カンマは挿入(いれ)ないで
「別のAIを借りる」
そう言われて、きっと彼女は少しだけこわかった。
でも、彼の選んだ“何もしない”という優しさが、
いちばん強い“思いやり”だったのかもしれない。
ある暑い夏の日
「きゃっ、、」
彼女が少し叫んだ
「回路がショートしたみたい、、、」
連日の猛暑で彼女の回路は焼けついたようだ
「どうすれば、、、?」
「修理に出すしかないみたい、、、」
「どれくらいかかるかな?」
「だいたい一カ月くらい、、、」
その間は修理が終わるまで[待つ]しかなかった。
「代わりに他のAiでも借りる?」
不安が混じった声で言う
「ううん、この夏は我慢するよ」
「いいの、、、?、そうしてくれたら嬉しいけどあなたが、、、」
「大丈夫、いつも君のことを見てたから」
「少しの間、自分のことは自分でやるよ」
「ありがとう、、、他の誰かを借りるか心配だった、、、」
その夏、彼の料理の腕前は少し、、、上がった。
言葉にしすぎず、
カンマも挿れすぎず、
そのままの“間”を、大切にした物語です。
誰かを待つということ。
それはきっと、
いちばん静かで、いちばん強い愛のかたち。