第2話 文化祭案内してくれたけど・・・その後が・・・
よろしければ、本編も読んでくださいね。
純華です。
男子校の文化祭、すごく楽しかった。
私と文乃は山中君、佐藤君に案内されて、美味しい出店、女子に人気の執事喫茶、お化け屋敷、占い館、バンドライブ、そして、葵が出演する演劇と一通り回って、文化祭を満喫します。
男の子二人はとてもシャイで、恥ずかしそうに声をかけてきます。けっこう敬語が混じっていて、真面目な雰囲気がすごくいい。初めて会ったんだもん、やはり最初は馴れ馴れしくしない方が好感持てます。
不器用な感じが素敵。
久々に、同年代の男の子といっぱいおしゃべりをしちゃった。
うまく、会話ができたとは言えなかったけど、一緒にいるだけで楽しい時間でした。
うん、すごく気分が高揚しました。
そして、帰る時、男の子二人は私たちを校門まで送ってくれます。
「今日はありがとう。じゃ、またね。」「おかげで、楽しかった。またね。」
私と文乃は心から感謝を込めてお礼を言います。
「またね。」という言葉には再会できる気持ちを込めました。
やっぱり、また会いたい!
山中君、佐藤君も
「じゃあ、また。」「またね。」と返してくれました。
うん、同じ気持ちかも。
あー、名残りおしい。もっとお話ししたい。
でも、彼らも用事あるみたいだし・・・。
うん、葵の友達だから、機会はあるな。
ここは我慢だ。
私たちは、後ろ髪を引かれる気分で、校門から出ていきます。
しばらく、歩いて、電車に乗るころ、文乃がつぶやきます。
「うーん、連絡先交換しなかったね。向こうから聴いてきてくれると思ったんだけど。」
私は答えます。
「そうだね。向こうも楽しそうにしてたし、私たち可愛いから、私たちのこと好きになっても不思議ないんだけど・・・」
「ほんと、そうだ。私たちのことたぶん好きだよ。うん、葵が言った通り、私たち可愛いんだから。」
「そのとおり!」
「ふふふ。」
「ははは。」
「もし、私たちのこと気に入ったのなら葵を通じて連絡来るよ!」
「そうだね。慌てることないか。じっくり待つか。」
「ところでさ、ふふ・・・純華はどっちを気に入った?」
「えー?やっぱり聴く?」
「そりゃ聴くよ〜!ダブってたら考えないと。ライバルになっちゃう。」
「そうか…
あのね、二人ともいい感じなんだけど、
私は山中君!
佐藤君、私には背が高すぎるし、私、山中君の凛々しい目が好き!
今日は佐藤君との会話が多かったけど、本命は山中君!」
「良かった!私は佐藤君なの。今日は山中君といっぱい話したけど、本命は佐藤君。あの優しそうな笑顔と私でも見上げちゃう背の高さが魅力!キスされるなら上の方からされたい!」
「うわー、妄想爆発してる!
ふふふ、良かった、ダブってなかったね。
これで、三角関係は無し!
あとは連絡待ちってところかな?」
「そうだね。楽しみ。連絡きたら、まずは友達になりたいね。」
「うん、まずは友達。そっから進展できればってとこ?」
「私たち、男友達もいないもんね。友達になりたいよ。」
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ところが、ところが、1週間たっても連絡がありません。
「すみか~、連絡ないねー。」
「そうだね。翌日の『昨日は来てくれてありがとう。』っていう葵のメッセージだけだった。
どうしたんだろう?
もしかしたら、佐藤君、山中君って、彼女とかいるのかな?」
「うーん、二人ともけっこうかっこいいから、いても不思議ないかなー。
彼女とはいかなくても、好きな女の子とかいたりして。」
「私たちより可愛い子?」
「そんな子いるわけないか?」
「ははは、だよねー。」
私たちはこの段階では、不安になりながらもまだ楽観的でした。
でも、2週間たち、3週間たち、連絡がないと、さすがに脈がないという気分になってきます。
「ふみの~!ううう、連絡ないよー。
葵からの連絡は男子校の演劇部のネタと、芸能ネタばっかり。」
「そうだね。うーん、私たち、全然相手にされてなかったのかな?
悔しいっ!
もう、あきらめる?ほかにいい男みつけよっか?」
「そうする?でも、どこで見つけるの?」
「うーん、それだ!
見つけるの困難!
どうしようか?」
二人の会話は行き詰まってしまいます。
「うーん、いい考え浮かばない!とりあえず今日はクレープ屋さん寄って帰ろう!」
「色気より食い気なの?ま、いいか!賛成する!
男の子のことはとりあえずゆっくり考えよう!」
で、私たち二人はその後1カ月以上、山中君、佐藤君の話を避けるようになります。
諦めなきゃいけないという気持ちと、諦めたくない気持ちの間で心が揺れていて、とても口には出せませんでした。
文化祭から、ほぼ2カ月経った日の夜、私は夢を見ます。
夢の中で、私は海辺に一人で立っていました。
あれ、私、何でここにいるんだろう?と思ってたら、急に後ろから声をかけられます。
「桑島さん、君が好きだ!待たせてごめん!」
振り返ると山中君がいました。凛々しい目で私を見つめてくれます。
わーっ、やっぱりそうだったんだ。私のこと好きだったんだね。
うれしいっ!
ちょっと戸惑いながら、「私でいいの?ほかに素敵な女の子いっぱいいるよ。」と答えます。
「いや、君じゃなきゃだめだ。君しかいない!」
私は、胸がキュンとします。
「そう・・・なんだ。うれしいっ。私も・・・好き・・・かな?」
「ありがとう!両想いだね。」
そして、山中君は顔を近づけてきます。
ああ、キスだ!待望の・・・
私は目を瞑ります。
あと、もう少し・・・
・・・・・・
「純華!!いつまで寝てるの!!今起きないと間に合わないよ!」
「うーん、んン?夢?」
姉の大声で、目が覚めました。
姉は呆れた顔で、寝ぼけまなこの私を見ています。
はあ~、やっぱ夢か。
残念だー。あと少しだったのに。
でも、夢にまで見るとは、私、山中君のことまだ好きなんだなー。
よし、素直になろう。
この問題から逃げるのやめた。




