舞踏会
私が読んだ文献によると、舞踏会で男性が誘う女性は多少なりの好意があるらしい
ということは、圭太は私に好意を寄せてくれているということになり、これはこのゲームのエンディングを迎えてしまっているのではないか
いやこれはあまりに感情が昂りすぎて熱暴走でもしてるんじゃないか
もう頭の中がこんがらがっていると
「さあ、景品は後で渡すとして、どうだい?2人きりで踊るかい?それとも、みんなも招待するかい?」
私としてはそんなの2人きりがいいに決まっている
このロマンチックな会場で2人で踊る
まるでシンデレラになったような体験をぜひしてみたいと思うのは女の子なら当然でしょ
「みんな招待していいですよ」
それが当然のように即答する圭太
私のシンデレラの夢は一瞬で終わった
「流石に全員は多すぎるので、お2人に所縁のある方々を招待しましょう」
指をパチンと鳴らして、このゲームで私が関わった人達が続々とやってきた
皆、突然のことに少し戸惑っているが
突如流れ出した踊るのにはぴったりな音楽
圭太は私に手を差し伸べて
「ほら、踊るぞ」
「あ、うん」
私はその手を取り
踊りだした
奇跡的に体育でダンスをやっていたおかげでなんとか形にはなっている
その私たちの踊りを見て、皆ペアをつくりだし、ついに舞踏会が始まった
初めはペア同士ぶつかったりと慣れない舞踏会に皆苦戦していたが、一曲目が終わる頃にはまるで映画のワンシーンのような光景が生まれた
「あれ、あなたは準決勝で見事1年生に一撃でやられた馬場君じゃないですか」
会場からすぐ近くのバルコニーで夜風に当たっている馬場先輩のもとに会長がからかいに行った
「何、踊る相手がいなかったのか?」
「はあ?いっぱい誘われましたー。だけど断ってきたの」
「はあ、だよなあ」
「あんたはなんでいつも私のことになると弱気になるの?サッカーの試合とかは滅茶滅茶強気なのに」
「サッカーは練習したからできる自信があるけど、お前の練習とかできないじゃん」
やけくそになった先輩の発言はもう会長が好きだと言っているようなもんじゃんと私でも思う
「練習なら好きなだけさせてあげるからさあ、まずは私と踊る練習しよ」
会長が勇気を出して手を差し出した
「お前ほんと物好きだよな」
「はあ?私の人を見る目は正確なんだから」
静かに重なる手にドキッとしながら、月明かりの下で小さい音で踊り始めた
この出来事を会長はにやけながら私に話してきたのは次の日の夜だった




