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魔装講義①

「魔装というのは、人に、人以上の力を与える武器……とでも言えば良いのかな」


 カルナは、イリス相手に説明を始めた。


「昼間のあの男、彼は剣を使って、身体の表面を頑丈にしていたね」

「ええ」

「あれは、デルタグランドという種類の魔装だ」

「デルタグランド?」

「柄の部分に、三角形の黄色い宝石が埋め込まれていただろう。あの魔法石を埋め込んだ魔道具が、デルタグランドの魔装と呼ばれるものだ」

「魔道具? 魔法石?」

「この大自然の力を存分に浴びて生成された宝石の事だよ。これと、魔族の身体の一部を加工して造った道具……つまり魔道具を合わせる事で、魔装と呼ばれるものが完成する」

「魔族の身体の一部……」


 魔道具という名前は知らなかったが、魔族の身体を加工して何らかのものを造る文化があるのは知っている。


「ああ。……えーと、何か書くものがあれば説明し易いんだがな……」

「それなら、これ、使って!」


 イリスは、テーブルの下の引き出しから、羊皮紙と墨、羽ペンを取り出した。

 カルナはこれを受け取って、羊皮紙に次のような模様を描いてゆく。


 ▽

 ☽

 ○

 ✡


 それらの下に、


 地

 水

 火

 風


 を表す文字を書き加えた。

 四大元素――この世界を成立させている自然現象の根源である。


「魔法石っていうのは鉄や銅、金銀なんかと同じ、鉱物の一種。但し他の鉱物よりも魔力……自然の力を吸収し、増幅する性質に長けている。魔力伝導率だけなら純銀や純金もかなりのものではあるけど、量を確保するのが難しいからね。これらは各地の鉱脈が、それに即した力を長い期間受け続ける事で生成するもので、最も整った力を発揮する形状が、これになる。魔力の結晶だな」


 カルナが、それぞれの図形を指で示した。


「そしてこれらには、属性に即した色が生じる」


 図形と文字の下に、


 黄

 蒼・白

 赤

 緑・煙色


 と、書き加えた。


「あの男が使っていた剣にはめ込まれていたのは、三角形で黄色……だから、デルタグランドの魔装、っていう事?」

「うん。そしてこの四種類の魔法石には、魔道具に組み込んだ際にそれぞれ異なる能力を発揮する。デルタグランドには、あの男が使っていたように皮膚や筋肉を強化する力がある。水の魔装はムーンアクアと言われ、体内の水分を浄化して毒素を洗い流したり、逆に体内で毒素を生成する事が出来る。火の魔装ジュエルフレイムは体温の上昇と精神力の高揚を促し、風の魔装ヘキサウィンドには五感を鋭敏にする力が備わっている」


「へぇ……」

「この四つは能力としては同等とされている。身体を強化しても毒を飲まされれば苦しむし、五感が鋭くなって弓矢の音や軌道を読めても身体が動かなければ避ける事は難しい。ただ、その流通の比率から見て、下からデルタグランドというようなランク分けがされている」


「流通の比率? つまりデルタグランドは、一番で出回り易いって事?」

「そう。さっきも言ったように、魔装の要となる魔法石は、自然の力を存分に浴びた鉱脈から採取される。火の魔法石は常に火の力を浴びている訳だから、例えば火山の近くの鉱脈などで採られる。風の魔法石は台風が頻繁に発生する地域や、常に風の吹きすさぶ渓谷なんかでしか採られない。一方、水の力は海や川に集まり、大地は何処にでも広がっている。巧くやれば、地の魔法石は通常の鉱山から発見される事も多い」


「確かに、火山や深い渓谷に行くと考えると、量はあっても採掘が難しいわね。採れる量が少なかったり、そもそも採掘に行く人たちが多くないから、火や風は貴重って訳ね。水や地の魔法石は採り易いから、流通するものも多くなる、って事」

「そういう事さ」

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