運命
「さー、さー。子牛どもよ。死にたい奴から前にでろ!」
「……」
「返す言葉もなしかっ!」
「いや、デーモンカウに言葉が通じないでしょ」
「それもそーでした」
デーモンカウから返事は返ってこず、地響きだけが大きくなりながらこちらに向かって来る。
コアラがデーモンカウの群れに死の宣告をしたがデーモンカウの群れは止まらない。
「魔族言語をはもう少し学習したほうがよさそう…っと」
コアラが自分の手に何やら書いているのが見えた。
その作業が終わるとコアラは右手を前に出しデーモンカウの群れを迎え撃つ体制に入った。
「一応、ウィズ様も気をつけて下さいね!」
「なんのこっ!?」
とりあえずに言われた通り、コアラの後方で剣を抜き構えるウィズ。
「本当に大丈夫なのか!?」
群れが近づくにつれウィズの鼓動は早くなる。
「まだまだ信用されてないものですね。今後はもっと頼ってもらえるよう心掛けないと。とりあえずはコイツらでウィズ様の信用度を上げさせて頂きますか」
コアラの突き出された右腕を中心に風が集まり始め、薄い層が張られていった。
その層は何層何十層にも重なりそして渦となり唸りを上げながら空に昇った。
渦の中心に向かえば向かうほど勢いは増しその勢いは渦を巻くほど強力になっていく。
更に周りからより多くの風を集め、より大きくそして高く成長していった。
デーモンカウの群れも周りの異変に気付くが猛スピードで突進体制を取っていたお陰でそー簡単に自分の脚は止られない、止まらない。
「コアラは何を…」
吹き飛ばされないよーに地面に剣を深く突き立て膝をついて風の勢いを耐えるウィズ。
「この感じ…この懐かしさを感じる高揚感…。けどそんなものはどーでもいい。とりあえずウィズ様の信頼を勝ち取るために私は戦う!喰らえ牛どもっ!!」
コアラは巨大な竜巻を群れ目掛けて投げつける。
「ガゥ〜!!」
「ガゥガゥ〜!!」
デーモンカウが悲鳴に似た鳴き声をあげながら竜巻に巻き上げられ次々と空高く舞い上がって行く姿をコアラは正確に数えた。
「58、59、60!っとこれで全部飛んで行きましたね」
空を見上げるコアラ。
「よしよし」
コアラがデーモンカウの姿が消えたのを確認すると、竜巻は消え、風の勢いが収まったことを確認してからウィズは顔を上げた。
「ウィズ様?なにしてるんですか?そんな格好で?」
「お前の出したとんでもない竜巻に巻き込まれないよーに必死に耐えてたんだよ!」
「あっ、ウィズ様。その位置はちょっと。もう少し下がって頂けますか?」
「下がる?何から?」
コアラに質問し終わるとウィズ達に影がさした。
「ん?」
空の中に小さな点がいくつか見え、その点は徐々に大きくなっていた。
それがなんなのか検討もつかないウィズの耳に聞き覚えのある鳴き声がした。
「もしかして…アレって…」
「もしかしなくてもソレですね」
アレやらソレやら会話に出てきた相手は先程空に散っていった牛達の事だった。
「……………ガゥガゥ〜!!」
「…………ガゥガゥガゥガゥー!!!」
「どっかに飛ばしたんじゃないのかよ!」
「………ガゥ〜!」
「飛ばしましたよ。真上に」
「………ンガゥ〜!」
「なんで!?」
「……ンガンガゥ〜!!」
「え?こんな大討伐のチャンスを無駄にしろとでもいうのですか!?…まぁーもーやってしまったので今更ですけど。もう一度言っておきますけど下がった方がいいですよ」
「…ぅ〜うー!!!」
ウィズは急いで後ろに跳んだ。
「ドグシャッ!!!…………」
さっきまでウィズが立っていた場所にデーモンカウの巨体が勢いよく地面に叩きつけられ顔が潰れた。
「危な…俺と子供まで一緒にペチャンコになるとこだった…」
「????」
またまたコアラは不思議そうにウィズを見た。
「さっきからその顔はなんだよ!」
「いえ、ウィズ様がなぜ避けるのか疑問で」
「これに当たったら死ぬからだよ!下がれと行ったのもお前だ!!」
「そんなに必至に避けてなんて言ったつもりはないのですが。それに死ぬ??誰がどこで??私がいるのに???」
「俺が!、ここで!!お前の!!目の前で!!!」
「…はっ!!」
コアラはまさかっ!みたいな顔を一瞬見せてからウィズに質問した。
「あのー。周りをよく見てもらえますか?」
「周り?…………特に何も」
「そーでした。ウィズ様は魔法が使えないから魔力のながらが見えなかった事を忘れてました。失敬」
「だから何んだよ」
「剣を構える前にウィズ様の周りに障壁を張ったので牛が降って来ても大丈夫!」
「でも、これが確実に防げるって保証は」
「私が大丈夫だと言ったら大丈夫なんです!!とりあえずそこからもう3歩ほど左に」
「こうして…ここでいーかな?」
「ん!?」
「ベチッンッ!!」
「うわっ!!なに!?」
移動したらいきなり斜め方向から牛が降ってきた。
「どうですか?こんな牛の体当りごときで破れるほど、その障壁は脆くないですよ…まったく」
「コレはコレでなんか嫌なんだけど…」
空気の薄い膜がウィズを守り、落ちてきたデーモンカウは何やら砕けたと音と潰れた音が耳の近くで鳴る。
弾かれたデーモンカウはそのまま地面に横たわりピクリとも動かなかった。
「そろそろ本格的に牛が降ってくる時間なのでであちらに避難しましょう」
コアラに引っ張られウィズは女の子を背負ったまま避難した。
それから10秒もしないうちにデーモンカウの群れが地面に戻ってきた。
もちろんほとんどが地面と衝突した瞬間に即死。
多少大きな個体数頭は大量に血を吐いたが即死はしなかった。
しかし動くことはできず死へのカウントダウン真っ最中。
そんな中、ただ1匹のデーモンカウが血反吐を吐きながら立ち上がりこちらに顔を向けている。
「ゴボォッ…ヴゥヴゥ…」
「ウィズ様。なんかあの瀕死の1頭が仲間になりたそうな目こちらを見ていますよ」
「いや、絶対ちがうでしょ!完全に目は血走ってるし俺には仲間というより最期の力を振り絞って命懸けで一矢報いてやるっ!って感じにしかみえないけど…」
コアラ生き残ったデーモンカウに近づいていった。
「危ないって!コアラ!」
ウィズの命令を無視してコアラはデーモンカウに近づく。
コアラにとってウィズの命令は絶対。
しかし、それはコアラ自身が最善と判断した指示に限られる。
ウィズの命令よりもコアラが優先するのはウィズの利益。
最大の利益は当然ウィズの生命の安全。
なので、今回のよーにウィズに危険が無い以上、コアラは貪欲に狡猾に最大限のウィズの利益の為だけに動くだけ。
よって、今回のウィズの命令を聞く必要はないし、聞くこともない。
「私…群れ…」
デーモンカウが言葉を話した。
「おやおや。言葉を話せる牛がいるとは。それでこちらを見ていたようだけど何か用事でもあるのか?」
「強者…従う…それ掟…」
「あー。なるほど!ウィズ様に扱えしたいわけか!」
「私…あなた…従う」
「つまり、このコアラに従うと言うことはウィズ様の下僕になりたいってことだな!うんうん。いー心がけだ!あの高さからの落下に耐えた耐久力は今後ウィズ様の利益になりそうだし…いーだろう!その願い聞き入れよーじゃないか」
「幸…せ…」
デーモンカウはそう言って倒れた。
「まだ何の役にたってもいないのに死なれるのは困る…。ウィズ様ー!!ちょっといーですかー!」
コアラに呼ばれたウィズは木下に少女を寝かせ、コアラの元に駆け寄った。
「どーかしたか?」
「この牛が死にそうなので助けたいのですがよろしいでしょうか?」
「また襲ってきたりしないよな…」
「それは問題ありません。むしろ襲われたらまたこの牛が血反吐を吐いてのたうち回るだけですし」
「コアラがそーしたいなら俺は構わないけど」
「ではではこちらに」
デーモンカウの真横にウィズを座らせコアラはウィズの左腕に抱きついた。
お久しぶりです。
嘘つきな猫です。
日が経つのは早い。今年ももー終わりですけど頑張って書きます!笑
やっぱり定期的に毎日書かないと中々ブックマは増えないですね(。-∀-)
1人で呼んでくれる人がいれば投稿したかいがあるので呼んでくれた方々に感謝です!
たまには感想下さい!笑




