第4話 5人で会う。そして、葵のアシスト。
純華です。
私と文乃は葵に4人で会う事を提案されます。
「会うからには休日に私服で会う事。
平日に4人で会うと、あまり時間ないし、制服で、桃花の女子校と男子校の生徒が会っているって世間の人や学校の生徒にわかって目立つでしょ?
そうだな、今いるようなドーナツショップみたいなファストフード店だと狭いし、うるさいから、
ターミナル駅にあるちょっと広めで、高くないレストランで食事でもしてみない?
私も同席して、4人が友達になれるように誘導するから。
その日はとりあえず、連絡先の交換とかしてさ、グループ交際みたいの初めてみたら。
純華も文乃も好きな人に対して好きっていうんじゃなくて、とりあえず4人でいろんなところに一緒に遊びに行こうよっていうノリで言えばいいんじゃない?
もしかしたら、男子の方から言ってくるかも。
言ってこなければ、純華か文乃が言ってみたら?恥ずかしかったら同席した私が言おうか?
そうだ!あっちの二人には、私が4人のグループ交際を思いついたって言うよ。
4人なら仲良くなれそうだって私が考えたことにして提案する。
それなら、自然な感じで意識せずに会えるでしょ?
4人で会って、いっぱい会話をしたうえで、気が合えば、カップルに自然になれると思う。気が合わなかったり、やっぱり好みでなかったってことなら、グループ交際はやめって感じにしようよ。
これなら、もしうまく行かなかった時でもショック少ないよ。」
「うわっ、葵って天才!!まずはグループ交際ね。しかも本音を隠すから、私たちの女の子としてのプライドは守れるってことね。」
「そっか、男の子たちが、私たちを好きなら、グループ交際を引き受けてくれた自体で脈はあるし、その後も4人で行動すれば、結果がでてくるよね。
このアイディアは私たちが彼らを気に入ってるということがばれていないのがいいな。」
「女の子って、自分から好きっていうより、男子から好きって言われたい方でしょ?
だから、この作戦考えたの。
じゃあ、男子に話して、オッケー取れたら、また連絡するね。
SNSで連絡するからね。」
「了解。」
「ありがとう!」
私たちは目的を達成して、葵と別れます。
帰り道、私たちは軽口をたたきます。
「うーん、持つべきは友達だよね。」
「しかも、葵は男性の気持ちも女性の気持ちもわかるからすごく頼りになる。」
「とにかく会っちゃえば、何とかなるよね。」
「うん、何とかなるよ。私たち魅力的だもん。」
私たちは男の子たちが私たちのどちらを好きになってくれるのかなんてことは全く考えませんでした。
好意を示した女の子の気持ちをうまくくみ取って反応してくれると思ってました。
お気楽なものです。
恋愛初心者にありがちな、うまく行くに違いないという錯覚があったようです。
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そして、4人で会うと決めた日の前日の夜は文乃と、着ていく服のことで、電話で相談します。
「やっぱ、スカートかなあ?」
「スカートでしょ。パンツ系だと、男の子たちがっかりするよ。」
「私、いつも制服がミニスカだから、プライベートはパンツ派なんだよね。」
「私はミニスカ履いていくよ。」
「まじ?じゃ、私もそうしようかな?買ったけど全然履いてないヤツあるから。」
「男の子は単純だから、その方がいいよ。」
「うーん、文乃がそういうならそうする。」
まあ、服装から、髪型、メイクの話で、いろいろ盛り上がってしまいます。
だって、好きな男の子と会えるんだもん。
思いっきり可愛くしていきたい。
さて、当日。
約束の場所に行く前に、別の場所で文乃と待ち合わせします。
「待ち合わせ場所には早く行かないようにしよ。早く行くと、男の子に飢えてるように思われちゃいそう。」
「うーん、一理あるね。待たせるくらいでいいよね。
でも、葵に迷惑をかけられないから、ジャストタイムにしよ。」
「そっか、ぴったり時間にするか。」
約束の噴水の前に近づくと、葵と男の子二人が待っているのが見えます。
「やん、山中君、けっこう爽やか!」
「佐藤君、かっこいい!やっぱり背が高い!」
私たちは興奮しちゃいます。
意外にコーデはけっこうまともでした。
けっこうダサイファッションもあるかなって思ってたんですけど、これなら二人ともセンス大丈夫。
葵はたぶん私たちに気を使ったんでしょう。目立たないように、パンツ系ファッションに男っぽいハーフコート。ちょっと男装っぽい感じ。
髪も後ろで束ねて、メガネをかけて、ちょっとダサい系真面目女子高校生?
色気をかなり隠しています。よかった、葵も可愛いから、ちょっと心配したんだ。
目立つカッコされなくてよかった。
私たちは待ち合わせ時間11時になったとたん、小走りして近づき、声を掛けます。
「お待たせー!待った?」
「時間には間に合ったよね。」
男の子たちが挨拶してくれました。
「あ、こんにちは。文化祭の時以来だね。」
「ひさしぶり、きょうはよろしく。」
ちょっと堅い感じです。う、緊張してきた。横をみると文乃も緊張してる。
「あ・・・あの時はどうも、お世話になりました。」
「きょうは、よろしく・・・お願いします。」
ちょっとぎこちないかな。でもいいよね。真面目そうで。
会場のレストランはすぐそばでした。
大きなテーブルで4人でお食事することにします。
うーん、緊張して、何から話せばいいかわからない。
文乃は・・・やっぱり緊張してる。
男の子のほうから話かけてくれないかな?
すると、葵が次々と話題を振ってきます。
助かる。でも・・・
男の子たちも、緊張していて、上手く話せないみたい。
要は4人とも恋愛初心者の疑いあり?
やだ、男の子の顔まともに見れない。
下を向いちゃう。
うー、うまく会話が続かないよ。
葵、もっと話が続く話題を振って!
その気持ちが伝わったのでしょうか?葵が強引に話題を男の子に押し付けます。
「山中君、そういえば、最近出来た〇〇ランドのアトラクション、すごく興味持ってたよね。
女の子に〇〇ランド興味あるか聴いてみたら?」
「そうだね。あのさ、〇〇ランドって興味あるけど、男って中学くらいから、親と一緒に行動しなくなるからしばらく行ってないんだ。最近行った?」
佐藤君が答えます。
「あ、俺も行ってないや。男同士じゃ行かないからな。」
「ええ!行ってないの?
私は家族で、1年に一回は行ってるし、友達とも1年に1回は行ってる。春には、ここにいる純華と行ったし。」文乃が驚いて、反応しました。文乃は〇〇ランド好きだから、すぐ反応します。
「うん、文乃と行ったね。女の子にとっては、やっぱり夢の国だしね。男の子も行った方がいいよ。」
私がノリノリで答えます。
こりゃ、葵は男の子たちが〇〇ランドに行こうと誘いだすように仕組んだんだなってわかりました。
私と文乃はいろんなアトラクションを説明して、感想を話します。
でも、「そうなの?」「そりゃ、面白そうだ。」っていうだけで、一緒に行こうよっていう誘いの文句が出てきません。
ええ?私たちと一緒に行きたくないの?
それとも、〇〇ランド、本当は好きじゃなかったりして。
私たちから、誘えないよ。
絶対!
女の子だもん。
いや、誘ってもいいんだけど、やっぱり誘ってほしい。
ちょっと葵はイライラした感じになりました。
強引に提案します。
「あのさ、ここにいる4人で○○ランドに行ってみたら?
女の子だけで行くのとは違った盛り上がりがあると思うよ。
男子のほうだって、女子と一緒じゃなければ、〇〇ランドになんて入れないでしょ。
うん、4人でいったら?
もう、スケジュール決めちゃおう!
えっと、休日で、4人とも空いている日を確かめるから。
はい、まず来週の土曜から確認します。」
「あ、はいっ。」「そうだね。」「みんなで行くと楽しいね。」「そうしよっか」。
うわっ、葵ったらすごい仕切り!強引だ!こりゃ、逆らえない。
男の子たちも、従ってる!
そして、さらにおせっかいなことに、
「4人ともせっかく知り合ったんだから、連絡先を交換して。今すぐ!!」と言ってきたよ。
葵、すごいよ。次々の課題をこなしてる感じ。
私たち4人は「はいっ!」と一斉に答え、早速、連絡先を交換し、グループSNSを4人で作ります。
私たちはグループに葵も入れようとしたんですが、葵は拒否します。
「私がグループに入ったら、私が仕切りすることになっちゃうでしょ。それは嫌。」
って反応しました。
そりゃそうだよね。
「じゃあ、これからは4人で、仲良くやってね。とりあえず4人というグループで交際して、友達として
交流してください。いい機会だと思うから。」
葵は恋愛のために付き合うっていうことは全く感じさせない感じで提案してきました。
誰かが誰を好きなんていう感じを作ると、恥ずかしがり屋の私たち4人はうまく行かない。
まずは仲良し4人組になって、自然に話しができる仲間になるべきだと考えたようです。
「俺たち、女の子と何を話していいかわからないんだけど、とりあえずよろしくお願いします。」
「うん、まずは友達になってほしい。4人でいろいろ遊びに行こうよ。」
ここに来てやっと男性陣がグループ交際について明言してくれました。
よかったー。
「あ、そうだね。私たちも男の子といろいろ話したかったんだ。うん、一緒にいろいろ遊びに行こ。」
「私たちも男の子と何話していいかわからなくて。でも仲良くしてください。」
私と文乃も笑顔で、応じます。何とかグループ交際が始まりそう。ほんとによかった。
葵、ありがとう。ここまで来たら何とかするよ。がんばろう。




