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仮面の男

「で、これからどうするんだ?」


坂本が先ほどのおれの態度に感銘を受けたのか目を輝かせながら聞いてくるが


「わかんねえよ」


「ええー」


「おれにこんな経験もないし、恋愛もののドラマとか小説とか見たことも読んだこともないから何をどうすればいいのかわかんねえわ」


「まあお前みたいな剣道バカならしょうがないかもしれないな」


「お前、斬られたいのか?」


「いやいや、勘弁してほんとまじで」


冗談だと思って笑ってはいるが、無意識におれとの距離をとっている


そんなにおれが怖いのかこいつは


「そういう坂本はどうなんだよ?」


「何もわかんねえよ。おれは青春は剣道に捧げたからな」


高1にしてすでに悟りを開いているこいつもあてにできないようだ


笑顔の中に哀愁が漂っているのが切ない


そんなこんなで無い知恵を必死に絞り出そうとしているとあっという間に宿に着いてしまった








ゴーンッ、ゴーンッ



部屋で作戦を練るも何も浮かばずとうとう太陽が沈みだしたとき古城のほうから大きな鐘の音が響き渡った


「な、なんだ?」


慌てて窓を開けて古城を見ようと身を乗り出すと


古城の真上に男のシルエットが浮かび上がってきた


「プレイヤーの皆様、ようこそいらっしゃいました」


黒いシルクハットに黒のタキシード、そして怪しげな仮面を身につけた男が話している様子が映っている


「誰なんだあいつ?」


坂本だけでなくエリアのいたるところからそのような

声が上がる


「ああ、申し遅れました。私はまあこのゲームのゲームマスターとでもいいましょうかね」


「あいつがゲームマスター?」


「ふ、ふざけるなっ。お前のせいで部長は死んだんだぞ」


坂本や他のみんなのゲームマスターに対する怒りは凄まじかった


それもそうだ


うちの部長をはじめ多くの人たちがゲームオーバーとなり死んでいったのだから


「はあ、何をおっしゃっているのやら」


多くの怒号や罵声に悪びれるどころか呆れている様子だ


「皆様なにか勘違いなさっているようですが、このゲームはそんな死ぬだとかそういったことはないですよ」










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