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第23話ベーブ・ルース

Babe Ruth(1895.2.6~1948.8.16)。本名はジョージ・ハーマン・ルース・ジュニア(George Herman Ruth Jr.)米プロ野球不滅の名プレーヤー。主としてニューヨーク・ヤンキースで活躍。「ベーブ」(赤ちゃん)の愛称が定着。


ジョージ・ハーマン・"ベーブ"・ルース・ジュニア。メリーランド州ボルチモアが生んだこの大きな赤ん坊は、「バンビーノ (The Bambino) 」「ベーブ (Babe) 」という愛称で、すべてのアメリカ人に愛されたプロ野球選手だった。その童顔からは想像もつかない豪快なバッティングで、1914年から1935年までの22年間、メジャーリーグベースボール(MLB)の空を幾度となく扇状の球で彩った男。


彼は、アメリカの文化において最も偉大なスポーツ界の英雄の一人であり、史上最も偉大な野球選手であると、ほぼ全員のアメリカ国民が今でも信じている。1936年には、最初にアメリカ野球殿堂入りを果たした伝説的な5人 のメンバーの一人として、その名声は永遠に野球史に刻まれた。


左投げの花形投手としてボストン・レッドソックスで衝撃的なメジャーデビューを飾りながらも、その類いまれな才能は、ニューヨーク・ヤンキースの外野手として開花した類いまれな強打者としてのものだった。打者としての生涯通算成績は、まさに非凡な強打者の軌跡と言える。714本塁打、2,213打点、2,062四球、長打率.690、OPS1.164、本塁打王12回など、数々のMLB記録を打ち立て、うち最後の3つは驚くべきことに2022年現在も、後進たちによって破られていないのだから、彼の偉大さは 天井知らず である。


そんなアメリカンドリームの象徴、ベーブ・ルースに、謎の日系アメリカ人「Ray Sakamoto」こと坂本竜馬も、例によって例のごとく、さっそく夢中になった。ベースボールという新たな興味深いスポーツに熱狂し、その中でもとりわけ破天荒な生き様を世界にも轟かせるベーブ・ルースの姿に、竜馬は己の人生を重ね合わせた。それは、竜馬だけではなく、当時の多くのアメリカ国民も同様だったと言えるだろう。型破りな英雄の生き様は、いつの時代も人々の心をつかむのだ。


あまりの野球熱の高さから、竜馬はついに、名門ニューヨーク・ヤンキースのトライアウトにまで果敢に挑戦してしまう。結果は、守備ではスローな動きを連発し、攻撃でも豪快なバットが空を切るばかりという、悲惨なものだった。しかし!その竜馬の最終打席、誰もが諦めかけていたその瞬間、竜馬の振り抜いたバットから放たれた打球は、放物線のように高らかに空へと舞い上がり、歓声に包まれたヤンキースの関係者たちの頭上を遥かに超え、文字通り、球場の外へと消えていったのだ!そのファンタスティックな場外ホームランを、偶然にもその場に居合わせたベーブ・ルース自身が、顎を完全に外しながら目撃していた。


この奇妙な出会いをきっかけに、 その後、竜馬とベーブ・ルースは、不器用ながらも深遠な友情を育むことになるのである。空に消えたサムライのバットは、春の到来を告げる一振りだったのかもしれない。


トライアウト終了後、ベーブ・ルースが帰り支度を始めた竜馬のところに駆け寄った。

「Hey、メガネの東洋人!(トライアウトの結果は)残念だったな。でも、最後の場外ホームランは本当にエクセレントだったぜ!またトライアウトを受けに来いよ」

「Thank you very much!ミスターベースボール、ベーブ・ルース。最後のホームランはまぐれです(笑)。やはりメジャーリーグはわたしにはレベルが高すぎました」

「そのメガネは度がだいぶ強そうだな。近眼と動体視力はべつものなのか?」

「名前は…、Ray、サカ…?中国人かい?」

「Rayと呼んでください。日系人です」

「東洋人にしてはずいぶんデカいな(笑)、Ray。体格とパワーは申し分ない。あとは、なんというか、おまえの打席からはただならぬ雰囲気を感じるんだ!まるで、歴戦の修羅場をいくつもくぐり抜けた百戦錬磨のツワモノのように」

「(笑)。ミスターベーブ・ルース、やはりアナタの慧眼は確かですね」

「どういう意味だい?Ray」

ルースは苦笑いを浮かべる。

「なんでもない、ひとりごとです。ヤンキースタジアムにはまた来ます。今度はひとりの観客として(笑)」

竜馬は意気揚々とヤンキースタジアムを後にした。

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