣に島左近と申す者が居るのですが……どうも、大和にいる継母に命を狙われているようでして」


「ほう……大和とな」


「それで、大和の実力者である弾正様のお力で、その者らに我が家臣への手出しを止めるように釘を刺してもらうことになりまして……会いに行くのはその打ち合わせも兼ねてと」


こうして親しく酒を酌み交わす以上は、胸襟を開いて義輝公に全てを正直に打ち明けた。だから、幕府を軽んじているわけではないと合わせて伝える。


しかし、義輝公は怪訝そうな顔をした。「弾正が大和の実力者とは、どういう意味なのか」と言われて。


「え……?松永弾正様と言えば、信貴山城主で、大和の実力者ではないのですか?」


「奇妙な事を申すものだな。弾正の居城は、摂津国滝山城であったはずだぞ。三好家も大和にはまだ手を出してはいなかったはずだが?」


その一言で俺は自分自身が未来知識による先入観で、誤った判断をしていた事に気が付いた。大和の実力者だから、この問題を容易に解決してくれると軽く考えていたけれども、もしかしたらあちら側には別の思惑があるのかもしれない。むむむ、これは困ったことになったものだ。


「まあ、勘違いは誰にでもある事だ。そう落ち込まなくても良いではないか」


「それは……そうですね」


それにここまできて、「勘違いでした」などと言って会いに行かないわけにもいかない。そんなことをすれば、次の日には暗殺されて川に浮いている可能性だってあるのだ。信〇の野望では暗殺技のスキルを持っていたし……ああ、考えただけでも恐ろしい。


だから、くよくよせずに今日は楽しく酒を飲むことにした。しかし、そんな中で今度は義輝公の方が急に悩み深そうな顔を俺に見せた。どうしたのかと思って訊ねてみると……悩み事の種は幕府の行く末だった。


「なあ、どうしたらよいと思う?余の代でもし滅びる事になったらと思うと、こうして毎夜酒でも飲まずにはいられないのだ。ご先祖様に申し訳ないというか……」


「いや、お気持ちは理解しますが、某は今川家の一家臣に過ぎず……流石にそのような質問には、何と答えてよいものか……」


「何でも構わぬのだ。何を言われても、この場限りの話として大蔵には迷惑をかけぬ。だから、忌憚のない意見を言ってくれ。幕府は……やはり、滅びるのか?」


滅びるかどうかと問われたら、滅びると答えるしかない。今から15年後に織田信長によって義輝公の弟・義昭公が京から追放されて、それでおしまいだ。歴史が変わらない限り、きっとそのような展開となるだろう。そう、歴史を変えなければ、だが……。


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