群れ
ウィズの左肩に立つ得体の知れない生き物にマリーとドッタは驚き、手に持っていた皿とグラスを落とした。
「おっと!」
コアラは素早く肩から飛び降りグラスと皿を拾ってテーブルに置く。
「おいっ!コアラ!」
ウィズも突然のコアラの登場に驚いた。
「ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。私はウィズ様に救われたしがない魔道具。名を核動力自己成長型生物兵器 乙型羅号(かくどうりょくじこせいちょうがたせいぶつへいきおつがたらごう)と申します。是非、気軽に《コアラ》とお呼び下さい。お父様、お母様。今後ウィズ様の側使いとしてウィズ様の幸せの為、明るい未来のため尽力させていただきますので今後とも宜しくお願いいたします。ペコリ」
コアラは自己紹介をしお辞儀をした。
「人形が話した??」
「まぁー可愛い!」
ドッタとマリーの反応は全く違っていたがコアラに敵意はない事はしっかりと伝わったようだ。
それから数十分が経過…。
「ほれっ!コアラ!もっと飲めっ!」
「あいあいさー!グビグビ…ぷはぁー。五臓六腑に染み渡りますなー!」
「お前さんに内臓とかあるのか?」
「あるわけないでしょ!何しろ私、兵器ですから!」
「「がはははははっ!!!」」
1時間後には完全に打ち解けるコアラ。
「いやいや、出会った時の驚きはどこいったんですか…」
「細かい事は気にするなって!男ならドーンと構えてないとな!ドーンっと!がははははっ!」
「コアラちゃんこれも食べな」
「あいあいさー!いただきます!…モグモグ…モグモグ…うっ!!!」
「どーした!コアラっ!?」
「う…うまい!!」
「そーだろ!そーだろ!うちのかーちゃんの飯は絶品だろ!…ん?どーしたん、そんな変な顔して?」
「ウィズ様?」
「……」
それから飲み比べを始めたドッタとコアラ。
勝ったのはコアラ。
当然と言えば当然。
何しろ兵器ですから。
ドッタが潰れ、大きないびきをかきながら寝始めたので今日はそのままお開きになった。
「ウィズ〜様〜!ヒック!…」
「酔っ払うのかよ!兵器なのに!」
千鳥足のコアラがウィズの前を歩く。
「兵器が酔っ払ったらダメなんですか!そんな理がこの世にあるのですか〜??答えて下さ〜い。ウィズ様〜」
酔っ払ったコアラがウィズに絡む。
「痛っ!何ですかこの木は!邪魔ですね!ウィズ様に害をなすものは全てはいじょ!てぇいっ!!…ふんっ!!」
村の中に生えていた大きな木を力のみで強引に千切り遠くに投げ捨てた。
「こんなもんはー…こーだっ!!!!」
千切られた大木は遠くの彼方に消えた。
「何してんだっ!!」
「ウィズ様の邪魔になるものは全ての私がぁ〜排除します!あいあいさぁー!」
「どーすんだよこれっ!」
「どーするのかは〜ウィズにお任せします!敬礼!」
「もーわかったから寝ろ!」
「ウィズ様がぁ〜そー言うなら先に寝ま〜す!…うんしょ。うんしょ」
コアラがウィズの左腕によじ登る。
「酒臭っ!今日は離れて寝ろよ!」
「zzzz〜zzzz〜」
コアラは静かに眠った。
「俺の手伝いとか言ってたのに、面倒ごとを起こされてるだけなんじゃないのだろーか…」
その日もコアラを左腕に装備しウィズは深い眠りについた。
「にげろぉぉぉぉーーーー!!」
「きゃぁーーーー!!!!」
ウィズの目覚めは悲鳴とそして男達の叫びと共に訪れた。
「な、なんだぁー。こんな朝早くにどこの誰が何をしでかしたんだ?」
起き上がり左腕を見るとすでにコアラはいなかった。
「またあいつが何かしでかしたのか?」
家の扉を開けると逃げ惑う村人達。
「ウィズっ!!」
ドッタさんがウィズを見つけて駆け寄る。
「なんの騒ぎですか!?」
荷物をまとめ馬車に乗ろうとする人達で溢れかえっていた。
「そこをどけっ!」
「邪魔だ!荷物は捨てろ!!」
「女、子供が先だ!早く連れてこいっ!!」
「キーシャ!!キーシャはどこ!?」
「こっちにデーモンカウの群れが迫ってきているらしい!」
「いや、らしいって…」
「早くウィズも避難するんだ!あんな大軍に巻き込まれたらこんな小さな村なんて建物1つ残らないぞ!俺はマリーを馬車に乗せたらあっちの丘の上を目指す。お前も出来るだけここから離れて高い場所を目指して走れ!わかったな!!」
ドッタはウィズに逃げるよう念を押すとマリーの元に全速力で走って消えた。
「デーモンカウって…確か牛の姿した魔牛だっけ」
「ウィズ様もそれくらいはご存知なんですね」
コアラは突然足元に現れた。
「どこ行ってたんだよ!」
「当然あの牛どもの偵察行ってきました。それが何か?」
「そーなのか?なら俺にも言ってくれよ」
「わざわざ足手まといを連れて行く…お手を煩わせる訳にはいきませんので」
「いや、もー本音が聞こえたし」
「なら、そー言うわけです。はい」
コアラと会話していたらあたりが静かになっていたのと、地響きがこちらに近づいて来るのがわかった。
「こんなとこで話している場合じゃない!俺達も早くここからっ!」
「ママーッ!ママどこーー!!」
ドッタさんが教えてくれた場所目指して走り出そうとすると、泣き叫びながらテクテクあるく子供が1人いた。
その子供はデーモンカウが迫ってくる方向に残されていた。
「さっ。逃げましょ」
「その前にっ!!」
コアラを左腕に抱きつかせウィズは走る。
「ウィズ様。逃げるなら逆ですよ?」
「あの子をほっとけるわけないだろ!」
子供の元に辿り着くと視界にデーモンカウの群れが見えた。
「大丈夫だ。お母さんのとこに連れて行くからおにーちゃんの背中に!ほら早くっ!!」
「知らない人について行っちゃダメだって、ママが言ってた…」
「そんな事言ってる場合じゃ、あぁー!ごめん!!」
ウィズは子供の手を引き無理やり背中に乗せ走った!
その間もデーモンカウの群れは容赦なく村目指して突撃してくる。
「ウィズ様。これは逃げられないよーですよ?」
「でも、逃げるしかないだろ!!」
「えーっと。…1、2、3、4、…56、57、58、59、60!!ウィズ様、全部で60頭います」
「ぜーはぁ…。ぜーはぁ…60頭もかよ!けど60頭いたからって何!?」
「皆殺しにすればそこそこの経験値を得られるなと」
「はぁ???馬鹿馬鹿馬鹿!!あんなのに立ち向かったらあの群れに踏み潰されてグチャグチャのミンチにされるだけだって!!」
「誰があんな危険な場所にウィズ様を送り込むと言いました?」
「前にあっただろ!洞窟で俺を魔物の前に突き出したのは誰だよ!」
「まぁー過去の事にとらわれても仕方ないですし」
「それは自分勝手すぎるだろ!なら誰があの群れを相手に…まさかコアラ。お前が行くのか!?」
「背負ってる子供を投げ捨てないなら、この場合私しかいないと思いますが?」
「いやいや!いくらコアラが強くてもあの数はどー考えても抑えきれないだろ!」
「まったく私も下に見られたものですね…はぁー…何度も言いますけど私はウィズ様の道を切り開く為のお手伝いをするためにいるのです。ウィズ様に害なす者全てを排除する義務が私にはあります」
コアラはため息をつき左腕から飛び降りた。
「おいっ!コアラ!」
「ご心配ありがとうございます。心配してくれるなら、ウィズ様は念のため剣でも構えて取り逃がした牛さんの後始末をお願いします。取り逃がしたらの話ですけど」
長くかかりました。
そしてさらにテスト期間中なので長くかかりますが今年中にはなんとか10本くらいは投稿したいと思ってます。
嘘つきな猫です。
明日のテスト頑張れ俺!
投稿は遅めですけど頑張るので長い目でよろしくお願いします!




