5thバトル:三澤倫子 vs 宮本美希
加奈子:それでは、第5戦目の組み合わせを発表したいと思います。
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名前:三澤 倫子
性別:女性
誕生日:1991年9月12日
タイプ:対戦
ランク:6
外向的/内向的:7
大胆/慎重:2
理性/感情:6
楽観的/悲観的:5
背丈:160前半
体型:
容貌:美形
財布:3/3
職業:自動車整備士
地元:葦原県・八神街道/チーム・ロスヴァイセ
特記:
●個人能力値
身体:7 知性:9 人格:6
●一般技能
運動:1 威圧:1 推理:2 交流:①
●専門技能
機械:1
●バトルスタイル
クルセイダー
●車両データ
ROSSWEISSE MR-S/2ZZ改
チューニングレベル:Ⅳ(S)
セッティング:ストリート
駆動方式:MR
車両ランク:L
速度:3 馬力:5 旋回:2
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名前:宮本 美希
性別:女性
誕生日:1989年1月1日
タイプ:才能
ランク:4
外向的/内向的:4
大胆/慎重:2
理性/感情:7
楽観的/悲観的:3
背丈:160半ば
体型:
容貌:平凡
財布:4/2
職業:会社員
地元:福岡県・高田峠/チーム・K-SPEED
特記:ニコチン依存症(喫煙をやめられない)
●個人能力値
身体:8 知性:6 人格:7
●一般技能
運動:2 教養:① 推理:① 家事:1
●専門技能
腕力:1 欺瞞:①
●バトルスタイル
テンペスト
●車両データ
JZA-70 スープラ
チューニングレベル:Ⅲ
セッティング:ストリート
駆動方式:FR
車両ランク:SH
速度:7 馬力:6 旋回:⑤
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加奈子:石田さん、このバトルの展開を、どのように予想されますか?
石田:端的に言うと力と技の対決になると思います。
加奈子:力と技、ですか。
石田:ええ、力と技です。まず宮本選手の有するバトルスタイル「テンペスト」は、任意の手札を2枚合計使用することで狙ったラウンドを高確率で勝利に持っていける一方、続くラウンドをほぼ確実に失うという極端な性質を持ちます。実にわかりやすい力業のバトルスタイルと申せましょう。一方、三澤選手の「クルセイダー」は、自分の弱い手札を相手に押し付けることで、相手側のカードを弱体化させつつ自分のカードを強化することを目論めます。「テンペスト」とは対照的な極めて技巧的なバトルスタイルと言えます。
加奈子:なるほど。
石田:ただ、今回の対戦では「旋回」において三澤選手の「MR-S」が3倍効果の圧倒的優勢を得ることができます。「速度」と「馬力」においては宮本選手が優勢を得ていますが、セミスリックタイヤを使用している三澤選手の「MR-S」が数値修正+1を受けられるため、性能差はないのと同じです。このため、バトルの勝敗は三澤選手有利に進むのではないか思われます。
加奈子:三澤選手は、走り屋ランクがふたつ上で駆け引きの面で優勢。マシンスペックにおいても「旋回」性能で10ポイントの差を持ちますしね。普通に考えれば、三澤選手の勝利は鉄板のように思われます。
石田:普通に考えれば、確かにそうなります。もっとも、マシンスペックで劣勢な宮本選手側に対抗手段がまったくないかと問われれば「そうでもないぞ」と回答できたりするのですが。
加奈子:そうなのですか?
石田:はい。それは、宮本選手が持っているバトルスタイル「テンペスト」の使い方次第です。1ラウンド内でカードを追加提出できるバトルスタイル「テンペスト」の効果は、「旋回」ラウンドにおいて圧倒的優勢を3倍効果で得られる三澤選手の得点力に勝るとも劣らないものです。なんといっても、得点の数字が2枚のカードの合計値になるのですから。大きなカードの2枚出しで獲得できる点数は、ラウンドの勝利によって得られる相手のカードの点数を含めると、なかなか結構な数字になります。結果として、得点源にメリハリの利く宮本選手が、三澤選手相手にそこそこ抵抗できるんじゃないだろうかと、ボクなんかは思う次第なのですよ。
加奈子:では、宮本選手にも十分な勝機があると?
石田:そう言いたいところなんですが、さすがにそれは難しそうですね。なぜならバトルスタイル「テンペスト」は、使用した次のラウンドで数値0の架空のカードを出したものとされてしまうからです。当然のことながら、そのラウンドを落とす可能性は非常に高いものとなるでしょう。あと、バトルスタイル「テンペスト」は、手札の配分によっては、数字の小さいカードしか手元にないことで発動しても合計値が小さいままというパターンが生じます。そうなった場合、タイヤの性能と走り屋ランクの双方で上回る三澤選手を宮本選手が退けられるかと言うと、それは厳しい状況にならざるを得ないと予想するしかないんですよね。
加奈子:なるほど。
石田:というわけで、三澤選手の優勢は動かないと思います。悪くても4-1、おそらくは5-0で勝利する展開になるんじゃないでしょうか。
加奈子:解説ありがとうございました。では対戦結果の方を見てみたいと思います。
◆◆◆
三澤倫子:5-0:宮本美希
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加奈子:石田さんの予想が当たりました。
石田:ええ。でも実は宮本選手がもう少し善戦すると思っていたのです。それが、これほどの差になるとは……
加奈子:では、その「こんなはずではなかった」部分を解説していただけませんでしょうか?
石田:はい。まず三澤選手の圧倒的優勢による得点力ですが、ボーナスによる自分のカードの3倍点と通常の勝利得点との合計をカードの平均数値7で計算すると、7×3+7+7で35点になるのはわかるでしょうか?
加奈子:はい。
石田:で、宮本選手のバトルスタイル「テンペスト」による得点を同じように平均値7で計算すると、7×2+7で21点となり、三澤選手にやや劣る数字になります。ただし、ラウンドの勝利が約束されていない三澤選手の側と比較して、バトルスタイル「テンペスト」を使用した宮本選手の側は高確率でそのラウンドを獲れるでしょうから、ボクは双方の得点力がもっと接近するものと考えたんですよ。三澤選手の側に優勢があっても、それは宮本選手がバトルスタイル「テンペスト」を使用した直後の隙を突く形で得られるものだと予想したわけなんですよ。
加奈子:ですが、展開は三澤選手の一方的なものとなりました。宮本選手には、付けいる隙などなかったように見えました。その原因はなんでしょう?
石田:それはズバリ、手札の偏りによるものですね。
加奈子:手札の偏り、ですか。
石田:ええ。まず三澤選手が圧倒的優勢を得られる「旋回」ラウンドが訪れた時、彼女の手札には必ず絵札の姿がありました。さらに言うと、三澤選手は「旋回」ラウンドが訪れるまで、J・Q・Kといった絵札の使用をじっと我慢していたのです。
加奈子:はい。
石田:そして、その戦術が常時発揮できるほどに、三澤選手の手札には毎回絵札のカードが舞い降りてきていた。もちろん、何回かはバトルスタイル「クルセイダー」の能力で宮本選手の手札からそれらを引き抜いてきたケースもあります。ただ、そういった回も含めて、三澤選手の手札がクズカードで満たされる場面はほとんどなかったと言えます。
加奈子:なるほど。
石田:そのため、三澤選手は1ターンの間に「旋回」ラウンドが複数回訪れた場合でも、それを有効活用することができました。いまから思えば、このことこそが勝敗を分ける決定打になったのかもしれませんね。というのも、単発の得点力では近接してても、バトルスタイル「テンペスト」は2回連続の使用ができないルールになっています。バトルスタイルを使用した次の回は、必ず数値0の架空カードが使われる決まりになっているからです。
加奈子:つまり、大量得点できるラウンド数に差があった、ということですか。
石田:そのとおりです。戦前の段階でそれに気付かなかったというのは、明らかにデザイナーとしての落ち度です。深く反省いたします。
加奈子:意外と謙虚なんですね。
石田:意外と、は余計です。ですが、純粋にキャラクターデータとして見るとすると、宮本選手のスペックは与えられた設定に合致してるんじゃないでしょうか? 彼女の本質は、あくまでもダウンヒラーではなくヒルクライマーです。事実、戦場が登りであれば、彼女の愛車「スープラ」の「速度」性能が標準を上回る7、「馬力」性能が6ということもあり、得点2倍の効果を発揮する場面が数多く発生すると思われます。そこでさらにバトルスタイル「テンペスト」の使用が加わると、それこそ尋常でない攻撃力を対戦相手に見せつけるんじゃないでしょうかね。
加奈子:ですが今回の対戦は、残念ながらダウンヒルのステージです。
石田:そうですね。彼女の愛車も重量級で直線番長の70型「スープラ」ですし、ちょっと厳し目の戦いだったかもしれません。
加奈子:ありがとうございました。それではそろそろ、次のバトルに目を向けたいと思います。