prologueー1-2 状況整理は正確に
「伝説も勇者も楽じゃない」の世界での、とある転生者の話。
一人称っていうんでしょうか?読むのはあんまり好きじゃないんだけど、楽ですね。
さぁてさぁてテンプレ展開欲しいところですね!テンプレ好きな方は一体どこまで耐えられるでしょう!
ヒロインは登場するのでしょうかッ!?(もはやフラグ)
「ステータス」
基本、念じるだけでも脳内には入ってくるが、言葉として発すると自分の目の前に画面として出すことが出来る。
それを指で操作して…は?
ステータスが出てこない。声でなく、念じるのもやってみたが依然効果なし。
「…おかしいな。ステータス!……す、ステータス!!」
どうした、ステータス。そんなに俺のことが嫌いか、ステータス。なぁ!返事してくれって!
何で!?ステータスゥゥゥゥゥウウ!!!返事してくれぇえ!
まるでステータスちゃんという子が存在でもするように、脳内で連呼し、パニックで腕を振ってしまった。なんて馬鹿なシーンだよ。
その瞬間、自分の手のひらから腕にかけてが目に入る。
「!?…ッ待て……、なんだよ、これ」
それは、自分の手ではなかった。
否、正確に言えば自分の手だ。俺の頭がおかしくなったのではない、本当に自分の手だ。
服の袖も見慣れたものだし、自分の手だとは認識できる。しかし、「雰囲気」は違う。
強いて言えば右手にしていた手袋がないが、これは恐らく崖で落下するとき、僧侶ちゃんが掴んでいたのが右腕だったからだろう。
腕が限界を迎えた時に、僧侶ちゃんがせめてもの思いで引っ張り上げようとしてくれたのが手袋だったというわけか…恨みはしない、健気で可愛い行為を貶すわけがない。現に俺はまだ生きてるじゃないか。
その手袋のない方の手から受ける印象は元いた世界の手とは違う。
しかし、一度右の手の平に傷を負ったことがあったが、その傷跡は雰囲気こそ違えど元いた世界と全く同じ配置だ。
「雰囲気」というと…指の長さ、手のひらの大きさ、しわの感じ…全体的な比率は少し変わっているように見えた。
「つまりどういうことだ。ステータス出ない、なんか雰囲気違う、身長変わった、アイテムもなくなった」
アイテムが無くなるのはまずいな。財布はアイテムの袋の中にある…すなわち所持金現在は0ということだ。
雰囲気が違うのは一体どういうことなのだろう。着ている服は同じだし、手も自分のものだとわかる。
身長が低くなったような気がするのはよく分からない。同じ人間のはずなのにあり得ない。
もしかして、俺…服とかはそのままで、顔が醜くなっていたりして…それで身長も低くなっていたら…?
「まずいな…いやいやいや!」
そんな事考えちゃダメだ。俺はイケメンでハーレムを築いてチート無双する夢の主人公だって事を忘れちゃいけない。
とりあえず、この世界が何なのか誰かに聞かないとわからないな。
地図がないのがちょっと困るが…方位磁針もないし、時計もないので、日の方向から方位を導き出すのは不可能。
そもそもそうして方位を導き出そうが、地図がないので結局は無意味ってところだ。
魔物が来ても大丈夫だとは思うが、いちいち戦うのも面倒なので見つけたら全て物陰で退避しよう。
怖気づいてるんではない、これは万全を期しての対策だ。
もしかしたら体力が減っているかもしれない。日が少しずつ、高く上り始めた。腹が減る時間帯に入りそうだし、早く街を探そう。
酒場に入って、荒くれ男たちから美少女を助けて仲間にし…。それからギルドに登録して…。ムフフフフ…いやいやおっと…。
俺はテンプレが好きだ。
数多くの美少女に囲まれて過ごせる、伝説の能力ももらえる。聖剣引っこ抜いて、ダンジョン攻略して魔王を倒す。
この世界でもそんな風にしていれば、自然とハーレムの形成…ごほん。自然と人々の尊敬も集まるようになり、いつの間にか勇者様と呼ばれることになるだろう。
しかし、先ほどから気になることが一つ。
何故、冒険者が居ない?一人二人くらい、ギルドで仕事貰った奴が魔物討伐に出ていてもいいはずだ。
ここが町から遠いのかもしれないが、それにしても少し不自然のような気もする。
仲間も居らず、周りに人っ子一人居やしない。この世界本当に大丈夫なんだろうか。
ー
30分ほど歩き続けているだろうか。あぁ、腹が減ったな。多分、今は現実世界の感覚で言えば11時台といったところ。
その歩き続けた時間で分かったことがある。虚しく消えていた金のことだ。
何と、ポケットの中に運よく金が入っていた。入っていた理由などどうでもいい。
元いた世界の金の単位は覚えていないが、この世界でもこの通貨が使えるかどうか少し心配ではある。
恐らく異世界…という事で、この金はこの世界では使えない可能性は高そうだ。まぁそういう時は異国の金貨としてアイテムショップにでも売って、この世界の通貨に換金でもしてもらえばいい。
…のだ、が。
歩けど歩けど誰ともすれ違わないし、町の見える気配もない。
何かほら、フードで顔を覆った女性が大急ぎで馬車曳いて逃げてるのを発見して、その後ろに魔物でも盗賊とか山賊でもいいから何か悪いやつらに追われててそれを助けるとかさ…。
もしくは、街が見つからないまま疲れ果てて野宿したら、森に住んでいて人間が嫌いな女の子に助けられたりとかさ…。
空から女の子が落ちてくるとかさ!
何かしらこうハーレm…じゃなくて物語が進む切っ掛けがほしい。もしかしてこれはきっかけは自分で作れ!という事か?そういうことか?
しかしきっかけ何ぞ人と接触しないと起こらんし、未だ俺はアテもなく歩き続けなければならないらしい…。
ー
あぁ……。影が短い。影が短くなっていくのが良く分かる。腹、減ったな。
飲み水は全然心配ない。
道とさして離れていないところに、かなり綺麗な小川が並行しているのだ。
いくら綺麗でも自然の小川故、そのまま飲むと腹を壊す可能性はある。しかしあくまでも緊急手段としては飲まなければならない。
何でたどり着く町がないのかが謎だ。
もしかしたら無人島だったり…いや、やめてくれよ、そんな事は本当にやめてくれ、。女神かだれか知らないが、無人島なんかに転生させた奴いたらマジでぶっ飛ばす…。
ただ、さっき道案内の看板と思しきものがあったので、ここは無人島で無いだろうな。
と願いたい。
その看板、文字が読めないとかそういう話ではなく、板が半分折れており、破片や柱には苔が付いていたのだ。
古くなって腐り落ちたのか知らないが、立て直したり撤去していないってことは近くに人がいないし通らないってことだろう。
マイルストーン、休憩地点なども、この歩き続けた1時間半の間にはなかった。
つまり、旅に便利な施設は需要がない、冒険者や旅人なんてものはいない…?もしかして魔物が征服しちゃった的な?となると、つまりこれは人は居ない可能性が………。
ん?あ、あれは……あれは人だ!しかもしかも…
女の子だぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!
おっと、つい心の中で叫んでしまった。いかんいかん。
そんなことより。別に冒険者がいないわけではないらしい。ホッ。
かなり遠くからなのでよく見えないが、あれは多分冒険者だ。
今は助けてくれるなら性別はどうでもいい(女性なら尚よし)が、もし敵のような人だったらどうする。
取り敢えずバレないよう、気配を消して近寄ってみようか。
待ってろよハーレム!俺のイケメンさで落ちなかった女の子は居ないのだ!速攻ハーレム築いて無双だ無双だ!
…って!本心丸出しじゃねーか…抜き足差し足。
うぇへへへ…吉貴さん…クズですねぇ!僕は嫌いだよ、あなたのその精神!
はい、むしろテンプレ主人公にイライラする作者です。
ヒロイン登場か!?なところで終わりました。
テンプレが待っているといいですねぇホンット!吉貴さん!(ゲス顔)
現実を見よう!以上です。