クラーケン
「みんな、大丈夫?」
ワープが完了してすぐ周囲の状況を見ると
「キュウォオオ?」
巨大なイカのようなタコのような足のたくさんあるねちょねちょしたこのモンスターの姿があった
「クラーケン!」
こいつがきっとボスに違いない
みんなの姿が見当たらないがとりあえず
「ソルイーグニスっ」
クラーケンを焼きダコに調理してやろうとばかりに最強の炎魔法をぶっ放した
「ふう、倒せたかな」
この魔法をくらって死なないモンスターは5層とかじゃないといないだろう
「それにしてもみんなどこに?」
まさかこの程度の敵に倒されるとは思えない
どこにいるか管理者権限をつかって調べようとした
その時
グニュっ
「きゃっ」
体がヌメヌメとしたものに巻きつかれた
必死に抵抗するもその巻きつく力は凄まじく、か弱い私に振りほどくことはできそうもない
「な、なんで生きてるの...」
身動きの取れない私をマジマジと見つめてくるのは
私が焼き払ったはずのクラーケンだった
よく見るとクラーケンの体力は死ぬどころか1ミリも減少していない
「まさかこいつ、魔法が効かないんじゃ?」
かろうじて握りしめていた杖を使って反撃しようとしていたのに
両腕の自由が奪われたこの状況ではシステムをいじってこいつの存在ごと消すことも私がどこかへワープすることもできない
こうなったら残され手段は1つ
使えない杖を放り捨て
ぐっと拳を握り歯を食いしばり目をぎゅっとつぶって
敵が離してくれるまでひたすら待つ
「怖くない怖くない怖くないっ」
足を大きく振り下ろして私を何度も地面に叩きつけるクラーケン
私は一方的に攻められ絶体絶命のように見えるが
心配無用
なぜなら私はゲームマスターなのだ
私の身につけている防具はチート級の性能を誇りあらゆる能力値はカンストしている
そのため、この程度の攻撃ではダメージを喰らわないのだ
じゃあ余裕でこの状況を乗り切れるなと思いきや
現実はそこまで優しくなかった
ものすごい速さで地面が目の前に迫ってくる恐怖
顔をかすめる風
猛烈にかかるG
私の体にまとわりつくヌメヌメとした感触
そして強烈な海鮮市場のような香り
これらの要素がまるで市場の近くにあるヌメヌメした絶叫系アトラクションを繰り返し乗っているような状況を作り出しているのだ
すぐにでも意識が飛んでしまいそうだが
「たえろ、わたしっ」
もし気絶なんてしたら悪い奴らにどこかに監禁されて酷い仕打ちをされ、この世界のことや私のことなど洗いざらい吐かされてしまうだろう
そなことになったらこの世界は悪い奴らに征服されかねない
この電脳世界の命運は




