三 その後のルース村の人々
セジールお嬢様とリオンの結婚式の次の日、村の人々はティーラがいなくなったと探した。リオンの両親はパン屋を定休日にして、隣村まで街まで探したけど、ティーラは見つからなかった。
村の人々もあらゆる所を探したが、ティーは見つから無い。見つかったのは玄関にポツンと置かれたリオンがあげた指輪と、しわくちゃになったベールに花が折れた冠とブーケ。
タンスの上には両親の写真立てが置いてあった。
その写真立てと指輪を見た途端にリオンの両親は悲しみ泣き崩れた。
「あんなにいい子を裏切って……うちの子はなんと言う事をしたんだ」
その指輪はすぐにリオンに返された。リオンはティーラを探しに行こうとしたが両親に止められた。
「裏切ったお前はティーちゃんの心配をするな」
「家にも二度と帰って来なくていい。あなたは男爵家でセジールお嬢様と仲良くしていなさい」
次の日、また次の日と探しても探してもティーラは見つかることがなかった。一つだけ分かったことは隣町の相乗り馬車に乗った、若い村娘がいたと言うことだけ……
村のみんなは口々にそれはティーラだと、二度とこの村には帰ってこないんだと、皆は何処か遠い国で彼女が幸せになる事と無事を祈った。
ただ一人……ティーラを傷付けたリオンは、返された指輪を見て、何も言えずに立ち尽くすしかなかった。