第2話:使節団の来訪
いよいよ、使節が到着する日が来た。
中央港から遥か…とある泥海にて
「うぇっぷ…この湿気が気持ち悪い…」
その発言を聞いた泥船の船乗りたちは怪訝な顔をする。
不快指数は高いかもしれないが、この泥海における平均気候と比べるとむしろ湿度は低い時期だからだ。
「おい!兄ちゃん…おめぇさんは外者だな?」
泥印で採取される医薬品は未加工状態なら習慣性の強い薬物にできるものがあり、所謂「麻薬」類似品に該当し厳しく管理されているため、外来者に対し厳しい目を向けられる。
そのため、外来者が「麻薬」を求めてひそかに入り込むことが多発し
唯一の交通手段である泥船は、旅客の振る舞いを監視する義務がある。
「スライム」と、呼ばれる粘性生物から採取される透明結晶体「メイロウ」は、加水加熱後に化学処理をすれば、老化遅延薬「スーロウ」の原料となり、電気分解することで非常に習慣性が強い麻薬「メロリン」の原料にもなる。
非常に厳しい貿易管理がなされているため、不正に入手したいものは不法に入国し「スライムハンター」から直接入手しようとたくらむしかない。
「あれ?一応言っとくけど…学術研究で公式滞在許可を持っているよ?」
その一言で船員達の緊張は解けた。不法入国ではないなら問題ない
「あ~…なんだ…兄ちゃんもわかっていると思うが、未処理の「メイロウ」は厳重な管理がされているからな…うかつに入手すると厳罰が待ってるぞ?」