把握
「ではウィズ様。失礼しますね」
「ん?うん」
ウィズはコアラが何をしよーとしているのかは分からないが返事をした。
あれ?
なんだろ?
何もしていないのに疲労感がましているよーな。
気のせいか?
「なんだか疲労感と眠気が増していくような…」
その感覚は正しいと言っておこう。
何故ならコアラはウィズの生命力を吸っているのだから。
身体が疲労するのは当然。
「ちょっとまてコアラ。お前は何を…」
「当然、ウィズ様の生命力を吸って蓄えていますけど?」
やっぱりコイツが何かする時は全部、洗いざらい1から10まで聞いてから判断すべきだったとウィズは後悔したが既に身体には力が入らない。
無理矢理コアラを引き剥がす事はできずにいた。
なのでウィズは口を開く。
「コアラ…俺の腕から」
「その解は…否」
ウィズの言葉に対して食い気味でコアラは拒否をする。
付き合いはたかだか数日。
けれどウィズはそれなりにコアラを信用していた。
だからこそウィズはコアラからの返答にショックを受けた。
しかし、よくよく考えれば何度も魔物の前に突き出され死ぬ思いを繰り返し味わったが結局は生きている。
なによりコアラは俺の為と何度も繰り返しそー言い続けてきた。
あれは嘘だったのか。
それこそ…否。
それなら身体をボロボロにしてまで俺を護った理由がわからない。
多分、いや絶対的に自分自身の利益の為になるかならないかでしかコアラは行動してこなかった。
それなら今回も…。
ウィズはコアラの行動について考え、答えを探した。
しかし、その答えにたどり着く前にコアラは自らウィズの腕から離れたのだった。
「まぁー。こんなもんでいーでしょ」
そう言って瀕死のデーモンカウに近づき巨体に手を置く。
「哀れな牛よ。これからウィズ様の慈悲でお前の傷を癒してやる。ウィズ様に感謝し今後はウィズ様の為だけに生き、死ぬのだ」
「………」
デーモンカウからの返事はなかったがコアラは気にせずウィズから頂いた?生命力を流し込んでいく。
生命力が光となりデーモンカウの体を包むと急激な速度で傷が癒える。
「グゥッ……モォーーーッ!!?」
傷が完璧に癒えるとデーモンカウは立ち上がり雄叫びをあげた。
「えぇ…治っちゃうんだ…」
傷を癒す魔法は見たことことがないけれど、大神官級の治癒術に長けた者は瀕死であっても傷を癒す事が出来ると前に聞いた事があるけど、まさかコアラがそんな事までできるとは流石にウィズも思っていなかった。
ウィズはグッタリと地面に半笑いで倒れていた。
「感謝致します。死に損ないのこんな牛ごときを復活させていただき有難うございます」
「まぁー。これも全てあそこで寝そべっているウィズ様あってのこと。感謝するならウィズ様に直接言うといい」
デーモンカウはウィズを見つけると右前脚の蹄で地面を何度か掘り角を構えてウィズに突進した。
迫り来るデーモンカウを見ながらウィズは死んだかもと一瞬思ったがそれほど恐怖を感じてはいなかった。
ウィズの目の前までデーモンカウが迫る。
しかしギリギリのところでピタリと止まり前脚だけを折りデーモンカウは自身の角を地面に突き刺した。
「ご慈悲に感謝いたします。今後はあなた様を群れの長と認め、あなた様に服従させていただきます。どーか今後とも宜しく御願い申し上げます」
デーモンカウが丁寧な挨拶を終えると顔をあげる。
その時ウィズは気を失っていた。
「えぇー!ウィズ様っ!!しっかりして下さい!!!まだ死ぬには早すぎま…ん?」
「すー…zzz。すー…zzz」
「寝ていますね」
「そのよーですけどコアラ様。大丈夫なのでしょうか?」
「ん?なにがだ?」
「いえ、貰っておいて何ですけど。自分って結構大きいじゃないですか。体が。だからそれなりの量の生命力を分けていただいたと思うのでウィズ様の身体を考えると…」
「大丈夫、大丈夫。そこら辺は問題ないない。疲れが今になって一気にきただけですよ。ささっ、ウィズ様が休んでいるのでしっかり護衛頼むよ」
「お任せ下さい!命に代えても!」
コアラはデーモンカウにウィズと少女を任せて大量に死んでいるデーモンカウのもとに向かった。
「いやー、大量!大量!…ガリボリッガリボリッ」
小さいとは言え魔石は魔石。
角を切り落とし、皮を剥ぎ、肉と内臓を分けながら出てきた魔石を片っ端から頬張り続けた。
「魔石を確認。魔力の抽出開始。平行して動力変換を開始…。変換量8…9…12…24…28.5%の確保に成功。現在の残動力量35.55%…。吸収と放出をしたせいで動けなくなる所でした。いざとなったら私もウィズ様から貰えばいーだけですけど。ざっと見た限り回収出来る物はさせて貰ったので帰りますか」
作業を終えたコアラがウィズ達の元に戻ると、ウィズが倒れて寝ていた場所に人集りができていた。
「子供を人質にとるなんて…外道め!」
「ウィズ。お前って奴は……クソッ!」
んー。
何やら人間達は怒っているよーだがなぜ??
コアラは首を捻る。
「はいはいー。ちょっと失礼しますねー」
コアラが人集りを掻き分けて前、前と進む。
「なんだコイツは!?」
足元のコアラの存在に気づいた村人が声をあげ、近くにいた村人はコアラから距離をとった。
「あら!?コアラちゃん」
近くにいたマリーさんもコアラの存在に気づき声をかける。
「こあら?ちゃん?なんですかそれ?」
マリーは周りの制止する声を気にせずコアラの元に駆け寄った。
「ウィズが倒れているけど大丈夫なの!?」
「マリーさん。えぇ。まったく問題ありません。それよりこの集まりはなんなのでしょうか?」
「ほら、目の前の魔物がウィズと子供を背にこちらを攻撃してきて助けられないの…」
「あぁー…。とりあえず大丈夫なので皆様方に魔物はウィズ様の下僕なので危険はないとお伝え下さい。それとアイツはむしろウィズ様と子供を守っているつもりだと思います」
「守る?」
デーモンカウにコアラが近づく。
「ブルルルルルゥ…ブルルルルルゥ…」
「どぉーどおー。そんなに興奮するな」
コアラがデーモンカウの足元に触れようとするとデーモンカウは角を突き出し攻撃してきた。
「興奮したせいで周りが見えなくなったのか?未熟者め」
コアラが軽く飛び上がりデーモンカウの側頭へ回し蹴りを食らわせその場から吹き飛ばした。
「敵味方くらいは早く区別がつけられるよーに躾けないとか…。いやー、皆様お騒がせして申し訳ありません。彼も悪気があってした訳ではないので。ただ背後の2人を守ろうと必死だったのです。どーか許していただけると助かります。それとウィズ様はデーモンカウの群れを討伐し疲れ切っているのでお静かに御願いしますね」
「なんだコイツは!見た感じ魔物の仲間に違いない!!」
「きっとコイツがデーモンカウを引き連れて村を襲わせたんだ!」
「はっはっはっー!面白い冗談を言われますね。それが本当なら今頃皆様の頭と胴体、四肢もバラバラにされてるって!!」
少しだけムッとしたが笑顔で対応するコアラだった。
「お前ら辞めろっ!この子は…よくわからんけどウィズの友達だ!魔物じゃない、兵器だ。悪い奴じゃない。俺が保証する!!」
「えっ!?兵器!?」
「悪い兵器じゃないから安心しろ!」
「悪くない兵器ってあるのか?」
「いるだろそこに!」
人集りの後ろからドッタがそう言って現れた。
「村を救ってくれたのか?」
「勿論そーですよ。あっ。全てはウィズ様のお陰です」
倒れて寝ているウィズを指差しコアラは拳を突き上げた!
「ウィズ様に感謝をー!!」
実家は寒い。
嘘つきな猫です。
あまりにもする事がなくついつい末サボに続いて投稿しちゃいました。
する事あっても書けよって話しですけど笑
明日も両方投稿できるよー誠意努力します( ̄+ー ̄)
評価、感想よろしくーぅ!




