圧倒的
「うおおおおっ」
まず圭太が先陣をきる
相手の目が圭太を捉えるよりも早く、敵が圭太が迫ってくるのに気づいたころには目の前で剣を振りかざしていた
決まった
3人ともそう思った
だが、
「ふっ、効かないねえ」
強烈な斬撃を受けたにもかかわらず、何事もなかったように平然と立っていた
「なんでだ?」
立て続けに攻め立てる圭太だが、攻撃は全てヒットしているはずなのに相手の体力ゲージは1ミリも減らない
「なあ、よく見てみろよ。なんか文字が出ているだろ?」
「んあっ?なんだよ文字って...。これのことか?」
「なんて書いてあるの?」
「英語でimport cpuて書いてある」
「インポート?なんであいつが」
import cpuとは、モンスターや街の住人など沢山いるキャラクターたちの中でもストーリーに関わって来る重要キャラや武器屋、宿屋の店主たちなどのいなくなったらゲームに大きな影響を与えかねないcpuのことで、こいつらはいかなる攻撃も受けないいわば無敵状態なのだ
つまりあの男は今、無敵状態であり私たちの攻撃は一切喰らわない
「じゃあ私が書き換えるよ?」
「え、でも...」
「今回の敵は私たちのことがバレてでも倒さなきゃいけないと思う」
「...わかった」
真衣ちゃんの毅然とした態度に躊躇してた私も覚悟を決める
私は圭太の横へと歩み出て言い放つ
「ゲームマスターとして、あなたを倒すからっ!」
「やっぱりお前がマスターか。こんなクソみたいな世界におれたちを連れ込みやがって」
薄っすら笑みを浮かべ余裕さえ感じさせるが、勝つのはどう考えても私たちだ
「書き換えたよーっ」
「圭太、ぶっ倒せっ!」
「ああっ」
さっきよりも断然強く踏み込んで、痛烈な一撃を決め
「っ?ぐはっ」
決められた
「お前はたしかに強いけどな、このゲームではおれの方が断然強いんだよ?なんせ...」
圭太が倒れているのを初めて見た私たちはあまりにも衝撃的すぎて思考が停止してしまった
「おれの能力値全部カンストしてんだから」
倒れている圭太の顔を踏みながら、次は私だと言わんばかりににやけながら見つめてくる
あまりにも圧倒的すぎる力を前にして、私は怒りや不安といった感情が何一つ湧いてこない
ただひたすらに恐怖のみが私を支配していた




