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強くなるために

視界が回復した時、そこには村の風景が広がっていた。

木造りの家、畑、井戸、偽物なんかとは程遠い。


「ここは...」


「ここは、儂ら忌み人(いみびと)の住処じゃよ。」

また、知らない言葉が出てきた。


「もう少しで儂の家じゃ、そこで風呂に使って服を洗うがよかろう。」


「ありがとう。」

最初は殺気をあてられ、殺されかけた。でも、今こうして親切にしてくれている。

この老爺の傍は妙に居心地がいい。


「ほれ、ここが儂の家じゃ。」

周りの家と見た目は何も変わらない。いたって平凡な家だった。

中も、特に変な箇所はなく、よく掃除が行き届いていた。


「これ、どこに行っとる、風呂場はこっちじゃ。」

老爺の指示で風呂に入り、服に付いた泥やらなんやらを

綺麗に洗い流す。



「ありがとう、気持ちよかったよ。」

気分も体もさっぱりした。

「そうかそうか。では、話そうかの。」


場所を居間へと移し、いままで聞きたかったことを質問していく。


「まず、あんたが言ってる貴族側っていうのはなんなんだ?」

その貴族側って言う言葉で俺は殺されかけたのだ。


「お前さんは、忌み人(いみびと)と言うのを知っとるか?」


「いや、知らない。それも聞こうと思っていたが。」


「では、そこから話すとするか。

まず、忌み(いみびと)とは世界から嫌われたもの達のことを指す。」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。世界から嫌われたもの達?」

何か引っかかった。


「?世界の害として排除されかけたものの事じゃ。

あまりの強さに手がつけられなくなったものから、使えないと捨てられたものまで。理由は様々じゃ。

じゃが、共通の点としてみな、世界から抹殺されかけておる。

これでよいかの?」


この老爺、俺の聞きたいことを全部話してくれたぞ。

でも、今のでわかった。俺は、忌み人ってことか。


「よいようじゃな。では、本題に戻すぞ。

簡潔に言えば、貴族側というのは忌み人の完全消滅を計画、実行しているものたちのことだ。中心となって動いているのが貴族というだけで民の中にも多数いる。」


つまり、父さんのことか。


「でじゃ、儂ら忌み人はこのような自然の中に特別な術式で

空間を広げ、そこを住処として隠れ住むようになった。

貴族側の人間とぶつかれば即座に殺し合いが始まるからの。」


「逆にこっちから攻めたりはしなかったのか?」


「したさ。その度に、多数の戦死者をだした。

だから、儂らから戦争を仕掛けることは無くなった。」


「なるほど。貴族側はまだ忌み人を殺そうとしている。

そんな状態で貴族と名乗る子供がきたら、貴族側の諜報部隊だと思うかもな。」


「それについてはすまんかった。」


「いや、いいってただ、ひとつ頼み事を聞いてもらえるか?」


「よいぞ。」

よし。

「じゃあ、───」



翌朝、俺は、霧のかかる村の中を、全力で走らされている。

昨日までの筋肉痛は全てとれた。なぜかはわからないが。


昨日、俺はあの老爺に俺を強くして欲しいと頼んだ。

その結果が今の状況だ。


なんでも、強くなるのは体力は必要不可欠らしいからな。


村を全力で1時間走り、老爺の家へと戻ってくる。

この時点で俺の体力は底をついている。


「よし、次に腕立て伏せ200、腹筋200始め。」

そして、その疲労困憊な体をさらに痛めつける。


「は、ぁはぁ、っはぁ」


「次、儂に攻めてこい。」

それが終わったら休む間もなく模擬戦へと移行する。

自分でやっていた筋トレがどれだけ楽だったのか痛感した。

老爺との模擬戦はやはりというかなんというか、ただ打たれ続けるだけだった。

それまでの訓練で体はガタガタでまともに動かないのだ。

だから、俺はその模擬戦を老爺の観察に全てを費やした。



それを、日が暮れ、夕食の時になるまで続けなければならない。

自分で頼んでおいてあれだが、初日でもうやめたいと思った。

が、その度に「強くなって見返すんじゃなかったのか?」

と、老爺がこちらのやる気を増幅させる言葉を放ってくる。

俺がが強さを求める理由を、老爺には言った。その方がなんとなく安心できたから。


結果、俺はやめること無く無事?初日を終えた。


「ようやり遂げたの〜。」

老爺がそう言ってくる。

「こんな事で音を上げるんじゃ、世界を変えることなんてできませんから」


「その割には途中で諦めかけておったがな?」

「それは、体力が限界だったんですよ。」


「ガハハハ。まあいい。明日も早い。食って風呂入ったら寝ろ。」


「はい。」


もっと、強くならなきゃ。

評価をつけてくださると今後の執筆のモチベがあがるので、もし続きが気になる、面白い等思われましたら評価をつけてくださるとありがたいです。

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