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プロローグその3

 翌日、俺は昨日同様早朝に目が覚めた。


 「ふあ〜、多分昨日と同じように朝早くに目が覚めたな…何か昔やった家出の野宿を思い出すな…

 そんな事より、朝飯朝飯」


 俺は既に毎朝のルーティンになりつつある朝食採取に向かった。

 朝食を済ませ床をどうするか考えた。石レンガにするのも良いかもしれないが、布も無いから布団を作る事も出来ない。そうなると少しでも温かい方が良い。という事で、自作でフローリング(ぽい物)を作る事に決めた。

 俺は早速まずは1本木を切ろうとした。すると、


 「ちょっとアンタ!私の家に何するつもりよ!」


 かん高い女性の声が聞こえてきた。周りを見渡すが俺以外の人は居ない。こんな所に居るのは俺か犯罪者くらい、例え女盗賊的なのだとしても、こんな子供相手に隠れる必要も無い。

 俺は改めて木を切ろうとしたら、


 「止めろって言ってるでしょ!!」


 声が聞こえた瞬間、後頭部を思いっきり蹴られ地面を顔面スライディングした。


 「痛つー!え、誰?」


 顔を挙げると、そこにはチューブトップみたいな肩紐の無いドレスを着た人が居た。ただし背中から羽根が生えており、掌サイズ並に小さいが。


 「君は…精霊?」

 「そうよ!妖精のシュフィードよ覚えておきなさい!」

 「シュフィード?」

 「そう!私は精霊女王のシュフィードよ!崇めても良いのよ」


 正直生前のお話とかに出てくる精霊はもっと神々しいというか、凛々しいというか、もっと近寄り難い存在だと思ってたし、背丈ももっと大きいのかと思っていたが、どうやらかなりフランクな存在で背丈も小さいようだ。


 「えっと、その精霊女王がどんな用で?」

 「どんな用で?じゃないわよ人間族のガキ!あんたね、この私が止めろって言ってんのに、何で人の家を切り倒そうとするのよ!」

 「え、ここ君の家だったの?!」

 「そうよ!私たち精霊はそこら辺の土や木、草や石にも住んでるのよ。だから、不容易に木を切られると困るの!こ・ま・る・の!」

 「分かった!分かったよ!悪かった、でも俺にはどうしても木が欲しいんだ!1本で良いから切っても良い物は無いかな?」


 シュフィードは俺の言葉に腕を組み、悩んでいると「あ!」と何かを閃いたようだ。


 「もしあんたが美味しい菓子をくれるなら考えてやっても良いわよ!」

 「お菓子か…キッチンや砂糖ならどうにかなるかもしれないけど、他の材料が無いとな…」

 「ふ〜ん、材料集めくらいなら手伝ってあげても良いけど?」

 「え、本当に!?」

 「ええ!た・だ・し、美味しい物作らないと唯じゃおかないからね」

 「わ、分かった」


 俺はシュフィードに材料を頼み、俺は洞窟にキッチン用の横穴を掘り、土魔法でテーブルと簡易釜戸を作り、余っていた鉄鉱石を錬金術でボールやホイッパー等を作った。

 道具等の準備が整いシュフィードを待っていると、たくさんの精霊たちが材料を持ってきた。


 「な、どうなってんだこれ?」

 「ふふん!どうよ私の力は」

 「シュフィード。お前の力ってどういう事だよ?」

 「あの子達は私の子供、或いは部下みたいなものでね私の命令1つでたくさんの妖精達が動くのよ!ど〜よ凄いでしょ」

 「そ、それは確かに凄い…」

 「女王様!本当に美味しいお菓子食べられるんですよね!お菓子はまだですか!?」

 「シュフィード様〜ホントに甘いお菓子が食べられるんですか?」

 「「「お・か・し!お・か・し!お・か・し!」」」


 精霊たちは何処かのデモ隊よろしく、凄い勢いでお菓子を要求していた。シュフィードは何とか宥めようとしていた。俺は1時間位待つように言いお菓子を作り始めた。

 作る事にしたのはシンプルにクッキーだった。ぶっちゃけお菓子といえばみたいなイメージもあるし。作った釜戸や道具、そして魔法を使い1時間より早めに出来上がった。

 味は正直生前に何度か作ったクッキーより美味しくなかった。計りとかが無いからどうしても分量がテキトーになってしまう為もあるが、多分材料にも問題があるだろう。生前は特に食への探求は異常だと言っても良いだろう。国産か外国産かで味が変わる位だ。この世界はおそらく中世かそれより少し前くらいなんだろう。どうしても食べ物の品質が落ちてしまうだろうからな。だけど、


 「あまーい!」

 「人間のお菓子は何年ぶりかしら」

 「ムシャムシャ…」


 どうやら精霊さんたちは満足してくれた様で、感動しながら感想を述べる者、無言で味を楽しんでいる者、反応はそれぞれだ。どうやら満足してくれた様で安心した。


 「それでシュフィードさん。木の件だけど、どの木なら良いかな?」

 「ん?ああ、そうだったわね。そうね、あんたが最初に切ろうとしたやつならいいわよ」

 「本当に!あ、でもそこはシュフィードの家なんじゃ?」

 「良いのよ。私あんたと契約したから」

 「ああ、契約…え、契約!?そんなの何時やったんだよ!?」

 「さっきよ。安心しなさい、別に悪魔契約じゃないんだからそんな大きな代償は求めないわよ。ただこうやって私に美味しいお菓子をくれれば良いだけ!材料は集めてあげるわ。どーよ、お菓子くれるだけで精霊魔法が使えるんだから!」


 色々言いたい事が無い訳ではないが、こういうタイプにはこれ以上何か言っても逆効果だからな。それに、確かに彼女が言っている通り、お菓子だけで強力な力を手に入れるのはお得ではあるな。精霊魔法は珍しいみたいだからな、なるべく人と関わらない様にしないとな。

 俺は気を切り倒し錬金術で加工し、床に敷き詰め即席フローリングを作っていると、


 「ねぇあんたさ、転生者でしょ」

 「え!?な、なんの事だよ…」

 「私はね1万年以上生きてるの。この身体だって本体から作った沢山ある分身体の1体だから、今まで沢山の事を見聞きしてきたんだ。だから、今まで沢山転生者を見てきたんだもん。分かるよそれくらい」

 「そ、そうなんだ…」


 語るシュフィードは何処か威厳があり精霊女王と言えるだろう。

 その後、家が完成した俺は精霊たちと面白可笑しく生活していた。時にはモンスターと戦ったり、盗賊やお尋ね者の犯罪者と戦ったりしたがシュフィードの力を借り、特に苦戦すること無く難を逃れる事が出来た。

 そんなある日、


 「ゴーレムなら世の中に2種類あるよ」


 俺が転生した目的を聞いてきたシュフィードの部下の精霊が教えてくれた。


 「魔法で作る普通のゴーレムは体の何処かに「emeth」って文字があるからその「e」を消すか、魔導師の魔力が尽きたら動かなくなるよ。もう1つは土や木を削って組み立てた物で中に魔石があってそれを原動力に簡単な命令ならきけるけど複雑で難しいのは無理みたい。止めるには魔石を抜くか魔石の魔力が無くなれば良いみたい」


 その話を聞いてロボット、いや後者のゴーレムを作る事に決めた。俺は家に工房を造り地下に材料集め用の探鉱モドキを造り、材料を集め試作品を幾つも造った。これらのゴーレムは名前がそのままだと味気無いのでマギカドールと名付けた。

 試作品のマギカドールは造っては失敗を繰り返した。そしてこんな場所で生活している為、たくさんのモンスターや盗賊、犯罪者と戦った。通常だったら苦戦もしくは殺されそうな相手でもシュフィードのおかげで、それなりに楽に戦闘する事が出来た。

 そして転移してから5年の歳月が経った。マギカドールは開発と失敗を繰り返したが、名前は知らないが物造りの神様の加護のおかげで全くロボット造りの知識も無い俺が造る事が出来た。


 『マスター、本日の食料を確保しました』

 「ねぇねぇ!ちゃんと果実も取ってきたわよね?」

 『はい、シュフィード様が依頼された果実はここに』

 「わぁーい!さぁトシアキ、これを使って今日も美味しいお菓子を私に献上しなさい!」

 「はいはい。今日もありがとうなハミエル」


 彼女はマギカドールのハミエル。数ヶ月前にようやく完成したマギカドール。いや、実際にはまだ未完成と言った方が正しいだろう。


 『いえ、マスターの為に働くのが私の指名ですから』


 こんな風にまだ感情が豊かではないのだ。彼女の能力は力と演算能力に極振りしているから、物理的力も魔力も俺より上で頭も俺より良い。ただそれ原因でか感情は疎い様だ。

 だけどここからだ。ここから新しい俺の人生という物語紡いで行くんだ!

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