歓迎会①
アムンでは、カルナの歓迎会が執り行われた。
カルナは医者に傷を見て貰った後、イリスに案内されて南東の浴場傍の、食堂の一つに赴いた。
するとそこには、既に多くの料理が並べられており、食堂に入る限りの人たちでいっぱいになっている。
牛の肉、豚の肉、鶏の肉。
サラドも、フルーツもある。
香ばしいスープ。
それらが、所狭しと並べられていた。
「さぁさ、旅のお人! 存分に楽しんで行ってください!」
「イリスちゃんを助けてくれたそうじゃねぇか!」
「遠慮なんかしないで、ほら、食べた食べた! 随分頑張っていたそうだからね!」
食堂は、一〇〇〇人が入るか入らないか、というくらいの広さであった。
その厨房に近い場所に、カルナはあれよあれよと言う間に案内され、椅子に座らされた。
「先ずはこいつで一杯やってくれや!」
と、一人の男が大きな樽を持ってやって来た。
樽の蓋を開けると、芳醇な葡萄の香りが大気中に拡がった。
柄杓を持った女が横から出て来て、葡萄酒を掬い、細長いグラスに注いだ。
赤色のガラスの表面に、白いガラスを被せて、白い部分を浮き彫りにしているらしかった。かなりの高級品である事が、カルナには分かった。
「申し訳ないが……」
カルナは眼の前に差し出された葡萄酒のグラスには手を付けず、言った。
「酒はやれないんです。折角苦労して造ったものを、味わえない人間に飲ませてしまうのはいけない」
そう言うと別の人間が、同じようなグラスにミルクを入れて持って来た。
「すみません、気が利きませんで」
「こちらこそ、ご好意を無碍にする形で、申し訳ない」
カルナはそのミルクを、ありがたく頂いた。
サラドには、玉ねぎとニンニク、リンゴをすり下ろして和えたソースが掛けられている。
スープはカボチャやニンジン、豆を煮込み、素材本来の味を引き出させていた。
ステーキには、高級品である塩や胡椒がふんだんに使われている。
「こんなおもてなししか出来ませんで」
食堂の女将らしい女性が出て来て、カルナに言った。
「いえ、俺のような異国の人間に、これだけの食事を出して頂けるなんて、とてもありがたい事です」
「異国の人の相手をするのは、この町で過ごしていれば自然と慣れる事さ!」
誰かが言った。
成程、と、カルナはこの豪勢な食事に納得がいったようである。
貿易の要衝であるアムンの町に訪れる、様々な国の人々が、食料品や調味料、高級な食器などを売ったり交換したりして、この町の文化を発展させているのだ。近くに海がない場所で、これだけ塩味の効いた食べ物を提供出来るのは、その証拠でもある。
しかし――と、カルナには一つ、引っ掛かる事がある。
先程、イリスに訊こうとした事だ。
何処となく活気を感じられないこの町、それに関してイリスは、泣き出しそうな顔を見せて何かを言おうとしていた。
だがイリスは、カルナに興味を持った大人たちに押し退けられて、何処かへ行ってしまっていた。
「なぁ、兄ちゃん!」




