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【モブ武将】松下嘉兵衛は、木下藤吉郎を手放さない!~おこぼれの小大名で終わりたくないので、三英傑を手玉に取ってビッグになろうと思います!  作者: 冬華
第2章 駿河・立身編

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第98話 おとわは、嘉兵衛の浮気を疑う

天文24年(1555年)10月中旬 駿河国駿府 おとわ


先触れが到着して、もうすぐ嘉兵衛が帰ってくることを教えてくれた。


「あかね、わたしの恰好、おかしくないわよね?スカートもめくれていないわよね?」


「大丈夫ですよ、おとわ様……っていうか、何度目ですか。その質問は……」


「だって、久しぶりに会えるのよ。そういうあかねだって気合を入れているじゃない。誰に喜んでもらうためなのかは聞かないけど」


「え……あ、いやその……」


ちなみに今のわたしの恰好はといえば、ブレザー……といったかしら?異国の若い、わたしくらいの女の子が着ている服らしく、疲れている嘉兵衛に元気になってもらおうと、あかねと寿と共に着用しているのだ。もっとも……


「なんか、少し胸がきつくないかしら?」


「そうですよねぇ」


……などと抜かす二人の発言には、先程から苛立ちを越えて殺意すら覚えているが……。


「あ……どうやら帰って来られたようですわ!」


しかし、そんな不機嫌な感情も、その言葉で吹き飛んだ。わたしは「おかえり」を誰よりも先に言うために、玄関から門に向かって走り出した。


「ただいま、おとわ。その姿可愛いよ」


「ねえ、嘉兵衛……その女と赤ちゃんはなぁに?」


「へっ!?」


「へっ」も糞もないと思う。わたしよりも立派なものを持ったお姉さんは、腕に抱きかかえた赤ちゃんを……これ見よがしに見せつけているのだ。


だから、わたしは確信した。この女は、嘉兵衛の愛人だと。腕に抱かれた子は、二人の愛の結晶だと……。


「前に言ったわよね?次に浮気したら殺すって……」


「ちょ、ちょっと待てぇ!?どうしてそうなる!この人は……」


「問答無用よ!」


そうだ、辞世の句を詠むくらいの時間は待ってあげよう。両手の指を数え終わるくらいあれば十分よね?


「まあまあ、おとわ様。もうその辺りで。お鈴さんも久しぶりね?」


「あ……これは、寿様。御無沙汰しております」


「それで、その子が源左衛門様の子というわけね?」


「はい、そのとおりです。名は仙千代と申します」


なんだ、源左衛門って……誰?


「殿の弟君ですよ。ほら、殿から家督を奪ったという……」


「ああ……」


そういえば、そんな奴もいたわね。確か此間、三河の戦いで戦死したとも寿が言っていたような気がするわ。


しかし、嘉兵衛の弟の子ということは、この赤ちゃんって甥になるのよね。それなら……いや、わからないわね。もしかしたら、その弟と不仲だったと聞いているし、寝取って子を作ったという線も……。


「おとわ様……何を考えられているか、何となくわかりますが、殿は出陣の日までずっとこの駿府におられましたよね?流石に遠江まで行って子作りは無理かと……」


なるほど、あかねの言うとおりだわ!謎が全て解けたから、何だか甘い物が食べたくなったけど、その前に聞いておかなければならないことがあるわね。


この親子を連れて帰ってきて、これからどうするつもりなのかと。


「まさかとは思うけど……可哀そうだから側室に迎えて、その子を我が子として育てるなんて言わないわよね?」


「何を言うか!弟の嫁だぞ。流石に手を出せばマズいことくらいわかっているさ!」


ホントかな?どうも怪しいわね。仕事と称して女郎屋に何度も足を運んでいることは知っているし、お人好しのくせに下半身の方は誠実じゃないのよね、嘉兵衛は。欲望むき出しというか。まあ、おかげでわたしのお腹の中にも赤ちゃん居るけどね。


「なあ、おとわ。その辺で信じてくれよ」


まあ、だけど仕方ないか。そんな嘉兵衛を好きになったのはわたしだし……それに、もし誓いを破ってこの女に手を出したら、その時こそ殺せばいいわ。そうだ、そうしよう。何も今、悩む必要なんてないわね!


「おとわ……」


「いいわ。その言葉、信じてあげる」


ただ、この女が目立っていて気付かなかったけど……嘉兵衛が連れて来たのはこの鈴とかいう女だけではなかった。その後ろに三十路を過ぎた女と子供たちがいて、これは誰だとわたしは訊ねた。


「もしかして……若いのに飽きたから、熟女が良いとか言わないわよね?」


「違う!」


「だったら……目当ては、そっちの男の子の方?」


「それも違う!断じて違う!!」


じゃあ、どういう理由で連れて来たのかと思っていると、弥八郎が代わりに説明してくれた。うちの家臣になってくれる榊原家の方々だと。


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