突破目前
勢いよく田中へ駆け寄った
まず、剣で突くそぶりをして田中の重心を後ろに下げる
そして、わずかばかり開いた足と地面の間の隙間に剣を入れ
思いっきり天井目がけ突き上げる
このゲーム内ではまるで重力が半分にになったのかというくらい軽々と田中を上に飛ばせた
これであと数秒は雷は全て田中に落ちるだろう
その隙に
魔法使い4人の目の前まで駆け寄り
まず1人を斬る
もともと防御力の低いジョブであるからなのか、一撃で仕留めてしまった
あまりの早さに驚かれてしまったのか
他の3人の繰り出す魔法は狙いが定まらず避ける必要もなく倒せてしまいそうだ
後ろにいるはずの12人の敵は1人が感電しているのに気を取られこっちを攻めてこないのを確認して
思う存分
斬った
周りの魔法使いがめちゃくちゃ強かったからこいつらが余計にしょぼく感じたが
まあ簡単に倒れてくれたんだ
あいつらには感謝しなければ
こうして4人の魔法使いは全滅した
あと雷のダメージで田中も倒れてしまったようだ
坂本も思ったより善戦したらしく、2人ほど倒したようだ
これで残りは9人となり
しかもおれと坂本で挟んでいるという絶好の形になっている
ちなみに我が1年5組はこの前の体育祭で全種目初戦敗退という偉業を成し遂げるような運動神経のない奴らが集まったクラスだ
「すーーっ、一気に行くぞ」
呼吸を止め全ての意識を相手を倒すことにのみ集める
とりあえず15秒
いつもの剣道の試合のときと同じように
突くだけだ
「はあ、はあ、終わったか」
まさかたった一息で倒せるとは思わなかった
案の定紙耐久だったクラスメイトたちを躊躇なく倒し、残るはおれと坂本の2人となった
「おれが11人で坂本が5人か。わりと頑張ったな」
「うるせえ、なんか惨めになるだろ」
そうは言うもののまんざらでもないようで、ほんの少し鼻が伸びている気がする
いつまでも勝利の余韻に浸っていたいが、早く決着をつけなければいけない
「そろそろやるか、坂本」
いつもの練習と変わらないこの対決に少しこそばゆい感じもする
そんな緩やかな時間が自分の周りには流れているような気がしたが、坂本の周りには流れていないようだ
坂本は時間に取り残されているように見えた




