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2.社長の異変
私には気がかりなことがありました。
「そういえばさっき社長があの刀は曰く付きだって言ってましたけど」
「ああ、それも嘘っしょ? もの好きなお客さんにはいつもああ言ってるの。うちの社長は」
ヒカルさんは自分の席で髪のセットを整えがら答えます。
「でも、もしかしたら本当にそうかもしれ――」
「毎度ありー!! またのご来店お待ちしておりまーす!!」
事務室の外から聞こえた声に私の言葉はかき消されます。
その声の主が事務室に戻ってきました。
「いやー、今日も良い仕事したわー」
「社長おつー。で? いくらで売れたんすか?」
「聞いて驚くなよ? これだよ」
社長は2本指を立てます。
「たったの2万っすか? 社長、お得意のマシンガントークはどこいっちゃったんすか? 銃口曲がりまくってんじゃないすかウケる」
「あ? 殺すぞ。ゼロが3つたんねーよ」
えーっと、2万円にゼロを3つ足すと20,000,000になる訳だから……!?
「に、2千万円!?」
「お、良い返事だなそこのバイト。気分が良いから特上シース―でも奢ってやるよ」
その時、社長のお腹がぎゅるぎゅると鳴り始めました。
「う、なんか急に腹の調子が――。すまん、ちょっと便所に行ってくる」
社長はトイレに駆け込みました。




