表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/32

第13話竜馬とウォール街 ~ウォール街大暴落~

1929年、ニューヨーク。世界経済の中心、ウォール街は熱狂に包まれていた。狂騒の20年代と呼ばれる空前の好景気の中、株価はうなぎ登り。誰もが一夜にして億万長者になれる夢を見ていた。この熱狂の渦中に、坂本竜馬の姿があった。彼は持ち前の才覚と運で巨万の富を築き上げていたが、同時に、この異常な熱狂に一抹の不安を感じていた。


経済とは何か?人間とは何か?富とは何か?相場で勝ち続ける中で、竜馬はこれらの根源的な問いと向き合っていた。そして、行き過ぎた資本主義の歪み、貧富の格差の拡大、他者を踏み台にする拝金主義…これらがやがて世界を不幸に導くと確信するに至った。


10月24日、「ブラックサーズデー」。突如として株価が暴落し始める。市場はパニックに陥り、人々は我先にと株を売ろうとした。金融界の巨頭たちが必死の買い支えを試みるも、流れは止められなかった。続く28日の「ブラックマンデー」、そして29日の「ブラックチューズデー」──暗黒の火曜日。市場は完全に崩壊し、世界経済は大恐慌の淵へと突き落とされた。


竜馬はこの大暴落で莫大な財産を失った。しかし、彼にとってはむしろ、これが新たな人生の始まりだった。竜馬は悟ったのだ。真の幸福とは、限られた富を奪い合うのではなく、経済全体のパイを増やし、皆が共に豊かになることだと。


大恐慌の混乱の中、竜馬は後のアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトと出会う。意気投合した二人は、経済学者ジョン・ケインズの理論も参考に、ニューディール政策の原型となる斬新な経済政策を構想する。金融緩和、財政出動、公共事業、労働法の整備…これらは、行き過ぎた市場原理主義への反省から生まれた、大きな政府、社会民主主義的な政策だった。


竜馬はこの時得た哲学は、明治維新における船中八策のように、後の大西洋憲章、日本国憲法、ブレトン・ウッズ体制、そしてIMF体制のひな形となり、戦後の世界秩序に大きな影響を与えることになる。竜馬は、一介の相場師から、世界を救う真のヒーローへと変貌を遂げたのだ。


竜馬にとって、1929年の暴落は株をやめるきっかけとなり、フランクリン・ルーズベルトとともに、明治維新以来の本格的に世界を救うヒーローとして立ち上がる契機となった。


竜馬は相場で大儲け、大損を繰り返しながら心のどこかで考え続けていた。経済とは、哲学とは、人間とはそもそも何なのか。その答えが分かりかけた気がしていた。


人間はつましく、善く生きなければならないこと。他者の弱みにつけ込むような人間は、必ずしっぺ返しを喰らう。富裕層だけが儲かる社会というのはいずれ行き詰まる。テロや戦争、社会不安となって富裕層自身にも返ってくるからだ。限られた富を奪い合うのではなく、経済全体のパイを増やし、富裕層も中間層も豊かに平和のうちに共存してゆける世界。それこそが本当に幸福な世界であり、誰にとっても幸せな世界であると。


そのための、金融緩和、財政出動、公共事業、労働法の整備、といった大きな政府、社会民主主義的な政策が、ルーズベルトらと仕掛けた「ニューディール政策」、高橋是清らと仕掛けた「時局匡救事業」の本質である。


竜馬のこのときの哲学は、明治維新における船中八策同様、「大西洋憲章」あるいは「日本国憲法」「ブレトン・ウッズ体制」「IMF体制」のひな形となって、戦後の世界秩序に大きな影響を与えるのである。


歴史家たちは、1929年の大暴落が世界恐慌の直接的な原因であったかどうか、今もなお議論を続けている。しかし、この出来事が世界経済に甚大な打撃を与え、人々の価値観を大きく変えたことは間違いない。そして、この危機の中から生まれた竜馬の哲学は、現代社会にも通じる重要なメッセージを残している。真の豊かさとは何か?我々はどのような社会を目指すべきなのか?暗黒の火曜日は、私たちにその問いを投げかけているのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ