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テンプレチート転生最強剣士、平賀桐人は今日も征く  作者: †闇夜に浮かぶ漆黒の平賀桐人†
2章 女神、それは見守るもの
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4.平賀桐人、目覚める

お疲れ様です。

最近暑い日が続いていたかと思ったら台風だったりして大変ですよね。

だから文字数が少ないのも許してはもらえませんかね……?

 はっと目が覚める。昔からどうも夢見が悪いためあまり枕を変えたくは無いのだが、どうやらあのまま寝落ちしてしまっていたらしい。おはこんばんちわわ、皆さんの平賀桐人です。


 さて、状況を整理しよう。


「すやー。すぴー」


 今俺の腹の上で寝てるのは我らがロリっ子、ユーフェイちゃんその人だ。そして。


「すかー。すぴゅー」


 俺右手を握りしめたまま離さないのは先ほど対戦したマクシミリアンちゃん。


 ……は? なんでこいつらこんな距離感近いんだ? 帰れ。ここは俺の部屋だ。


 とまれ、問題はそこじゃないが……まあ、いい。おそらく俺が冒険者登録を行うにあたって最大の障害はほぼ取り除かれたとみて間違いはないだろう。これならばあまり負担にならずに資金集めをすることができる。まさしく最高のタイミングで最高の相手が現れたというわけだ。やはりこの世界の女神に愛された男。持ってるな、俺は。素晴らしい。物語の英雄並みに持っている。流石だ俺。ブラボー!!


「そろそろどけ。邪魔だ。帰れ」

「あうっ…………おきたのですかキリト?」

「い゛ッ!? ~~~~~ったぁ!? ちょ、ちょっと強くない? 結構本気で殴っただろキミ!!」


 ……結構本気というか、この体勢から出せる限界で殴ったんだが……こいつめちゃくちゃ石頭だな。ユーフェイは手加減して小突いてあるくらいだが。


「とりあえずどけ。ここは俺の部屋だ。……………………ん? ここどこだ?」

「流石に理不尽ですよキリト。ここはギルドの休憩室です。あの後キリトが倒れてここに運ばれたのです」

「そうか、そりゃすまんな」


 へえ、でもけが人の上で寝てるのはよくないなぁ? お前もそう思うだろう? でも今の俺は作戦が順調にうまくいってるから許してやるよ。よかったな!


「あの後どれくらい経った? 体感的には四時間ほどかと思うんだが」

「あら惜しい。五時間くらい寝てたか。今はもう夜更けになるな。付き合ってくれたユーフェイちゃんと私に感謝してもいいんだぞ?」

「ちっ……そうか、ありがとう」

「今舌打ちした!? ……どうやら元気そうだな。心配したんだぞ? 急に倒れるから。一応身体強化は使ってないとはいえ、手加減なんてできる相手じゃなかったから、私も相応の力で相対しなければならなかった。なあ、キミは本当に初心者なのか? 当たり前のように私に反撃くれていたが、これでも私は五つ星の冒険者の中でも最上級であると自負しているんだが…………」

「はっそんなことか。アンタ忘れていないか? ここに登録に来るのは特に自分の力に自信があるやつばかりだ。その中には、元騎士や闘技場の格闘士やらがいたりもするって話だ。別に初心者だから弱いってわけじゃあない。その勘違いをするのは弱っちい時から冒険者となって戦ってきたやつに多い。…………()()()()()? ()()()()()()()()()()()()()

「……ふぅ。ばれているぞ、アルール。入ってこい」


 そう、マクシミリアンちゃんが言うと、休憩室の扉を開いて受付嬢が入ってきた。その表情は暗く沈んでおり、先ほどの俺の言葉が相当堪えたと見える。


 …………まさか本当にいるとは。当たっててよかったわ、マジで。狸寝入りしてるマクシミリアンちゃんが目の前にいたから、もしやと思って声をかけてみたらビンゴだった。やはり天才だったな俺。


「アルール、キミの事情はよく知っている。だが、先ほどの模擬戦を見てわかっただろう? 彼はキミが心配するような人じゃない。少なくとも、身体強化をしていない私と互角に張り合える実力があり、彼も身体強化を覚えてしまえばすぐに五つ星級まで上り詰めることさえできる器だ」

「…………ええ」

「それに彼自身危険なことはしないと言っていただろう。不安ならしばらく私が面倒を見てやってもいい、だから……」

「……っ! わかってるわよ! ……わかってるわよ、そんなこと。この子に、あの頃の私たちを重ねて見ているのは……わかってるから……」

「アルール……」

「……キリト君、あなたに冒険者証を発行します。あなたのこれからに幸多からんことを……」


 す、といつの間に作成していたのかわからない冒険者証――冒険者であることの最低限の資格を満たす証――を渡し、彼女は去っていった。ぶっちゃけ何が何だかわからない。えぇ……俺そういう重い感じの話嫌いなんだよね。救いたくなるからさぁ。


 まあ、もらえるものはもらっておこう。いつか彼女のトラウマも払拭できればいいのだが。その時は仕方ないから俺も手伝ってやろう。人類を救済するのは俺の役目だ。ならば彼女もその対象に入るからな。女神の思惑がいまいち見えてこない今、小さな救いからコツコツと頑張っていくことが大切だろう。


「あれ、私のはないんですか?」

「ないけど?」

「えっ」


 その後、冒険者証をねだってくるユーフェイを適当にあしらいつつ、俺たちは冒険者ギルドを後にした。やれやれ、騒がしい毎日になりそうだ。












 ()が去った後の休憩室で一人、ディガートはにやついた頬を抑えられずにいた。鬼族の身体能力――それも、鬼族の英雄たるディガート・マクシミリアンについてくるような人族としての突然変異種、英雄と呼ばれる者たちの片鱗をその身に秘めた、彼……キリト。


 彼に会ってからディガートはその生の中で培った経験がすべて吹き飛ばされるような気さえしていた。上から目線で見透かしたようなことを言うと思えば、飄々とした態度で自分を女扱いしてくる。そして、初めて、自分と同等の力を持つ男。


 ディガートは彼に会えたことを神に感謝していた。ああ、女神アダマスよ、あなたが遣わしたものは私の寂寥を慰めてくださいました。あの人がこの世界に呼ばれたのは私に会うためだったのですね! 否、私がこの世に生まれたのは彼に会うためだったのですね! おお、大地の恵みをもたらす我らがアダマスよ! この幸せに感謝いたします!


 そう、祈りを捧げて幾ばくか。彼女はキリトの使ったシーツを持ち去ると、不気味なほどのにやけ面を晒しながら夜の闇に消えていった。



「ああ…………絶対に逃がさないからな…………」

目覚めたのはキリト君じゃなくてマクシミリアンちゃんじゃねえかな……


あ、次の投稿は一応日曜日です。

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