表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【モブ武将】松下嘉兵衛は、木下藤吉郎を手放さない!~おこぼれの小大名で終わりたくないので、三英傑を手玉に取ってビッグになろうと思います!  作者: 冬華
第3章 駿河・出世編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/205

第107話 嘉兵衛は、町奉行職を兼務する

永禄元年(1558年)5月下旬 駿河国今川館 松下嘉兵衛


駿府町奉行の役職にあった小原肥前守殿は、結局職を辞された。理由は急な病を患ったため、しばらく療養したいと。


「それは皆でお見舞いに行かねばなりませぬな」


「左様左様。高価な手土産を持参してな」


お屋形様がお越しになるまでの間、三浦様も備中守様も半ばからかうようにそう言われたが、お二人は俺の味方であるため、辞任の理由については「藤吉郎に脅されたため」と内々に伝えてある。幼女に手を出したとまでは、武士の情けで伏せてはいるが……。


「しかし、これで町奉行の椅子が空いたわけだが、誰に座ってもらったらよいかな。思いつかなければ、俺に媚を売ってばかりの役立たずを傀儡に仕立てるが……朝比奈殿に腹案は?」


「庵原将監(忠縁)殿では如何でしょうか。亡き雪斎様の御一族ですし、大蔵殿の足を引っ張るようなことはなされないかと」


「おお、将監殿なら俺も文句はないな。よし、それでいこう」


ちなみに、戸籍づくりの仕事については小原殿の指摘通り、確かに町奉行の職務であるから、俺としては飛加藤の捜索に協力してもらうという条件で折り合いをつけるつもりだ。弥八郎曰く、要は寿桂尼様の弱みを掴みさえすれば、昇進の道が開かれるから問題ない……と。


「お屋形様のお成りにございます」


そして、そんな風にしてこの広間で待っているところに、お屋形様がお越しになられた。


「皆の者、待たせたな。これより定例の評定を行う。上野介……」


「はっ!それでは最初の議題にございますが……」


かくして始まった定例の評定であるが、3つ目の議題になったところで、俺は昨年度の決算報告を行った。友野殿より提出された報告書に記された金額を読み上げて、今川家の収支がおよそ1万貫(12億円)の黒字であることを報告した。これは昨年より微増だ。


「ふむぅ……」


「お屋形様?」


ただ、良い知らせであるはずなのに、提出した帳簿をご覧になられるお屋形様の表情にどこか影が差していた。だから、何かご不満でもあるのかと思って声をお掛けしたのだが、答えは返って来なかった。


「続いてですが……」


それゆえに、司会の三浦様も次の話題へと会議を進めて行く。


「三河・岡崎城の改修についてですが……」


「それは元康にやらせよ」


「よろしいので?改名の一件で家中の風当たりは強いままですし、もし、里心がついて独立を目指して謀反に及べば……」


「それはなかろう。謀反を起こしても先がない事が分からぬほど、あの者は愚かではあるまい」


俺もそのとおりだと思う。『元信』から『元康』に諱を勝手に変更した一件があったり、瀬名様が毎日朝晩と食事を用意して、毎日「逃げ出したい」と零しているとはいえ、流石に謀反はないと思う。たぶん……。


「とにかくやらせよ。これで謀反を起こさねば、あやつに対する家中の騒ぎも一定程度鎮まるであろう」


「畏まりました。では、そのように取り計らいましょう」


お屋形様にそこまで言われては、誰も反対する事は能わない。進行役を務める三浦様もそのように申し上げられて、次の議題へと話を進める。これで最後であるが……次は小原殿の後任についてだ。


「如何でございましょう。朝比奈殿とも先程話していたのですが……」


「待て。それについては余に腹案がある」


「腹案ですか……」


それは一体誰を任命なされたいというのか。もしや、寿桂尼様が先手を打たれてすでに息のかかった者を内々に推挙しているのでは……と思っていた矢先。


「松下大蔵少輔、これへ」


「はっ」


俺は突然名を呼ばれて、お屋形様から打診を受けた。即ち、町奉行の役職を兼務しないかと。


「兼務ですか……」


「そうだ。無論、勘定奉行を務めながらの兼務は大変であろうが、それでも上手く勤め上げたならば、その功績は誰もが認めるであろう。我が母上であってもな」


そして、打診された任期は1年間。戸籍づくりの仕事や飛加藤の捜索の事もあり、確かに大変ではあるが、その先に昇進もあるなら断る理由は見当たらない。


「承知いたしました。謹んでお受けいたしまする」


俺は二つ返事でこの要請を受諾したのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ