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嘘

「では行こうか」

私と科学研究部はボス部屋に足を踏み入れた


その瞬間


スルッ

「うわっ」

「きゃっ」


私と部長は思い切り滑った


そしてかろうじて出した手はヌルヌルになってしまった


部長に至っては手を出さずに全身がヌルヌルになってしまっていた


「うわー、部長汚ー」


「お前先輩に向かってなんだっ」


「ちょ、部長こっちに飛んでますって」


部長が振り回した腕からヌルヌルしたものが撒き散らされた


「部長さん、そんなことしてる場合じゃないですよ」


私はボスの姿を見据えて部長に言った


どうやら相手はすでに私たちのことを捉えているようで私たちのところへゆっくりゆっくり進んでくる


「部長、あれは」


「スライムだな」


その辺の草むらに出てくるスライム100体分はありそうな巨大なスライムがボスのようだ




「くっ、お前たち配置につけ。火力レベル最大だ」


部長の号令を聞いた部員たちは弧を描くようにスライムの前方に並んだ


「よしっ、やれー」


水魔法と雷魔法が繰り出されスライムの目の前で交わり


また地面にトロトロの液体を撒き散らされ


「くらえ、ハイドロジェンエクスプロージョンマックス」


部長が炎魔法を放ち他の面々はカプセルを火の着弾地点へ投げ込んだ


そして





ドカーン


「きゃっ」


ブチュ、グチャ、グチュ、


先ほどよりもでかい爆発が起き、スライムはあたりに飛び散った





「ふっ、ふははははっ。倒した、倒したぞお前たち」


「やったー」

「やりましたね部長」


喜ぶ科学研究部員たち


とくに部長の喜びようはすごくてとてもこの先起こることを言う気にはなれなかった


「あれ?」


「ん?どうした副部長」


「いや、出口が出てこないないなって」


「そういえばそうだな。なぜだろ...っ!」


足元の異変に部長は気づいた


飛び散っていたスライムのかけらが地を這って一点に集まろうとしている


「くそ、どうしてだ」


怒りに任せてかけらを踏み潰すが


粉々になっても動きは止まらず


徐々に徐々にもとの大きさへと戻っていく


「どうすれば」

うろたえる部長は


「よし、脱出するぞ」


攻撃が効かないとわかったので急いでボス部屋から脱出を試みる




が


ヒュンっ


スライムから何かが飛ばされて


それがドアにへばりついた


「部長、ドアが開かないです!」


「何?ちょっ、かせ」


懸命にドアを開けようとするがビクともしない


そこに再びスライムが飛んできて


「あぶなーい」


ドアを引き続ける部長に部員が飛びかかり間一髪避けることができた


「ぶ、ぶちょー、どどどどーします??」

部員たちが不安そうに見つめる


部長であることを忘れているのか鬱陶しそうにそっぽ向く


「部長!」


それでも部員たちの呼ぶ声は止まずどんどん追い込んでいき


「そんなの私が知りたいわっ。頑張って用意した水素も無くなったしおれのMPは尽きかけてるし、だいたいあんな魔法効かないやつをどうやって倒せというのか。ここには魔法使いしかいないというのに」


わなわなと震え始める部長を


私は潮時だと感じて


わずかばかりの運動神経をフルに使ってスライムの攻撃を避けつつ部長のもとへ向かった





「牛島部長」


「ああ?なんだ?」


鬼のように眉間にしわを寄せている部長に


本当は言いたくないのだけど敢えて言わさせていただきます


「部長、私に嘘ついてますよね?」


「なっ、しょしょ証拠はあるのか?」


怒鳴り散らされると思っていたらたじろいだので私もたじろいでしまいそうになったがなんとか踏ん張れた


「率直に言わせてもらいますけど、部長レベルもってますよね?本当は15レベとかじゃないですか?」


「ど、どうして知ってる?」


「まあ部長が弱いのはあの戦い方からなんとなくわかってて、あとは部長が使った魔法からMPの量を計算したりしたんですよ。(ほんとは管理者ページから調べたんですけど)」


「ああそうだ。初日は魔法使いがなかったおかげでレベルを上げられなくてこのざまなんだよっ」


また自暴自棄になって言葉を吐き捨てる


「え、部長おれより低い...」


だんだんと部員たちの目が失望の目に変わってきた


「私はお前たちのりーだとしてお前たちよりも上の存在でいたかったんだよ。悪いかっ」


とうとう矛先を部員たちに向けてしまった


「部長、そんなにレベルにコンプレックスを持たなくてもいいんですよ」


「はっ、君に何がわかる」


「だって私、牛島部長よりレベル低いですもん」


この女何を言ってる


そうやってからかおうとして私を辱めたいのか


「ほら、これ見てください」


彼女は自分のステータス画面を見せてきた


「これで信じましたよね」


そこには確かにレベル13と書いてあったが


それ以上に彼女の知力の高さがえげつなさすぎてそこに目がいってしまった


おそらく自分の3倍はあるだろう


「いったい君は?」

「いいですか部長。このゲームはレベルよりも元々の本人の能力のほうが大事なんですよ」


私の問いが聞こえないくらいに敵を見据えていた


「くらえ、アトミックフルフレイムっ」


突如頭上に巨大な火の玉があらわれ、あまりの熱さに目を開けていられないほどだ


「えいっ」


火の玉が風を切り裂く音が響き渡り


しだいに蒸発音が鳴り出した


「どうなっているんだ」


スライムを見てみるとスライムの体が熱で溶けはじめていた






やがて熱は消えて目の前には砂だけが残っていた


「あ、出口が出てきた」


部員たちがうれしそうに声をあげる


「はあ、つかれたー」


彼女はぐっと背伸びをする


とても強敵と戦闘をしたことを感じさせないリラックスした様子だ


「あ、部長さん見てました?ちゃんと勉強すればレベル低くても戦えるんですから部長も頑張ってくださいよ」


彼女の絶対的な強さを目の当たりにしてしまい悔しいという感情は湧いてこなかった







「是非とも科学研究部に入って欲しいんだが」


「いやーそれはいいです」


帰り道、部長から熱烈な歓迎を受けていた


「私が勧誘したのは君で2人目だからな。誇りに思って欲しいくらいなのだが」


「へーそんなに頭いい人がいたんですか?もしかして会長ですか?」


「いや。彼女は会長などよりはるかに頭が良かった」


遠い目をして彼女のことを思い出しているのだろう




「実はもう1つ嘘をついていたんだ」


「え、なんですか」


「実は私は学年1位じゃなくてずっと2位なんだよ」


「順位も詐称してたんですか?うわー」


「いやいやちゃんと成績表には1位ということになってはいるんだ」


「?」


「うちの学年には1人化け物がいるんだよ。どんなテストも満点をとる。でも彼女は自分のことを順位に含めないで欲しいと言ったんだ。私はずっと1位しか取らないだろうからって」


まさかそんな人がいたなんて知らなかった


そんなに頭のいい人がこの学校に私以外にいるなんて


私と張り合える人がいるかもしれないことにワクワクがとまらない







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