夢の中へ
昨日は良く眠れなかった。
夜中の3時までショート動画を見るのを止めることが出来なかった。
そのせいもあるだろうが、目の前にいる理科教師の声は睡眠導入剤入りと言えるほどの効果を発揮した。
私は寝てしまった。
目を開けようと努力はしたものの、間違えて夢の中で目を開けてしまったらしい。 そこから起きようとも努力はしてみるものの、量子力学の研究者やコンピューターを設計する人達が羨むほどの速さで完全に夢に呑まれてしまったらしい。
起きることは叶わなかった。
私は洋館に居た。
古い暖炉のある部屋のようだった。
『最強のふたり』の介護士が泊まっていた部屋に似ていた。
無性に外が気になり覗いてみると何も無かった。
暗い、暗い虚空だった。
あんまりにも暗いので一周回ってとても眩しいように感じた。
私は瞬きをした。
するとまるで思い出したかのように外の景色が現れた。
その景色が余りにも好みの街並みだったので外に出ようとしたが止められた。
紳士だ。 絵に書いたようにスーツを着こなした紳士に止められていた。
なんてことだ。私の頭の中にここまで紳士らしい紳士が居たとは気が付かなかった。
そんな心情も知らないようにその紳士は言った。
「貴方は外に出るべきではない。 これは侮辱でも子気味の良い冗談でも無く、警告である。」
なんてことだ。私の中の紳士が話しかけてきた上に警告まで発してきた。
「どうやら私が言葉を発した事に対して大層驚いている様子だが、口が縫い付けられているとでも思っていたのか?」
私の中の紳士は今放った冗談が気に入ったらしい。
口角が上がっている。
「私だけに話させておいて、質問のひとつも無いのだろうか? それとも口が聞けないのか?」
なんという事だろう。私は口をなくしてしまったらしい。
こんなに残念な事は無い。私の中の紳士と話すチャンスを目の前で逃すとは...
「なんと哀れな事だ。なんと悲しい事だ。
ここまで来れたのにも関わらず口を無くしてしまうとは。」
実に残念である。どうやらこの紳士も夢の住人ではあるらしい。 考えていることが同じだ。
「ここは貴方の夢では無い。
世界中の夢を集めている場所だ。
人類の呼び方で言えば『天界』やら『死後の世界』などと呼ばれている場所である。」
なんと。私は死んだらしい。
あまりの衝撃に顎が落ちる思いだ。 口が現れたらしい。
「それでは私は死んだのですか?」
「驚いた。喋れるようになるとは。
さしづめ自身が天界に居ることに驚いて顎でも落としたのだろう。
貴方は死んではいない。タイミングが悪かったんだ。」
「それでは私はなんなのですか?」
「貴方はこの世界の調整中に居眠りをしたのだ。
外に出ればさらに深い所へ落ち上がってしまう。」
「落ち上がるとは?」
「上でもあり下でもあるのだ。
貴方の感覚では説明が出来ない。 つまりは4次元的なレイヤーを移動するのだ。」
なんとも楽しそうな話だ。夢の いや世界のさらに深く深くへ行けるのだ。
「その様に好奇心のエネルギーを使えるのは貴方にとっての現実だけだ。
ここでは無駄に発散されるに過ぎない。」
私のアイデンティティが無くなったらしい。
それだけは避けなければ。
その扉を開ければ失われたことにならないはずだ。
「無駄なことを。」
(起きろ〜)
その時先生の声が聞こえた。
今は授業なのだった。 起きなければ成績に関わる。
無理やり夢から意識を現実に倒した。
なにか素晴らしく好奇心をそそる夢を見ていた気がする。
まあいい。日記でも書きたい所だが今は授業だ。
夢日記は明日にしよう。
読んでくれてありがとうございます!
これジャンル合ってるんですかね...




